3月11日の給食「赤飯2100食」を廃棄、きっかけは匿名電話 実は“廃棄求めていなかった”…いわき市の判断に議論
福島県いわき市の市立中学校で、3月11日の給食の献立として「赤飯」を用意したものの、当日になって提供を取りやめた問題が議論を呼んでいる。
いわき市によると、当日の朝、被災者を名乗る人物から学校に1本の電話があった。震災で家族を亡くしたという人だったが、電話では赤飯の廃棄まで求めることはなかったという。
●「家族を地震で亡くした」という人から届いた朝の電話
いわき市学校支援課によると、3月11日、いわき市の小名浜学校給食調理場が担当する5つの中学校で提供する予定だった2100食分の「赤飯」を廃棄し、代わりに防災倉庫などに用意していた缶詰入りソフトパンを提供した。
同課によると、3月11日の朝、5校のうちの1校に「匿名」の電話がかかってきたという。
「家族を東日本大震災で亡くした。給食に赤飯が出るということで、経緯について教えてほしい」
学校とのやり取りの中で、電話の主は「わかりました。来年以降は気をつけてほしい」と話し、電話を終えたという。
●急きょ「廃棄」の判断
学校から情報を受けた教育委員会の担当者が上層部に相談したところ、最終的に教育委員会の教育長と幹部が「震災との絡みで赤飯を出すのは適切ではない」と判断。赤飯の提供を急きょ取りやめた。決定は11日午前11時15分ごろだったという。
学校の献立は生徒に配布されているだけでなく、インターネット上でも公開されているため、電話をしてきた人物が保護者かどうかは不明だとしている。
献立表には、「卒業お祝い献立」「3年生のみなさんは、給食を振り返って、どんな思い出がありますか? 今日と明日の給食も、みんなでおいしく食べてください」とのメッセージが添えられていた。
●市長も「もったいない」
この判断が報じられると、いわき市の内田広之市長はXで「私としては、3月11日に赤飯が重なってしまったことに対し、仮に、何らかの対処をするにしても、約2100食分破棄は、もったいないと感じています」とコメントした。
SNS上でも、震災の被災者への配慮を求める意見と、子どもの門出を祝うことを尊重すべきという意見の双方が出ている。また、食材を廃棄して「もったいない」とする指摘も相次いだ。
市の担当者によると、廃棄の判断につながった電話は温和に終わっており、赤飯を出すことが不適切と指摘したり、廃棄を求めたりする内容ではなかったという。
今回の判断が適切だったか、改めて検証が求められそうだ。
担当者は、学校に電話してきた人物も、今回の廃棄に驚いているのではないかと話している。
