『とんかつ とんき 目黒本店』ロースかつ定食 2500円 衣が軽くて香ばしい。縦横に切る「かつ切り」も昭和14年の創業から変わらない。肉は国産

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とんかつ大好きな著名人、スタッフにも大好きな“イチ推し”を教わりました。どこもこだわりと持ち、歴史を重ねた名店揃い。皆さんの“イチ推し”と食べ比べてみても楽しいですよ。

ミュージシャン:小宮山雄飛さん“イチ推し”三度付けしてカリッと揚げた風味豊かな衣『とんかつ とんき 目黒本店』@目黒

『とんき』の店内は劇場だ。国産檜の壮大なコの字カウンター、客席から全ての調理が見渡せる厨房、職人がキビキビと働く清々しい姿はまるで舞台を鑑賞しているかのよう。

「いい加減な仕事はできないという緊張感がありますね。初代からのスタイルです」とは3代目の吉原さん。何だか食べ手の自分も登場人物のひとりになった気分になる。

品書きはロースかつ、ヒレかつ、串かつの基本3種。分業で仕上げるそれはカリッと黄金の衣が特徴だ。粉と卵を三度付けして衣に層を作ることで肉がふっくら揚がり、卵の味も乗っかって風味豊かになるそう。

ロースかつ定食2500円

『とんかつ とんき 目黒本店』ロースかつ定食 2500円 衣が軽くて香ばしい。縦横に切る「かつ切り」も昭和14年の創業から変わらない。肉は国産

花形とされる“かつ切り”は3代目の担当。縦横に切るのは食べやすいよう、さらに客の年齢や性別によってもサイズを調整するとか。そんな老舗の味をアテに一献も乙なものだが、定食にすれば羽釜で炊いたご飯とキャベツがお替わり自由の有難さ。

常連だった池波正太郎はロースで酒を飲み、串を定食にして〆たそう。“とんき劇場”、あなたはどう楽しみますか。

『とんかつ とんき 目黒本店』3代目 吉原出日さん

3代目:吉原出日さん「常に同じ味を作ることが最大の目標で一番難しいですね」

『とんかつ とんき 目黒本店』

[店名]『とんかつ とんき 目黒本店』

[住所]東京都目黒区下目黒1-1-2

[電話]03-3491-9928

[営業時間]16時〜21時LO

[休日]火・第3月

[交通]JR山手線ほか目黒駅西口から徒歩2分

ミュージシャン:小宮山雄飛さん

小宮山雄飛さんプロフィール/「ホフディラン」のVo&Key。ミュージシャンの傍らグルメ番長として食のシーンでも活躍し、雑誌やWEBの連載やレシピ開発なども行う。2026年7月にはデビュー30周年ライブ「30ディラン」を渋谷さくらホールで開催。

「子供の頃から通う店。味も値段も接客も完璧。池波先生も愛したロースは衣が薄くカリッとしてご飯もキャベツも旨い。」

タベアルキスト:マッキー牧元さん“イチ推し”脇役まで隙なし伝統の味わいを家族で守り続ける『ぽん多本家』@御徒町

ご存じ、とんかつ業界の重鎮といえばここ。宮内庁の料理人だった初代がウイーン風仔牛のカツレツをヒントに素材を豚肉に変え、日本の天ぷらの技法で確立させたのが伝統の「カツレツ」だ。

カツレツ3850円

『ぽん多本家』カツレツ 3850円 淡いきつね色の衣から肉の甘みと香りがあふれる。豚肉は関東産が中心。脂身は全てカットしているため、旨みはあるがクドさは皆無。後味軽やかで胃にもたれない

それは1枚1枚芯を取って手切りする脇役のキャベツまで全方位抜かりなし。肉は脂身を全て取り除いたロースの芯のみを使う。カットした脂を炊いて作る自家製ラードで揚げることで肉本来の香気と旨みが加わった理想の衣ができるそう。

