【F1】アロンソは1周で6台に抜かれ闘争心の糸ぷっつり 戦略は「大ハズレ」に終わった
F1第2戦・中国GPレビュー(前編)
中国GP決勝の32周目、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)はピットに戻ってマシンを降りた。
ステアリングやシートに伝わる振動がひどく、手や脚の感覚が失われかけたためだった。

中国GPも残念な結果に終わったアストンマーティン・ホンダ photo by BOOZY
「レースの20周目あたりから、手脚の感覚がなくなってきた。今日はバイブレーションのレベルがすごく高くて身体的に厳しかったから、いずれにしてもレースを完走することはできなかったし、すでに1周遅れで最後尾だったから、あのまま走り続ける意味はなかったんだ」
スタートで11位までポジションを上げたものの、抵抗する術(すべ)もなく、ずるずると順位を下げていき、キャデラックにも抜かれて15位まで落ちてしまった。フロントタイヤに熱が入らず、パワーとエネルギーマネジメントで劣ってもいる。
10周目にセーフティカー導入となり、ハードタイヤを履いていたアロンソはピットインせず、ステイアウトして11位まで挽回。しかし、当然ながらリスタート直後にフレッシュタイヤのマシンに次々と抜かれて、あっという間に17位まで後退を余儀なくされた。
「この周を放送に乗せてもらいたいね!」
1周で6台に抜かれたアロンソは、あきれた様子で言った。セルジオ・ペレス(キャデラック)にバックストレートで抜かれる際には、手を振るような有様だった。
タイヤ差を考えれば仕方のないことであり、10周目にセーフティカーが出た時点でハードスタートの戦略が大ハズレになってしまったのも大きかった。
いずれにせよ、この時点でアロンソの闘争心は完全に糸が切れてしまっていた。
そしてリスタート前、12周目の時点で「今日はバイブレーションが強い」と無線で伝えていた。
ペレスに抜かれたあとも攻防を続け、しばらくの間はよかったが、29周目のバックストレートで手をステアリングホイールから離し、ストレッチするような仕草を見せた。30周目にはピットアウトしてきたエステバン・オコン(ハース)に抜かれ、同じハードスタート戦略のハースにもピット1ストップ1回分の差をつけられた。
【走り続ける意味がない状況】「もうすぐピットインするしかない。バイブレーションがあまりにひどすぎる」
その無線に呼応するようにチームは、31周目のメインストレート、ターン6手前と出口、ターン11手前、バックストレートでも同じように両手をステアリングから離して動かすアロンソをピットインさせ、ミディアムに交換して送り出した。
「BOX THIS LAP」
アロンソはターン6出口で自らそうコールし、ピットに戻ってリタイアした。
おそらく、リタイアするならピットストップ練習をしてからということも含めて、この流れは事前に決めていたのだろう。
「今日は今週末のどのセッションよりもひどかったよ。理由はなぜかわからない。エンジンの回転数を下げたり、振動を抑えるための調整もいくつかトライした。だけど、レースのなかではオーバーテイクをしたり、リチャージしたりするために回転数を引っ張る必要もあるし、時間が経つにつれて(身体的に)どんどん厳しくなっていったんだ」
スプリントの19周は走破して17位。それよりも燃料搭載量が3倍になり、「フルタンク時には振動がマシになる」と言われていたのとは逆に、決勝では振動がひどかったのは意外だ。
アロンソがそう語るのだから確かなのだろうが、予選・決勝ではコクピットの振動を拾うセンサーは搭載していないから、数値で正確に把握・分析することはできない。いずれにしても、振動に耐えながら残り24周を走り続ける意味がない位置だったということは確かだ。
「彼も優勝争いをしている状況なら、耐えて走ることも可能だと話していた。だが、あの時点で強力なポジションを争っているわけではなかったから、(リタイアするという)この決定を下すのは極めて容易だったということだ」
アストンマーティンのチーフトラックサイドオフィサーで、実質的なチーム代表代行であるマイク・クラックはこう説明する。
だが、1周でも多く走り込んでデータを収集することが学びとマシン熟成につながる、という方針には反する。それだけ振動がひどかったということだろう。
ただし、アロンソのリタイアの原因を正確に言うなら、「車体の振動」だ。
