見えにくい不快が広がる ハラスメント意識の新局面
露骨な言動が減る一方で、違和感は消えていない。むしろ形を変え、日常の隙間に入り込んでいる。ハラスメントをめぐる意識は、より繊細な領域へと移りつつある。
日本インフォメーション株式会社の調査によると、ハラスメント行為の認知率ではセクハラ63.2%、パワハラ62.4%が上位を占めるものの、今回新たに対象となった「不機嫌な態度」を行うフキハラが注目される結果となった。フキハラは認知率こそ21.0%にとどまるが、他者にしてしまった経験では4.7%で最も高く、された経験でもパワハラに次ぐ位置につけた。直接的な圧力が減少する中、間接的な不快行為への関心が高まっている様子がうかがえる。
全体としては、ハラスメント行為の認知や経験はいずれも過去調査と比べて横ばいからやや減少傾向にある。社会的な問題意識の浸透が背景にあるとみられるが、その分、においや態度など、言語化しにくい領域に視線が向き始めている。においを対象としたスメハラ(スメルハラスメント)の見聞き経験がわずかに増加した点も、こうした変化を裏付ける。
企業対応への評価は二面性を帯びる。カスタマーハラスメント対策については、信頼性が高まるとする回答が49.6%、好感度が上がるが57.0%と、肯定的な見方が過半を占めた。一方で、問い合わせや意見が伝えにくくなると感じる人は39.5%、サービスの柔軟性への不安は40.4%に上る。対策の強化がそのまま満足度向上につながるわけではない現実がある。
さらに、デジタル領域でも新たな摩擦が生じている。AIの利用を巡っては、回答を押し付けられることや、個人情報を許可なく加工されることに不快感を覚える人がいずれも4割強に達した。利用の強制や制限といった運用面よりも、使い方や関わり方そのものが問われている。
調査は23歳から65歳の有職者1069人を対象に実施された。表面上の数値が落ち着きを見せる一方で、違和感の質は変化している。見えにくい不快をどう扱うかが、これからの職場や社会の課題となりそうだ。