いやあラードまで、何ならイチから仕込むウスターソースまで自家製を貫く店が他にあるだろうか。サクッと快音を響かせ噛み締めれば肉の上品な甘みが広がり、華やかな香りが鼻に抜ける。この誠実な手法と味を明治の創業時から守っているとは。ただただひれ伏すばかりである。

『ぽん多本家』(左)4代目店主 島田良彦さん、(右)5代目 島田秀彦さん

4代目店主:島田良彦さん、5代目:島田秀彦さん「初代から変わらぬ手法を継承していきたいと思います」

『ぽん多本家』

[店名]『ぽん多本家』

[住所]東京都台東区上野3-23-3

[電話]03-3831-2351

[営業時間]11時〜14時(13時45分LO)、16時半〜20時20分(19時45分LO)

[休日]月

[交通]地下鉄銀座線上野広小路駅A1出口から徒歩1分・JR山手線ほか御徒町駅南口から徒歩2分など

タベアルキスト:マッキー牧元さん

マッキー牧元さんプロフィール/全国・世界中を飲み食べ歩く自称タベアルキストでコラムニスト。「味の手帳」主幹。東京・虎ノ門ヒルズにある飲食店街「虎ノ門横丁」をプロデュースするなど幅広く活動している。

「何より思うのは香りの良さである。肉汁と共に滲む、ほの甘い香りと自家製ラードの香りが相まって至上の幸せを運ぶ。」

編集:武内慎司さん“イチ推し”トマトソースがとんかつの旨みをグッと引き立てる『とんかつ中根』@浅草

フレンチで研鑽を積んだ父が浅草で、まずはとんかつ店を開業。その後、ホテルの寿司店で腕を磨いた息子・康太郎さんが加わり、とんかつ&寿司という他にはない店が誕生した。もう25年近く前のことだ。

肉と脂のバランスに優れた大和ぶたのロースを使ったとんかつは、下に敷く自家製トマトソースのやわらかな酸味も相まって軽やかで上品な旨さ。香ばしい衣の味わいもいい調味料だ。

ロースカツ定食1870円

『とんかつ中根』ロースカツ定食 1870円 トマトソースにとんかつソースを混ぜてコクとスパイス感を加えても美味

そして毎朝豊洲で吟味した魚介を使った寿司は、キリッと米酢が効いたシャリに仕事をしたネタがのる端正な江戸前。どちらも甲乙つけ難いおいしさで、酒肴&お酒の揃えもいい。

今回は何を食べるべきかメニューを前にむむむと悩んでしまうこと必至……つまりは、食いしん坊にはこれほど楽しい店はないのだ。

『とんかつ中根』(左)店主 中根康太郎さん、中根夏紀さん

店主:中根康太郎さん、中根夏紀さん「仲間でいらしてどちらも楽しむ方も多いですよ」

『とんかつ中根』

[店名]『とんかつ中根』

[住所]東京都台東区浅草6-17-7

[電話]03-3875-6944

[営業時間]11時〜13時40分、17時〜21時

[休日]日・祝

[交通]東武伊勢崎線浅草駅北口から徒歩10分、地下鉄銀座線浅草駅5番出口から徒歩15分

武内慎司さんプロフィール/カツカレー、カツ丼まで含めると月に4〜5食はとんかつを食べている。好みはパン粉細かめのロース。小川町『やまいち』さんも好き!

「洋食の流れを汲むとんかつ。ホテルで腕を磨いた江戸前寿司。ふたつの贅沢が楽しめるなんて!」

カメラマン:鵜澤昭彦さん“イチ推し”魚介の旨みもまとった、市場ゆえの極上とんかつ『とんかつ小田保 場内店』@豊洲

90年前、築地での創業時からメインは、豚にこだわったとんかつだった。そこに市場で働く人たちのリクエストで魚介のフライも増えていったという。どれも市場で売られているものばかりで、ホタテは甘くアジはふっくら。さすがは市場の店。しかし、真っ先に頼むべきはやはり、とんかつなのだ。

