「六月大歌舞伎」は小川家17人共演、7歳の加奈絵の舞台に父・萬太郎「この経験は彼女の扉を開く」
令和の歌舞伎界を席巻する「小川家」は三代目中村時蔵の子孫たちで、中村萬太郎もその一人だ。
「六月大歌舞伎」(3〜25日、東京・東銀座の歌舞伎座)では小川姓(本名)で現役の歌舞伎俳優16人が勢ぞろいするだけでなく、萬太郎の長女、小川加奈絵が“17人目”として舞台に上がる。(武田実沙子)
子宝に恵まれた大正・昭和の名女形・三代目時蔵の子孫たちは現在、播磨屋(中村歌六家)と萬屋(よろずや)(時蔵家)に一門が分かれているが、2024年の中村萬壽(まんじゅ)、六代目時蔵の襲名披露公演では三代目時蔵の孫、ひ孫、やしゃご世代まで小川家14人が出演。その多士済々ぶりが評判となった。今回は夜の部の「華舞於河賑(はながまうおがわのにぎわい) 俄獅子(にわかじし)」で17人が共演する。
もはや“小川祭”とも言える公演に、7歳の加奈絵にも声がかかった。日本舞踊の稽古に通い、歌舞伎を見るのも楽屋に遊びに行くのも大好きという。最初は恥ずかしさもあって前向きではなかったものの、今は一生懸命、稽古に励んでいる。
萬太郎は「期待に応えようと無理している面もあるはず。でも、どんな世界に進んだとしても大勢の前に出るこの経験は彼女の扉を開いてくれるんじゃないかな。親の勝手な妄想ですけど……」と父の顔で語る。
昼の部の舞踊「戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)」で、萬太郎は父の萬壽、おいの中村梅枝(時蔵の長男)と踊る。赤っ面風で堂々とした次郎作(萬太郎)と、白塗りの粋な与四郎(萬壽)という2人の駕籠(かご)かきと禿(かむろ)(梅枝)による華やかな舞踊だ。「大きくたっぷりと、空間を味わうように気取って勤めたい」と語る。
兄の時蔵は、父の萬壽と同じ女形の修業をしてきたが、萬太郎は若手の頃から中村富十郎や坂東三津五郎の荒事の芝居に憧れ、立役の経験を積んできた。荒事だけでなく敵役、二枚目と芸域は広い。「『大きさ』が今の一番の課題」と言う。七代目尾上菊五郎が5月に勤めた「寿曽我対面」の工藤祐経を見て、改めて憧れた。「劇場を制圧するような大きさがある。『大きく大きく』と意識しないと」
4月の「裏表先代萩(うらおもてせんだいはぎ)」では荒事の代表的な役である荒獅子男之助を勤めた。「やればやるほど遠くなっていくような感覚もあり、試行錯誤しています」
初舞台は32年前、5歳の時で、その時は大叔父の映画スター、萬屋錦之介も出演していた。今は自身の子ども世代が、ひたむきに舞台に挑んでいる。「彼らが大人になった時、私たちの世代で舞台を作ってあげられたらと思う。さらに次につながり、歌舞伎界全体に貢献できたら。それにはひと月、いい舞台をご披露することだと思います」
(電)0570・000・489。
