志田未来が畑芽育(めい)とW主演を務めるドラマ『エラー』(ABC・テレビ朝日系)が好評放送中だ。同作では、志田演じる会社員の大迫未央が、母親(榊原郁恵)の死をきっかけに、畑演じる引越センター社員の中田ユメと出会い、友情を育んでいく。未央の母はビルから転落して亡くなったが、その際、近藤(原田龍二)という会社社長が巻き添えを食って一時は意識不明の重体に陥った。そのため被害者側から賠償を求められて窮地に立たされた未央は、ユメから精神的に支えられることになる。だが、じつはユメは未央の母親の死に関して重大な秘密を隠しており、それを未央に告白するか否かで葛藤を続けていた。

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 物語は先週の時点で第4話まで放送され、未央とユメに、近藤の娘で高校生のさくら(北里琉)や、その同級生でユメの弟の太郎(坂元愛登)、またユメの上司で彼女とは既婚者であることを隠して交際していた佐久間(藤井流星)なども絡んで泥沼の様相を呈しており、目が離せない。何より、未央がユメから真実を明かされたとき、一体どんな行動に出るのかと想像すると、いまからドキドキしてしまう。

役作りはしないタイプ

 今回のドラマでは、物語を進めていくのは主にユメのほうで、未央はどちらかといえば受け身で、運命に突き動かされるように生きていく役どころだ。そんな未央を演じるにあたって志田は、監督から生っぽさやリアリティを出してほしいと注文されたという。もともと彼女は、そんなに役作りはしないタイプらしい。演じる職業について調べることなどはするものの、《今回の未央はそれがあまり必要ないと感じたので、固めすぎずに現場に行って、フラットな気持ちで演じられたらいいなと。それができたら、生っぽいお芝居が作品に反映されて、いいドラマになるんじゃないかと思っています》と話す(「magazine ABC」2026年4月12日配信)。


志田未来(2015年撮影) ©文藝春秋

 物語の内容からすれば、終始、重苦しい空気に包まれてもおかしくないのに、未央とユメの関係などはときにコミカルに描かれ、必ずしもシリアス一辺倒ではない。そうしたシーンも志田は畑と自然にやりとりするように演じており、なごませてくれる。

 面白いのは、主役を演じる志田も畑も子役出身ということだ。『エラー』での共演を見るかぎり、2人とも童顔で身長差もほとんどないせいか、同年代のように思えるが、実年齢でいえば志田のほうが9歳上だ。ちょうどドラマの第5話が放送されるきょう5月10日、33歳の誕生日を迎えた。

6歳で芸能界へ「やめたくなったらいつでもやめていい」 

 神奈川県出身の志田は、新聞で児童劇団の募集を見た母親から「やってみたら?」と勧められ、6歳で芸能界に入った。彼女としては習い事感覚で、「一度くらい記念にテレビに映ったらいいね」といった程度の気持ちで始めたという。それから1年ほどするとドラマに出演するようになっていた。

 もともと飽き性で、親もそれを知っていたので、志田が友達の習っていた水泳、ピアノ、バレエを自分もやりたいと言うたび、ことごとく止められた。子役の仕事を始めてからも母からは「やめたくなったらいつでもやめていいよ」とずっと言われてきたという。それでも続けてこられたのは、何よりも楽しかったからだ。子役時代、オーディションの前は寝られなかったり、泣いたりしていたが、いざ会場に行くと《いろんな人と話して、帰り道は「楽しかった、楽しかった!」って言ってる感じでした》という(『週刊文春』2010年10月28日号)。

 志田が演技の仕事を続けてこられた理由としては、小学6年生だった2005年にNHKのドラマ『ハルとナツ〜届かなかった手紙』に出演した経験も大きい。このとき《監督さんにいろいろ指導してもらって、初めて本当の意味での、演技をすることや集中することを学んだ気がします。(中略)あのドラマ以来、役として現場で演技をするっていうことが、本当に楽しくなってきたし、ずっとずっと続けていきたいって思うようになりました》と、後日振り返っている(『anan』2006年10月4日号)。

天海祐希からの教え「泣くシーンは60%くらいで」

 2005年には『ハルとナツ』と前後して、天海祐希が小学校の教師役で主演したドラマ『女王の教室』(日本テレビ系)でクラスの中心的存在である児童・神田和美を演じ、一躍注目を浴びた。

