学生の窓口編集部

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家庭にも普及し始めた「ロボット」。看護や介護に期待されるなか、ペット型ロボットが健康に貢献するのはご存じでしょうか?

動物との触れあいを「治療」に用いたアニマルセラピーの発展版として、動物の代わりにロボットと接するロボットセラピーも研究され、結果は上々。だ液中の免疫物質が増えることが確認され、病気の治療に効果的なことがわかりました。脳を活性化させるドーパミンが増え、アルツハイマー型の認知症にも効果的と考えられ、ロボットが「治療」につながる時代がやってくるかも知れないのです。

■ロボットが高める「免疫」

病気の治療にクスリが用いられるのは誰もがご存じでしょう。ところが、入院/通院が長期化すると気力がなえてしまうのも当然のことで、心理的なケアも重要な課題となってきます。そこで近年注目されているのがアニマルセラピーと呼ばれる「動物介在療法」で、ペットを飼う、動物に触れる機会を作ることで快方に向かうケースが多く報告されています。これは病気だけでなく高齢者にも有効で、ペットと暮らすことで通院回数が減ったり、生きがいを感じて延命効果につながるなどさまざまな効果が証明されています。ただし動物のストレスも考慮しなければならないので、もっと一緒にいたいと思っても時間/回数が制限されてしまうのが難点。そこで動物の代わりにロボットと接するセラピーが研究されているのです。

ロボットとの触れあいが、健康によい影響を与えるのでしょうか? 答えはYesで、平均年齢およそ83歳の高齢者35人を対象におこなわれた研究では、1回30分、週に3回、2ヶ月間のセラピーによってだ液中の免疫物質が増えることが確認されました。初回のセラピー後は、免疫物質がおよそ1.4倍にも増加していたのです。

また、1ヶ月後には増加したままの状態が維持され、セラピー前後で大きな違いはみられなくなること、セラピーを中止するともとのレベルに下がってしまうことからも、ロボットとの触れあいが免疫を高めることがわかり、アニマルセラピーと同様に健康に寄与することがわかったのです。

■認知症対策にも

ロボットとの触れあいは認知症にも効果的、と考えられています。ドーパミンが増え、脳が活性化することもわかってからです。

ドーパミンは喜びや快楽に関係するホルモンで、いわゆるハイな気分や「やる気」をもたらし、やり遂げればきっと良いことがある! と自分を励ます作用をするため報酬(ほうしゅう)系とも呼ばれています。記憶や集中力にも影響し、アルツハイマー型の認知症ではドーパミンが減少する傾向があるため、増やすことで症状を改善できると考えられていますが、ロボットとのセラピーによってドーパミンの増加が認められ、つまりは治療に役立つことがわかったのです。

ペットとの暮らしが健康につながるのは確かですが、病気や高齢で充分な世話ができなかったり、ペットに先立たれてしまうと逆効果にもなりかねません。相手が機械では味気ない感は否めませんが、高齢化社会では「無機質」なロボットのほうが適任なのかもしれません。

■まとめ

 ・動物と接するアニマルセラピーを、ロボット化する研究がなされている

 ・ロボットと接したあとは、だ液中の免疫物質が増加することが判明

 ・ドーパミンの増加も見られ、アルツハイマーの治療にも役立つ可能性あり

(関口 寿/ガリレオワークス)