立民系は「187人落選」も、公明系は「4議席増」…中道をめぐる“天国と地獄”に元民主党事務局長は「有権者に見限られたのは立民」「同情すべき点が見当たらない」
第1回【「中道」立候補者の“生還率”はわずか20%…パンデミック級の大惨敗に元民主党事務局長も「有権者に“選挙互助会”と見抜かれた」「生活者ファーストというスローガンも意味不明」】からの続き──。2025年10月、高市早苗氏が首相に就任すると、政権発足当初から高い支持率が大きな注目を集めた。その頃、政治アナリストの伊藤惇夫氏が立憲民主党の国会議員と会うと、「もし今、衆議院が解散になったら、議席が半減してしまう」と危機感を募らせていたという。(全2回の第2回)
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だが、実際の選挙結果はご承知の通り。中道改革連合のなかで、立民出身者の当選はわずか21人に留まった。1998年に結成された民主党で事務局長を務めた伊藤氏が言う。

「2024年の総選挙で立民は148議席を獲得しました。半減しても74議席ですから新党を作らなかったほうがよかった。小選挙区制における“学会票”は1万から2万票と言われています。立民側は『自分たちの基礎票に学会票が加われば、小選挙区制では自民党の候補と互角の勝負ができる』と判断したのでしょう。ところが蓋を開けると学会票のプラスより、離反した無党派層のほうが多かったわけです」
2024年10月の衆院選で、当時の自民党総裁は石破茂首相だった。選挙は自民党にとって厳しい戦いとなり、自民は公示前の258議席が191議席に減少するという敗北を喫した。この時、メディア各社の出口調査で無党派層の投票先1位は立民だったことが明らかになっている。
「ところが今回の衆院選では無党派層の投票先1位は自民党でした。つまり2024年の衆院選で有権者は一度、立民にチャンスを与えたわけです。ところがその後の1年数カ月、立民を見ていても期待に全く応えてくれないと落胆したのでしょう。今回、中道のうち立民系の候補者が大敗したのは、立民が見限られたという側面もあったのではないでしょうか」(同・伊藤氏)
同じ失敗を繰り返した立民
皮肉なのは、公明系の議員は“躍進”を果たしたことだ。公明出身の候補者だけをピックアップすると、28人の全員が比例で当選を果たしている。おまけに公示前の勢力は24議席だったため、4議席の上乗せに成功したことになる。
中道は236人が立候補して49人が当選。その“生存率”を計算すると20・76%になる。これから公明系の議員を引いてみよう。結果は208人の立候補者に対し当選者は21人になるため“立民系の生存率”は何と10・09%になる。
「思い出すのは2017年に起きた『希望の党』の大騒動です。小池百合子さんの都民ファーストの会が国政に進出するにあたり、当時の民進党が合流して希望の党が誕生します。ところが小池さんは記者会見で、安全保障や憲法改正といった政策が一致しない民進党系の議員は『排除する』と明言。この発言が有権者の反発も招き、党内が大混乱に陥った苦い過去があります。この騒動が原因となって立憲民主党が誕生したわけですが、その立民が公明と合流すると、立民系は屋台骨が崩れるほどの大敗を喫したにもかかわらず、公明系は躍進を果たしました。言葉は悪いですが、今回の衆院選の結果に公明系は“ウハウハ”でしょう。立民が似た歴史を繰り返したところに、立民系の“弱点”が浮かび上がっている気がします」(同・伊藤氏)
立民側の重い責任
世間知らずの資産家の子弟が、海千山千の連中に“カモ”にされ、骨までしゃぶり尽くされてしまう──そんなイメージも頭によぎる。
伊藤氏は「厳しい指摘なのは承知していますが、立民系の国会議員に同情すべき点を見つけるのは難しいと言わざるを得ません」と指摘する。
「健全な民主主義には、国会における与党と野党の建設的な議論が不可欠です。そのためには野党も一定の勢力を有している必要があります。ところが野党第一党だった立民は衆院選で大敗し、自民の圧勝を許してしまいました。こうなると誰も高市さんの政策をチェックできなくなってしまいます。しかも大敗の原因の一つとして、立民系の議員が原発や安全保障といった重要政策を全て公明党に譲り、比例区でも公明系の議員を優遇したことが挙げられます。もちろん高市旋風の威力は圧倒的でしたが、立民系の読み誤りが自民党の大勝を招いた側面もあると思います。国会におけるブレーキ役が消滅してしまった責任を、特に立民系の国会議員は痛感する必要があるのではないでしょうか」(同・伊藤氏)
第1回【「中道」立候補者の“生還率”はわずか20%…パンデミック級の大惨敗に元民主党事務局長も「有権者に“選挙互助会”と見抜かれた」「生活者ファーストというスローガンも意味不明」】では、なぜ中道は「高市さんをいじめるだけの野党」と受け止められてしまったのか、中道の“選挙戦略の大失敗”が壊滅的な敗北を招いてしまったことを詳細に報じている──。
デイリー新潮編集部
