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クルマの使い方を変える画期的な機能

本当に革新的な機能が最後にクルマに登場したのはいつだっただろうか? 一過性の流行ではなく、決して覆ることのないような画期的なもの。オートマティック・トランスミッション、シートベルト、ESC……お分かりだろう。タッチスクリーンは間違いなくその類には入らない。

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EV主流の時代になれば、こうした新機能の導入は日常茶飯事になると思われるかもしれない。しかし、EV技術がいかに新しく、急速に進化していようとも、その本質はあくまで推進方法に過ぎない。効率性や航続距離、充電時間の改善は見られるが、次に乗る時に「これがないとどうしても物足りない」と感じるような機能は何かあるだろうか? 筆者には思い当たらない。そう、今までは。


テスラ・モデルY(英国仕様)    AUTOCAR

テスラ・モデルYに搭載された新しいAI音声アシスタント『グロック(Grok)』は驚くべきもので、クルマの使いやすさとドライブの楽しさを高める画期的な機能だ。初めて体験して以来、グロックのない他のクルマを運転するたびに、恋しく感じるようになった(翻訳者注釈:日本向けのテスラ車に関しては、現時点でグロック導入は確認できていません。この記事は英国仕様モデルYのレポートです)。

確かに、車載の音声コントロール自体は昔からあるものだが、トップレベルのシステムでさえ、指示を理解できなかったり、実行できなかったりと、あまり役には立たなかった。

一方、グロックは、クルマの操作に関して許可されていることのほとんどを、進んでかつ確実に実行できる(もしできない場合は、その旨を伝え、関連するタッチスクリーンメニューを案内してくれる)。本質的には、クルマの取扱説明書を学習し、インターネット検索も可能な、対話型AIチャットボットと言えるだろう。

ルートを案内し、好奇心も満たす

グロックを使うには、まずステアリングホイールのマイクボタンを長押しする(あるいは、最新のソフトウェアアップデート後は「ヘイ、グロック」と言うだけでいい)。そして、例えば次のように指示する。

「ブリストルの市街地まで案内して、駐車場を探してほしい。バッテリー残量60%で到着したい。途中でコスタコーヒーに寄りたい」


テスラ・モデルY(英国仕様)    AUTOCAR

数秒以内に、ルートがカーナビに設定され、充電スポットも自動的に決定され、温かい飲み物も手配される。これまでの音声認識システムからの典型的な返答が「申し訳ありませんが、その機能は実行できません」だったことを考えれば、これはかなりの進歩だ。

しかし、グロックは単にクルマの各種機能を操作するだけではない。運転の邪魔にならない形で、車内にインターネット環境をもたらすものだ。例えば、ある土曜日の夕方、M4高速道路を走っていると、反対車線を走るプリムス・アーガイルFC(英国のサッカークラブチーム)のバスとすれ違った。

グロックに、彼らがどのチームと対戦したのか、スコアはどうかと尋ねてみた。ピルグリムズ(プリムス・アーガイルの愛称)にとっては良い日だったが、筆者の好奇心にとってはさらに素晴らしい日となった。

ランニングのアドバイスまで?

目的地の天気、前方の充電ステーションの混雑状況、駐車場の料金、電車の運行間隔など、普段なら「後でググろう」と思うような旅のあらゆる側面について尋ねてみた。

他にも、その日の晩に筆者の応援するサッカーチームの試合が放送されるかといったことや、さらにはふくらはぎを痛めた後も運動を続けたくて、ランニングのフォームについて尋ねたこともある(もっとかかとを使って走り、重心をしっかりと前に移動させろと言われた。効果はあった)。些細なことのように聞こえるかもしれないが、実に役立つのだ。


テスラ・モデルY(英国仕様)    AUTOCAR

以前のレポートでも触れたが、タッチスクリーンの普及に伴い、自動車メーカーは物理的なボタンがない状況での操作手段として、音声コントロール機能を売り込んできた。しかし、それらの大部分があまりにも貧弱であることを考えると、単なる言い訳のようにも感じられてしまう。

これまでのところ、グロックがうまく動作できなかったのは、帰宅時の「景色のいいルート」を尋ねた時(自宅方向からかなり離れた場所へ連れて行こうとした)と、モデルYのローンチシリーズ版の具体的な特徴を尋ねた時だけだ。

これからのEVに「違い」をもたらすもの

この機能の質については、もっと広い視点から考えるべき点がある。EVのクロスオーバーからエンブレムやバンパーを取り除けば、見た目だけでなく走行性能においても、多くのモデルを見分けるのは困難だろう。車軸の間に大型バッテリーを搭載する必要性から、プロポーションやサイズ、そして重量に対応するためのダイナミクスも決まってしまうのだ。

もちろん、優れたクルマもあればそうでないクルマもあるが、共通点の方が多い。つまり価格や、近所のディーラーへの距離や信頼感が購入の決め手になりがちだ。では、このようなクラスにおいて、どうすればクルマを際立たせることができるのだろうか?

モデルYの場合、それはグロックだろう。活用すれば、クルマの使い方や楽しみ方を根本から変えることができる「イカした機能(killer feature)」と言えそうだ。