クルマ音痴をなんとかして自動車の世界へ誘う本企画!
自動車を得意とするベテランライター・サトータケシが、全日本クルマ音痴代表の編集員船山に、わかりやすくクルマの魅力を解説します。

今回のテーマは、「オシャレピーポーは、なぜカクカクした車に乗っているの?」。
ということで、"MERCEDES-BENZ G-Class"を題材に、角張ったクルマの魅力について考える!



【サトー's RECOMMEND】MERCEDES-BENZ G-Class。通称「ゲレンデ」。
1979年のデビュー以来、四駆システムや安全装備はアップデートされたものの、その骨格やスタイルは不変。力強い走りが楽しいディーゼルから、モンスターのAMGまでラインナップ。¥10,180,000〜



サトー「生産中止の噂があったけれど、ゲレンデは作り続けるらしい」
船 山「いやー、やめちゃだめっすよ。ゲレンデは自動車世界遺産!」

■サトータケシ
1966年生まれ。クルマを得意分野とする、フリーランスのライター/エディター。スーパーカー世代(ご存じですか?)なので角張ったクルマ、背の高いクルマへの興味は薄いが、それでもゲレンデと初代レンジローバーは別格とか。

■編集部員 船山
1982年生まれ。ライターを経て、東カレ編集部へ。東京でも、角張った車を見るエリアは限られている、と感じている。やはり、渋谷区近辺が多い気がする。以前、住んでいた高円寺では一回も見ていないな、そういえば。


発売から37年、いまだに人気のゲレンデ


船山:宇都宮から東京に出てきたばかりの頃、びっくりしたことがあるんです。角張った形のクルマがすごく多くて、特にあのクルマ、ほら、名前なんでしたっけ?ジープみたいに角張った形のメルセデス・ベンツ、湾岸スキーヤーじゃなくて……。

サトー:ゲレンデね。(どういうクルマの名前の覚え方をしてるんだ?)

船山:そうですそうです、ゲレンデです。ゲレンデって聞くと、なんか白くてふわふわした甘いものを想像しちゃいますけど。

サトー:それはメレンゲ。(天然なのか、それともギャグ?)

船山:あちゃー。ま、実物はゴツくて、全然ふわふわしてませんけどね。

サトー:ゲレンデとは、ドイツ語でオフローダーを意味するゲレンデヴァーゲンのことだからね。本気でタフなクルマなんだよ。頭文字の「G」をとって、Gクラスとも呼ばれる。

船山:ゲレンデみたいに、いかにもオフロードを走りそうなクルマをお洒落な街で何台も見かけて驚いたんです。

サトー:ドイツ本国より東京のほうがゲレンデを見かける機会は多いかもね。そういえば一昨年、ゲレンデのデビュー35周年記念の限定モデルが出たんだけど、日本ではあっという間に完売しちゃった。いまだに、すごい人気。

船山:で、当時の彼女が、ゲレンデに乗ってるのはほとんどが芸能人だというガセネタを僕に吹き込んだんです。真に受けちゃって、ゲレンデを見るたびにジャニーズやプロ野球選手が乗ってるんじゃないかとドキドキしながら中をのぞき込んでいました。

サトー:芸能人は乗ってた?

船山:いえ、芸能人はいなかったんですけど、みんな超お洒落ピーポーでした。で、この編集部で働くようになってわかったんです。スタイリストさんとかカメラマンさんとか、クリエーターの方がゲレンデにお乗りなんですね。

サトー:それは言えてる。


山に行かないSUV、海に潜らないダイバーズ



山に行かないSUV、海に潜らないダイバーズ


船山:でも、なんでゲレンデってクリエイティブな人たちから人気があるんでしょうね。

サトー:あのクルマは、1979年に登場してから、基本的な骨格や形がほとんど変わっていないんだ。四駆システムやエンジンなどの中身は新しくなってるけどね。だから流行を超越したスタイルがある。流行に敏感な人たちこそ、流行から解脱したゲレンデみたいなクルマを好むのかもしれないね。

船山:なるほど、なんか納得です。

サトー:あと、ミリタリースペックというかオーバースペックというか、あのクルマの悪路走破性能は超本格的なんだよ。急勾配の岩場でも、がんがん登れる。ちょっと憧れない?

