プロ野球中継を観ていると、ただ放送席に座り、無駄に煽るだけという解説者を頻繁に見掛ける。結果論でしか話さなかったり、観たままを口にしたりする元選手がやけに目立つのだ。


この背景には、「あまり選手の悪口を言うな」「もっと盛り上げて」などの指示がテレビ局側から飛んでいるからと言われている。


だが、選手へのおべんちゃらが続いたり、10点差ついているのに「まだわかりません」などと何の根拠もない煽られ方をしても、視聴者はさらにシラケるばかりだ。


そして、「ここで褒めておけば現場復帰もありえるかもしれない」という解説者自身の邪な気持ちが見え隠れする場合もある。


そのなかで、異彩を放っているのが、権藤博前中日投手コーチだ。


5月5日の中日対DeNA(ナゴヤドーム)の解説を務めた権藤は、本音でしゃべりまくった。


中日のこの日の先発は山本昌だったが、高木監督は4回途中2失点、79球で交代を告げた。 この起用法に、昨年高木監督と“70'Sバトル”を繰り広げた権藤は驚きを隠せなかった。



「なんですか、これ?」



実況「しかも左の三瀬、ちょっとこれはビックリな交代になりました」
権藤「悔しいですよね。先発ピッチャーは行ける所まで行かないと、ピッチャー足りなくなりますし、メジャーでは6回まで自責点3以内であれば合格点なんですよね。だから、その権利まで奪われてしまっているわけですよ」


と山本昌の気持ちを代弁。



「確かに、これ以上点を取られるのは痛いのは痛いですけど、今日を含めて、明日からまたヤクルトとの3連戦ある。中継ぎをこんな所で突っ込んでいると、競ったときや打ち合いになると、ピッチャーがいなくなっちゃいますよ」


と投手コーチの立場からの見解を示した。


時間が立つと怒りが増したのか、権藤は口調が早くなり、こうまくし立てた。



「リードしているときに早め早めで行くのは当たりますけどね、負けているときは早め早めで行くと、どんどん落ち込んでいくんですよ、チームそのものがね。やるのは選手ですから。


プロ野球はアマチュアのトーナメントと違って、144試合も毎日続けてやっていく。中継ぎなんて使いすぎるとね、疲れてくるんですよ。


先発は中一週間くらい開けているわけですから、100球から120球は投げないと行けないんですよ。投げさすチャンスを与えるべき」


“無回転フォーク”で一躍有名になった岩田慎司が前日にノックアウトされ、二軍に落とされたと知ると、怒りはさらに増した。



権藤「弱いチームの典型ですね、これは。このあいだ岩田は勝ったわけでしょ? 勝ってナイスピッチングしたのに、やられたら即2軍なら、後から投げるピッチャーは、たまらないんですよ。『やられたら2軍か』と思ってマウンドに行くとね、いいピッチングなんてできるはずがない」


中日、近鉄、ダイエー、横浜で投手コーチを務め、数々の名選手を育て上げた自身の経験談からこう話した。



「だいたい1回やられたヤツをね、すぐ出すと、2回やられたヤツをあまり覚えてないですもんね。その代わり、3回やられたら、二軍」


チャンスは3回与えるべきであり、瞬間湯沸かしである高木守道監督のような場当たり的な起用では、選手は育たないというのだ。打者にも同じことが言える。2打席三振に終わったスタメンのクラークが、中田亮二と交代すると、こう話した。



「2打席で代えるくらいならね、最初から出すなって言うんですよ(笑)」
「使っていったら、成長するんですよ。だから取っ替え引っ替えはいかんと言うんですよ」


4対3と中日リードの8回、5番手・中田賢一が連打を浴び、逆転される。DeNA打線は止まらず、一気に6点を奪った。この回の途中、権藤はこう持論を述べた。