「楽な副業」はやっぱり甘いワナ…「SNSで月30万」のはずが「初期費用」要求され、報酬も払われず
「スキマ時間で楽にお金」「ノルマなし」「簡単なお仕事」
「スキマ時間で楽にお金を稼げる」とのインターネット広告を信じ、金銭をだまし取られる「副業詐欺」の被害が後を絶たない。
近年、副業を認める企業が増えており、国民生活センターは「簡単に稼げる副業は詐欺を疑ってほしい」と注意を呼びかけている。(小松大騎)
「ノルマなく、月30万円以上稼げる!!」
ウェブサイトのうたい文句に誘われ、現金をだまし取られたとして、東京都や鳥取県などの男女8人が、サイトを運営する大阪市の建築会社などに計約1400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3月、大阪地裁であった。判決は、被告会社による詐欺行為と認め、全額の支払いを命じた。
判決によると、原告らは2023年頃、ネットで副業を検索し、被告会社のサイトを見つけた。LINEの友達登録を行うと、被告会社から「文章をコピペする簡単な仕事で、金銭的な負担は生じない」とのメッセージを受信。続けて「収入保証と無料サポートがあり、初期費用として2万円弱が必要だが、すぐに収益でまかなえる」と説明を受け、被告会社の社員と一度も会わずに契約した。
すると、被告会社から電話などで遠隔操作アプリのインストールを求められたほか、「サポートプラン」と称して19万〜179万円の支払いを要求された。アプリを取得し、誘導されるままスマートフォンの画面を共有。複数の消費者金融から原告名義で借り入れて、その金を被告会社に送金するよう促され、その通りに実行した。
その後、求められた作業をこなしたが、約束されていた報酬は支払われなかったという。
借金促す
労働市場の調査・研究を行うパーソル総合研究所(東京)が企業約1500社などに実施した昨年8月の調査では、64%が副業を容認し、18年の調査開始以降、過去最高だった。正社員で副業をしている割合は若年層で上昇傾向にあり、20歳代が男性20%、女性13%と、いずれも年代別で最高だった。
消費者庁によると、国が企業に対して労働者の副業を推奨するようになった18年以降、関連する詐欺が増加。手軽なもうけ話をちらつかせて副業契約の諸経費を求め、消費者金融からの借り入れで捻出させる手口が多い。利用者は、副業で稼いだ金で返そうと考えるが、もうけ話に実態はなく、借金だけが残るという。
消費者庁は昨年6月、SNSで副業に誘って高額な「サポートプラン」を契約させ、報酬を支払わなかったとして、消費者安全法に基づき東京都内の会社の社名を公表。同社に関する相談は全国から110件寄せられ、計約1億5000万円の被害が確認されたという。
相談2・5倍
詐欺事件として立件されたケースもある。警視庁は今年2月、副業の紹介サイトに応募した堺市の女性に「初期費用が必要」などと電話をかけ、暗号資産をだまし取ったとして男らを逮捕。同庁は、男らが関与する詐欺グループがサイトを運営し、全国の約450人から計約7億円をだまし取ったとみている。
国民生活センターによると、簡単な作業をうたう「副業」関連の相談件数は24年度、3383件で、20年度から約2・5倍に増加。うちSNSでのトラブルが2428件と全体の7割強だった。若年層からの相談が多く、30歳代以下が60%を占めた。
同センターの担当者は取材に「SNSで見知らぬ人と連絡を取ることに、若年層ほど警戒心が薄く、被害の温床になっている。副業の希望者は、手軽なもうけ話について詐欺を疑い、企業も社員に注意喚起してほしい」と話す。