船山:あ、なんかわかります。僕も300気圧防水のダイバーズウォッチとか、すっごい欲しくなりますもん。

サトー:ね? 男ってそういうスペックに弱いよね。「行けない」のと、「行けるけど行かない」のは大違い。ゲレンデの男っぽい運転席に座ると、なんか自分が強い男になったような気がするんだよ。スタイルがあって、しかも中身も本物。これがゲレンデ人気の理由じゃないかな。


実家のばあちゃんに角張ったクルマを見せたら



初代レンジローバー
実家のばあちゃんに角張ったクルマを見せたら


船山:ゲレンデ以外にも、角張ったクルマはお洒落な人に人気ですよね。よく一緒にお仕事をするヘアメイクさんは、初代レンジローバーにお乗りです。

サトー:あれも雰囲気いいよね。

船山:はい。あと、ジープ・ラングラーに乗っているカメラマンさんも3人知っています。撮影用にトヨタのランドクルーザー70を借りた時は、普段はクルマに興味を示さないファッション関係者がブワーッと群がってきて、「かっけぇ!」と大騒ぎでした。

サトー:ジープ・ラングラーもランクル70も、ラギッドな魅力があるね。

船山:ラギッド? ジャイアンツの選手がホームラン打った時に出てくるウサギの仲間ですか?

サトー:……(「それはジャビットだろ!」とは絶対に突っ込まないぞ)、骨太で無骨な、ヘビーデューティなカッコよさね。だからお洒落な人がランクル70なんかに興味を示すのは、クルマというよりファッションアイテムとしてなんだろうね。

船山:確かに、クルマの性能に興味がなさそうな人たちが食いつきました。多分、エンジニアブーツとか、ダメージのデニムをカッコいいというのと共通のセンスだと思います。



Jeep® Wrangler Unlimited

すべてはここから始まった


現在のSUVタイプの元祖とも言えるのが、もともと軍用車両として開発されたジープ。このジープ・ラングラーが、かつてのジープの継承者だとされる。写真は、4ドアのジープ・ラングラー・アンリミテッド。¥3,963,600〜



Toyota Land Cruiser 70

ファンからの支持を受け、昨年再発売に


実はこのタイプのランクルは、2004年に日本での販売が終了した。ただし、「丈夫さ」「悪路での強さ」などが支持され、海外では現役だった。ファンからの声を受け、日本でも2015年に限定で再発売された。¥3,500,000〜


サトー:「四駆の走破性能が高い」とかじゃなくて、アイテムとしてのカッコよさを評価するのは面白いね。ところで、ふなっしー(註:船山は、編集部のごく一部でこう呼ばれている)は、角張ったクルマに興味はないの?

船山:よくぞ聞いてくれました!昔の角張ったボルボとか、大好物なんすよ。ただ、地元の宇都宮だと昔はシャコタン、いまは反対に背の高いミニバンが主流なんで、角張ったクルマのトレンドは来なかったですけどね。

サトー:そっか、ふなっしーのセンス、宇都宮では早すぎたのかもね。

船山:でへへへへへ。だから代官山とかで、お洒落な街でお洒落な人が角張ったクルマに乗っているのを見ると、仲間だって思いますよ。角張ったクルマが街に停まっていると、ついついiPhoneで写真を撮っちゃいます。おかげで、カメラロールがゲレンデだらけです。

サトー:よし、この編集部でのし上がれ!そんなに好きなら、角張ったクルマを買って、宇都宮に凱旋だ。宇都宮にも角張ったクルマのブームを起こすんだ!

船山:それが、iPhoneで撮った角張ったクルマの写真を実家のばあちゃんに見せたら、「あら、営林署のクルマだね」って言われちゃって……。

〜サトータケシ今回の教訓!〜
"性能ではなく、アイテムとしてとらえるのが面白い"