時間を効率よく使ってお金をたくさん稼ぐにはどうすればいいのか。デルタクリエイト代表の佐藤舞(サトマイ)さんは「1日2時間の自由時間をどう使うかが重要だ。私は時給800円でアルバイトをしていた学生時代、たった2時間で100万円を浮かせることができた」という――。

※本稿は、佐藤舞『あっという間にお金はなくなるから』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/BBuilder
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BBuilder

■「一日24時間」は万人に平等

「時間資本」は失うと取り戻すことのできない不可逆的な資本です。そして、「一日24時間」「残りの寿命はわからない」と、万人に平等に与えられている特殊な資本です。

日々を漫然となんとなく過ごしていると、時間が無限にあるかのように錯覚してしまいます。

前著『あっという間に人は死ぬから』では、「死ぬまでの有意義な時間の使い方」をテーマに、生産性UPの話にとどまらず、自分の人生に意味や目的を見出すことの重要性について記しました。

ここでは、「時間×お金」という観点から、時間資本の効率的な配分についてまとめてみたいと思います。

■時給800円の学生がたった2時間で100万円を浮かせた

お金と時間に対する私の考え方が大きく変わったのは、大学2年生の冬でした。きっかけは、ゼミの教授のひと言でした。

「佐藤さん、授業料免除の申請、出してみたら?」

その制度の存在は知っていました。でも、自分には関係ないと思い込んでいました。何より、調べるのが面倒だったのです。

けれど、教授に背中を押され、ものは試しと申請してみることに。すると、あらびっくり。あっさり通ったのです。ゼミの担当教授は、ゼミ生の家庭環境や成績をよく知っている立場です。「この子なら通る」と見込んでくれたのだと思います。卒業後もお世話になり続けている、生涯の恩師の一人です。

結果、大学3年と4年の授業料が全額免除。国立大学の年間授業料は当時およそ50万円。つまり、100万円以上の学費が浮いた計算になります。

申請書を書くのにかかった時間は、せいぜい2時間ほど。

「2時間で50万円が浮いた? 時給換算にしたら25万円?」

当時の私は時給800円でアルバイトをしていたので、あまりの差にたまげました。そして、深く後悔します。

「もっと早く知っていれば。もっと早く動いていれば。自動車学校のローンも、教材費も、合宿費もまかなえたかもしれない。バイトを減らして研究に時間を使ったり、友達と旅行に行ったりもできたはず」と。

そのとき初めて、思いました。

「時間という資本を、どこにどう配分するか。これって、めちゃくちゃ大事なことなんだな」と。

■「申請してもどうせ通らない」と正当化していた

当時は、その気づきを、うまく言葉にできたわけではありません。でも、振り返れば、大きな転機でした。

皮肉なことに、経済学の授業では、こういう身近な例はあまり出てきませんでした。

時間の投下配分を考えてみる。ただそれだけのことが、私には強烈なインパクトでした。複雑な理論でも難解な式でもない。ただの算数です。

人生に役立つ知恵って、結局のところ、義務教育の応用で何とかなるのかもしれない」

今では、そう感じています。

つまるところ、「慣れない書類を書く」ということが、“すごく面倒なことだ”と、自分の中で過剰に捉えていただけでした。そして、その考えを正当化するように、“自分が申請してもどうせ通らない”と、よく調べもせずに思っていました。でも、考えてみたら、週6〜7でバイトに行くほうが、よっぽど面倒くさいです。

この頃から、“あとで頑張らなくていいように、今頑張るのって大事”という価値観が芽生えました。

写真=iStock.com/Richard Stephen
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Richard Stephen

■自由時間は「どう増やすか」ではなく「どう使うか」

ではここで、平日の一般的なタイムスケジュールをざっくり出してみましょう。

睡眠:8時間
仕事:8時間
移動や支度:2時間
食事・家事・風呂:3時間
トラブル対応などのバッファ:1時間

合計22時間です。

残るのは、自由時間としての2時間。この2時間を「どう増やすか」ではなく、「どう使うか」を考えてみましょう。

ポイントは二つ。

1 「緊急ではないが重要なこと」に使う
2 戦略的に休む

それぞれ、見ていきましょう。

1 「緊急ではないが重要なこと」に使う

「緊急ではないが重要なこと」に、一日1〜2時間程度の時間を確保することは、未来の資本形成につながります。

健康資本: 軽い運動や食生活の見直し
金融資本: 家計管理や資産形成の勉強
人的資本: スキル習得や考える時間
社会関係資本: 人と会う、話す、相談する
心理的資本: 家族や友人との語らい、日記を書く、瞑想する、気持ちを整える