ロースカツ定食1650円

『とんかつ小田保 場内店』ロースカツ定食 1650円 ロースは約180g。その旨さにペロリと食べて行く女性も多いそう

創業以来、さっぱりした脂が特徴のローズポークを中心に数種を使用。パン粉はザクッとした食感を演出するため粗めの生パン粉を使う。他店と違うとすれば揚げ油だろう。

ラードを使うのだが、「総入れ替えはせず、多い時でも半量。継ぎ足し継ぎ足しで使ってるんだ。油に魚介の旨みや香りが移って、かつがおいしくなるんだよ」(3代目・宏明さん)。

市場だからこそのとんかつを、ぜひ一度楽しんでみて。

『とんかつ小田保 場内店』(左)3代目 田中宏明さん、(右)2代目 克己さん

3代目:田中宏明さん、2代目:克己さん「熟練の技で父が丹念に揚げたかつで飲んでいく人も多いですよ」

『とんかつ小田保 場内店』メニューには魚介も多い

[店名]『とんかつ小田保 場内店』

[住所]東京都江東区豊洲6-5-1水産仲卸棟3階

[電話]03-6633-0182

[営業時間]5時半〜15時(14時LO)

[休日]水・日

[交通]ゆりかもめ市場駅前から徒歩3分

鵜澤昭彦さんプロフィール/還暦を過ぎてもなお、とんかつ、それも断然ロース派のカメラマン。食べる時はボリュームと味わいに心奪われているが、写真では断面の色合いの再現に気を配っている。

「寿司、海鮮丼などが揃う豊洲にあってボリュームがあり、しかも手頃でおいしいとんかつはこちらだけ!」

ライター:池田一郎さん“イチ推し”軽やか&ジューシーが見事に共存した老舗のロースかつ『とんかつ ゆたか』@浅草

創業時より「胃もたれしない、軽やかなカツ」を追求するロースかつは、その完成度の高さで人々を魅了し続けている。

ロースかつ定食2700円

『とんかつ ゆたか』ロースかつ定食 2700円 手作業で千切りされるみずみずしいキャベツも名脇役

「この軽やかさを実現するためには、必然的に使う素材や調理法が決まってくるんです」と語るのは初代の味を継ぐ3代目。

群馬県産やまと豚の旨みを生かすため、パン粉は国産小麦の食パンを挽いた自家製を使用。そして軽やかな食感を出すために、銅鍋で丁寧に揚げていく。綿実油と風味付けのラードを配合した独自の揚げ油は、一日の中で何度も交換し、常に綺麗な状態を保つのも軽やかさの秘訣だという。

こうして完成するかつは、上質な肉の旨みが染み出し、薄くまとった衣がサクッと解ける。これが老舗揃いの浅草で、長年愛されるとんかつの実力……ぜひ試されたし。

『とんかつ ゆたか』店主 稲吉修さん

店主:稲吉修さん「年配の方でもおいしく食べられる軽やかなとんかつです!」

『とんかつ ゆたか』

[店名]『とんかつ ゆたか』

[住所]東京都台東区浅草1-15-9

[電話]03-3841-7433

[営業時間]11時半〜14時半(14時LO)、17時〜20時半(20時LO)

[休日]水・木

[交通]地下鉄銀座線浅草駅8番出口から徒歩5分

池田一郎さんプロフィール/カメラマン鵜澤氏同様、還暦を過ぎてなおロースを求めてやまないとんかつラヴァー。『ゆたか』のほか『洋食・ワインフリッツ』や『とんかつ 燕楽』@池上も推しかつしている。

「サクッとした揚げ上がりと厚みある肉を噛み締めたときのジューシーな幸福感。総合力抜群な『ザ・とんかつ』!」

撮影/浅沼ノア(とんき)、西崎進也(ぽん多本家)、鵜澤昭彦(中根、小田保)、大西陽(ゆたか)、取材/肥田木奈々(とんき、ぽん多本家)、編集部(中根、小田保)、星野真琴(ゆたか)

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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※月刊情報誌『おとなの週末』2026年3月号発売時点の情報です。

『おとなの週末』2026年3月号

■おとなの週末2026年6月号は「ビールは旅。」

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