幸せな生活、終了…6,000万円で二世帯住宅を購入した仲良し親子が「2人揃って自己破産」。発端は「息子の転身」
人生で一番大きな買い物とも言われる「マイホーム」。高額だからこそ、安易に購入するのは禁物です。もしも住宅ローンの組み方を誤れば、自分たちだけでなく親まで巻き込む深刻な事態を招くこともあります。本記事では、永峰英太郎氏の著書『人はこんなことで破産してしまうのか!』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集。資金面のメリットから「ペアローン」を組んだ親子が辿った最悪の事態をご紹介します。
ペアローンで二世帯住宅を購入した仲良し親子
東京都杉並区に住む50歳の男性は、親が住んでいた実家を継ぎ、妻と暮らしていた。ある日、写真館に勤める30歳の息子から、こんな相談を受けた。
「子供が生まれるのを機に家を買いたいんだけど、正直、お金が足りないんだ。よければ、親子ペアローンで二世帯住宅を建てない?」――。
ペアローンとは、夫婦や親子がペアで個別に住宅ローンを組み、各々が単独の債務者となり、お互いに連帯保証人となるというもの。2本のローンを合わせて一つの家を買う形だ。
夫妻と子供夫婦の仲はとても良かった。それもあり、男性の妻は「いいんじゃない。孫の面倒も見られるし。楽しそう」と賛成した。
ペアローンは、親と子供が個別に住宅ローンを組めるため、1人でローンを組むよりも大きな金額を借りられるという側面がある。
2人はお互い月7万円返済の30年ローン(ボーナス年20万円払い)を組み、約6000万円の家を建てた。
息子が会社員からフリーのカメラマンへ…転落の始まり
5年ほどは順調であった。親と子の関係性も良くなる一方で、男性の妻は毎日楽しそうだった。
6年が経った頃だった。36歳になった息子が会社勤めをやめて、フリーのカメラマンへの転身を図る。その結果、社員時代よりも年収は減り、かつ不安定となった。彼は少しずつ、お金に苦労するようになっていく。しかし、そんな素振りは親には見せなかった。
親と子の間には、二世帯住宅を購入する際、一つの決め事があった。それは「ローンは責任を持って、滞ることなく払う」というものだ。
それゆえ、息子は貯蓄を切り崩しながら、何とかローンを払い続けた。しかし、それにも限界があった。ついに息子は、父親に打ち明けた。
「ごめん。フリーになって仕事は増えてきているんだけど、お金で苦しんでいる。少し援助してほしい」
息子が自己破産、その影響が父にも…最悪の事態へ
じつは、親子ペアローンには、大きな弱点がある。
それは、片方が返済に行き詰まったとき、もう片方がフォローすることが難しいという点である。親もローンを返済中だからだ。とても子供の分まで払う余裕はない。購入前に「ローンは滞ることなく払う」という約束をしたのは、そのためもあった。
男性には、実家を売却した資金が1000万円ほど残っていた。その中から500万円程度を息子に渡した。息子はフリーになったことを後悔し、再就職を目指すも、コロナ禍で、就職先が見つからなかった。500万円は生活費にも使われ、2年後には底をついた。
しかし、もはや男性には余裕がなく、これ以上のフォローは難しかった。息子は「1回きりだ」と、消費者金融でお金を借りて、月7万円の返済を何とか続けたが、ボーナス払いが発生した月、ついに返済ができなくなる。
男性は、息子と話し合い、息子の自己破産を決める。しかしこれが、大きな不幸をもたらすことになる。
ペアローンの場合、1人が自己破産をすれば、その残りのローンは、もう1人に一括返済の請求がされるのである。2人は、お互いに連帯保証人となっていることを失念していたのだった。
この時点で、息子が残したローンは2000万円。男性に支払う余裕はなかった。結局、親と子が自己破産するという最悪の事態となった。
親子ペアローンは「共倒れ」の危険性が高い
親子でペアローンを組むにあたって、まず理解しておくべきは、この形態は、片方が支払えなくなったら、共倒れになる可能性が高くなるという点だ。
今回のケースのように、「片方が破産→もう片方に一括返済の請求→もう片方も破産」という負のスパイラルに陥るケースが多いのである。
それだけに「会社を辞める」といった、収入が不安定になる決断は、よほどの事情がない限り、避けるべきだろう。
また、1人で住宅ローンを組む場合と比べ、ローン契約が増える分、借入額を増やすことができる。しかしながら、それを「当然のこと」と思うのは、あまりにリスクが高すぎる。万が一のときにはどちらか1人が返済に苦しむことも想定しながら、借入額を決めることが大切だ。
永峰 英太郎

