ハリネズミ男という言葉を聞いたことはあるだろうか?

おそらく聞いたことがない方がほとんどであろう。臆病で警戒心が強く、無理に触ろうとすると針で威嚇してくるハリネズミ。しかしその一方で、構うと喜ぶ可愛い一面も合わせ持つ。

バブル世代ほど貪欲ではないが、現代に定着した草食系ほど無欲でもない。硝子のハートを持ちながら、プライドだけは強靭で絶対に傷つきたくない。女性は好きだが、断られるのが怖くて一歩踏み込めない。彼らは、抱きしめられるのが怖くて、体を針で守る。

そんな取り扱い注意のハリネズミ男が近年、30代男性を中心に東カレ界隈で大増殖中だという。この連載は、そんなハリネズミ男の観察日記である。

初回は典型的ハリネズミ男のヒロキを事例に、ハリネズミ男の取り扱い方を習い、その後SATC女子に萎縮しているタケル、婚活女子を振り回すショウヘイ、そして元カノを引きずるユウヤを観察し、ハリネズミ男の生態が徐々に明らかになってきた。

今回は…?




<今週のハリネズミ男>

名前:マサヒロ
年齢:32歳
職業:外資証券会社トレーダー
年収:約4千万円
住まい:虎ノ門
出身大学:早稲田大学
理想の飼い主:言わなくても理解してくれるプロ彼女のような子


永遠に見つからない理想のヴィーナス


マサヒロは自分で言うのも何だが、モテる。

学生時代もある程度は遊んできたが、社会人になり、今の会社に入った後、金銭の余裕が出ると更に女性が寄ってくるようになった。

身長185cm、顔も悪くない。来年には世田谷の方に投資用として家も購入予定で、既に物件は決定済みだ。女性が寄ってくるのも仕方ない。

20代の頃は、モデルや(売れてないが)タレントなど、東京でも中々レベルの高い女性陣と毎週末お食事会をしてきた。男性5人で参加し、お会計が一人当たり20万円以上ということはザラにある。その金額を支払うことに対して何のためらいもない、外銀狙いの必死な女性達を嫌というほど見てきた。

昔はモデルかタレント、それかAクラス美女以外全く興味がなかった。しかし総じて知識や教養に乏しく、飽きてしまった。

そんな遊び尽くした20代を過ぎ、今の理想は知識と教養があり、育ちが良い子。一見華やかながらも実は少し控えめで一途。外見はスタイルが良いが痩せ過ぎではなく、顔は絶世の美女とまでは行かなくても美人で自立している人がいい。

これを言うとみんなに突っ込まれるが、同期の中でも一番のスピード出世を果たしているマサヒロは、仕事が遅い人を理解できない。どんなに忙しくても週2回のジム通いは欠かさず、仕事もプライベートも見えない所で努力をしてきた。

自分にもできることを、他の人、特に女性に求めるのは間違っているのだろうか?

彼女・嫁候補にはそれなりのレベルを求めるのは悪いことなのだろうかと最近悩んでいる。


一見、ただの面倒な男性だが実はとってもナイーブで可愛らしいハリネズミ男


ハリネズミ男の理想と現実


まるで女神のようなハイスペック女性を求めるマサヒロだが、実はそんな自分にとって完璧な女性が目の前に現れると、緊張してアタックできずにいる。

最近気に入っている恭子という元タレントで現在美容系の仕事をしている女性がいるのだが、中々上手く進められない。

自分に自信があるのか無いのかがよく分からないのがハリネズミ男。

ある場面ではグイグイ来るのに、いざ獲物が「どうぞ、食べて下さい。」というと逆に手を引っ込めてしまう天邪鬼な所がある。

嫌われたらどうしようという思いが強く、カッコつけようとするが好きな人の前に限って空回りしてしまうのも、ハリネズミ男の可愛い特徴だ。もしハリネズミ男があたふたとしていたら、それは好意があると思って良い。

自分は完璧と信じながらも、好きな人の前だと自分が出し切れない。そんな自分に嫌気がさして、どうでも良い子と仲良くなってしまうパターンもある。




結果、モテるハリネズミ男


トレーダーという仕事は、本当にハードで神経が磨り減る職業だ。その分給料が良いので一応報われてはいるが、携帯をずっとチェックしているほど暇ではない。とにかく忙しく、プライベートが疎かになる場合もある。

それを分かってくれる人が理想だ。

疲れて帰ってきた時に「お疲れ様」と笑顔で癒してくれる彼女が欲しいと思ってはいるが、実際には「何故連絡をくれないのか」と怒られるし、寂しいと泣きつかれる。「意外に大事に思っているのになぁ。」と心の中で思っても、恥ずかしいので口には出せない。連絡問題を争うのは時間の無駄なので、そういう事を言われた瞬間から一気に冷めていく。

一度決めたら頑固なハリネズミ男。
無理と思ったらもう無理になってしまう。

しかしそのツンデレ感が好き、という女性は意外にも多く、結果としてハリネズミ男はモテるのだ。


そんなハリネズミ男が出すサインとは?それに気づけたらあなたは立派な飼い主に。


ハリネズミ男が出すサイン


一見、近寄り難そうで手を出しにくく、手を出してもこないように見えるハリネズミ男。しかし実際には寂しがり屋な部分もあり、構って欲しい生物である。

会えなくて寂しいと言われると面倒臭くなる一方で、実は嬉しい。

女性からグイグイ来られるのは嫌いではないのだ。その一方で、友達の前では至って平静を装い「向こうからすごい連絡来てさぁ。」とつい誇張して言ってしまう。

気持ちを読んでくれるようなタイミングで連絡や返信をくれ、それが重過ぎず軽過ぎない適度なテンションだと最高だ。自分のいない所で自分のことを褒めてくれ、端から見ると自分が一歩リードして見えるような関係が良い。

寂しい時に寂しいと言えないため、何となく連絡欲しいオーラが出ていたり、「明日暇で」と言うようなLINEの内容からサインを読み取り、こちらから誘ってあげる。友達といても、ハリネズミ男を気にかけていることを体現してあげる。

小さな「構って」サインを見逃さないことが大事である。




意外に多いハリネズミ男


ハリネズミ男は直ぐに判別しにくい時がある。根気と時間、そして辛抱がハリネズミ男と付き合うのには必要だが、30代前後の男性は隠れハリネズミ男も多く、他人事ではない。

最初は強気で誘ってくるが、仲良くなるにつれて迷宮入りするような行動をしてきたり、一定距離を保ち、近づけないようにしているのに「構って欲しいサイン」を出していたらそれは完全にクロだ。その人はハリネズミ男と言える。

これまで観察してきたように、ハリネズミ男は非常に繊細で傷つき易い生き物だ。

そのガラスの心を上手に磨きながら転がし、そして針をふんわりと優しく包めるようになったら、ハリネズミ男の飼い主になれる日はそう遠くはない。

【これまでのハリネズミ男】
Vol.1:バブル世代と草食世代に挟まれた、プライドを死守する30代男子
Vol.2:イマドキ女子は強過ぎる。大和撫子を求めて生きる30代男子
Vol.3:彼女という責任を負いたくないハリネズミ男と、それに振り回される婚活女子
Vol.4:元カノの話は笑顔で受け止めろ!ガラスのハートのハリネズミ男の飼い慣らし方