 このドラマの撮影中、泣くシーンで120%の力を出しすぎて、もう1回と言われてからまったく泣けなかったことがあった。あとで天海から「泣くシーンは60%くらいで泣かないと。ワンカット撮ったら終わりじゃないから」と教えられ、以来、加減を意識するようになったという。

『女王の教室』ではほかにも、みんなで一つのものをつくり上げていく姿のかっこよさと達成感など、さまざまなことを学んだ。それだけに《『女王の教室』に参加できていなかったら、この(俳優の)仕事を続けていなかったと思います》と振り返る(「毎日新聞」ウェブ版、2026年4月19日配信)。

“天才女優”と呼ばれた衝撃作

 中学に進学した翌2006年には『14才の母』(日本テレビ系)でドラマ初主演を果たす。14歳で妊娠し、自ら決意して出産するという役を、まだあどけない彼女が演じたとあって視聴者への衝撃は大きかった。本人も、役柄を初めて聞かされたときには「へぇ、妊娠する役なんだ」と軽く受け止め、深く考えずにいたのが、撮影が迫るにしたがい、だんだんその難しさを実感するようになったという。

 お腹が大きくなってからの動き方や食欲の変化を知るため、母親にも実体験を訊いたりして、撮影に臨んだ。劇中、予定よりひと月も早く産気づき病院に担ぎ込まれてからのシーンでは、ベッドの上で苦しみ続けるなどまさに迫真の演技を見せる。これにより志田は高い評価を受け、橋田賞・新人賞など放送界の各賞に多数輝いたほか、メディアでは“天才子役”を通りすぎて“天才女優”と称された。

志田未来だからできた役だよ」と言われるのが理想

 その後も、ドラマ『秘密』(テレビ朝日系、2010年)では38歳の母親の魂を体に宿した16歳の娘など、難しい役を次々と演じていった。『秘密』出演時のインタビューでは、役作りに苦心したのではないかとの質問に《特にしていないんです》と答え、《よく考えたら、役作りといっても具体的に何をしていいのかわからなくて(笑)。自然な状態で撮影に入って、わからないことは現場で聞いたりして作っていこうと》と語っていた(『anan』2010年11月3日号)。『エラー』についても同様のことを述べていたことを思えば、役に対する姿勢は一貫している。

『秘密』に出演した年の別のインタビューでは、《役者としては誰かを目標にしてとかはありません。自分らしさを出していきたいです。ただ、そのために意識してなにかをするのではなく、自然に演じ終えたときに、これは志田未来だからできた役だよ、って言われるのが理想。それが自分らしさなのかなって、そう思っています》と、当時16歳ながら自分の目指すべきものをはっきりと示していた(『GALAC』2010年1月号)。

連ドラでは数話のみの出演も

 その後、現在にいたるまで主演、助演を問わず、多くの作品に起用され続けているのは、「志田未来らしさ」を求められてのことなのだろう。そう考えると、彼女が連続ドラマに1話ないし数話のみのゲスト出演することが目立つのも納得がいく。たとえば、菅田将暉主演の『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系、2022年)では第10話に焼肉屋の娘役で、ワンポイントでの出演ではあったものの、作品の世界観にしっかり溶け込み、印象を残した。

 他方で、2019年に第1シーズン、翌年に第2シーズンが放送された『監察医 朝顔』(フジテレビ系)ではレギュラーとして、上野樹里演じる主人公の法医学者・万木朝顔が勤務する法医学教室の同僚のひとり安岡光子を演じた。光子はシリーズ開始時はまだ医学部生で、法医学教室で助手として働いていた。当時の光子はまだ法医学の重要性がわかっておらず、初めて入った司法解剖では白目をむいて倒れてしまうほどだった。

 それがやがて光子も法医学者になって、朝顔のよきパートナーとして活躍するまでに成長した。志田は、《光子は朝顔先生や法医学教室のメンバーを見ていて、自分もなにかひとつ得意なものがあったら力になれるのではないかと、こっそり勉強していたのではないでしょうか》とそのバックボーンも考えながら演じていたようだ(「ESSE online」2021年2月22日配信)。(つづく)

25歳で結婚、神木隆之介とは何度もケンカ、“推し活”で涙…33歳になった志田未来、「仕事もプライベートも充実」の理由とは?〉へ続く

(近藤 正高)