「黒いダイヤ」に異例事態 クロマグロ豊漁も“漁獲枠”で喜べないワケ
今、クロマグロがとれすぎて困っているといいます。各都道府県で「漁獲枠」が決まっているためで、なかには、せっかくとったマグロを海にリリースせざるを得ない地域もでてきています。
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白いご飯の上にたっぷり、並べられたのは、その希少性から「黒いダイヤ」とも呼ばれ、高値で取引される「クロマグロ」です。
海鮮料理店・店主
「うちは希少部位を使っているので、食べた人は全員喜びます。しょっちゅう食べられるものではないので、昇進したとか、学校に受かったとか、いいことがあった時に食べたりすると満足度があって」
食事をしていたグループのテーブルに運ばれてきたのは、刺し身の盛り合わせです。最後に残したマグロを口にいれると…
客
「やばーい、もう溶けちゃった。(Q.口の中いれた瞬間?)本当溶けちゃって、おいしい。もう何も残っていない」
■とれすぎ…漁師たちを苦しめる事態


今、その、クロマグロが豊漁となっているのが、福井県です。巨大なマグロが、次々と水揚げされますが、漁業関係者から聞かれた声は…
福井県定置漁業協会・浦谷俊晴会長
「もう神様にマグロが(網に)入らないよう祈ってる」
さらに、SNSにはこんな投稿も…
漁業関係者のSNS
「今朝もマグロを逃がす作業。大喜びする日から一転…マグロ見てうんざりする」
クロマグロがとれすぎて、漁師たちを苦しめる事態が起きていたのです。
背景にあるのは、資源保護のため、国が各都道府県に割り当てた「漁獲枠」です。
福井県は、全国の中でも割当量が少ないのですが、小型のクロマグロがとれすぎて、4月の解禁からわずか2週間で、上半期の漁獲枠に達したため、水揚げを一部停止しています。
■漁獲枠制限で水揚げできず、逃がす


福井県の沖合では、この時期、定置網でブリやマダイを狙うということですが…
記者
「丸くて太い魚体、クロマグロです」
網の中には、マグロがかかってしまい、漁獲枠の制限で水揚げはできず、逃がす事態となっています。
福井県定置漁業協会・浦谷俊晴会長
「(大きなものでは)24〜25キロとかね。それが1人100本ずつ逃がさなあかんとなると大変」
「マグロはたくさん入ると網を破ってしまう、歯があるので。穴がいっぱいできるから大変」
影響は、商売道具の「網」にもでているといいます。とれすぎたクロマグロが漁師を悩ませています。
■“今年7月頃までは安値が続く”予想

今後、価格はどうなるのでしょうか。
田無漁港直売所・早津茂久社長
「三浦半島産の本マグロを半額サービスでやってます」
こちらの店では、1925円する生クロマグロの刺し身を1100円と、ほぼ半額で提供します。
田無漁港直売所・早津茂久社長
「今年は生の本マグロは、全国でとれているみたいです。豊漁が続いているということですね」
豊洲の大手卸業者は、今後も産地をかえてクロマグロがとれる見込みのため、今年7月頃までは安値が続くと予想していますが…
田無漁港直売所・早津茂久社長
「漁獲枠がいっぱいになったら、高くなる可能性はある。漁獲枠は増やしてほしいなと思っています。細かい話になれば、定置網に入ってしまうのは仕方がない。それをすててる漁師さんの心ってきびしいって思う」
■日本の「漁獲枠」調整に他国は…

クロマグロの価格に直結する「漁獲枠」は、国際的な調整の場で決定されるものですが、今後、どうなっていくのでしょうか。専門家は…
水産経済に詳しい 近畿大学・有路昌彦教授
「太平洋にすんでいる(クロ)マグロは、いろんな国の人たちがとっている。日本近海では以前よりはとれるようになっているが、そこでたくさんとってしまうと、他の国の人たちのところに回遊していった時に、その分がなくなってますよねという話になってしまう。簡単には他の国の人たちも(日本の漁獲枠を増やすことに)首を縦に振るわけではない」