目に見える成果はすぐに出ないかもしれませんが、これらは資本を積み上げる時間です。

一日2時間でも、一年続ければ730時間です。立派すぎる積立投資になります。

まとめて2時間確保しなくてもいいです。通勤通学の途中や、仕事の休憩時間など、「ながら」や「すきま時間」に細切れに、育てたい資本を増やす行動を入れていってみてください。

たとえば、私であれば、この原稿を書いている間、1時間執筆したら、デスクの後ろにあるトランポリンで3分跳ぶ。このようなマイクロワークアウトを一日に数回行って、運動量を稼いでいます。

■疲れたら戦略的にニートになる

2 戦略的に休む

そうはいっても、「時間は作れても、気力が追いつかなくてできない」ということもありますよね。私自身、仕事のストレスがひどい時などはそうです。

その時は、潔く「休んで回復を待ちましょう」。

多くの方は(私を含めて)、休むことに罪悪感を感じているのではないでしょうか?

しかし、特に慢性的なストレスに蝕まれている時は、あらゆる行動のパフォーマンスを落とします。私は、そんな時、可能な限りストレス源から逃げて、空白期間を設けます。

思い切って休むのが怖いと思うかもしれません。でも私の経験では、人生が好転したのは、いつも「休み」を挟んだ後でした。

・会社員 → ニート(適応障害で退職) → 起業
・起業 → うつ → 休職 → YouTuberとして再出発
・登録者は爆発的に増えるもバーンアウト → 2週間の海外旅行 → 帰国後に出した本がヒット

私は、これを「戦略的ニートのすすめ」といって啓蒙しています。

■「休みすぎ」は逆効果

もちろん、これらは、私自身の実体験で、科学的な根拠があるわけではありません。しかし、休むことは無駄ではありません。心身を整えるために必要な「投資」と私は捉えています。

会社員など長期的な休暇を取りにくい人は、「1日休み」「半日休み」が現実的でしょう。休みの間は、「自分資本の形成」とか小難しいことから離れて「完全休息」の時間を持つ。そのときは「休む」ことに罪悪感を持たないことがコツです。

ただし、「十分休めたかな」と思ったら日常に復帰しましょう。時間がありすぎることが心身に悪影響を与えるという研究もあるからです。

一日5時間以上の自由時間を持つ人ほど、うつ病や認知症のリスクが高まるというデータがあるのです。人は「時間が足りないこと」にはある程度耐えられます。けれど、「時間を持て余すこと」には意外と弱いんですね。

だから大切なのは、「時間の量」ではありません。考えるべきは「時間の質」や「使い道」です。

佐藤舞『あっという間にお金はなくなるから』(KADOKAWA)

具体的に、今日からできることは二つです。

1 「一日2時間」の予定枠を確保する

手帳やスマホのスケジュールに、「資本形成」として2時間分のブロックを入れてみてください。最初は30分でも構いません。「自分の未来のためだけに使う時間」を意識的に確保するのが第一歩です。

2 「完全休息日」をカレンダーに先に入れる

戦略的ニート、数週間の休養、2〜3日の一人旅、1日・半日の完全休息日。

形式は問いません。「休み」時間を予定に入れておくことで、「よーし、来月の休暇の前に仕事を片付けよう」と、メリハリができます。

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佐藤 舞(さとう・まい)
デルタクリエイト代表・桜花学園大学客員教授
デルタクリエイト代表。数学アレルギーから学生時代より文系の道に進むが、国立福島大学経済経営学類に入学後、統計学と出会い数学アレルギーを克服する。在学中、野村総合研究所主催の「マーケティング分析コンテスト」入賞。卒業後、一般企業に就職。その後、26歳で独立、データ分析・統計解析事業を始める。データの活用を通して意思決定コストを削減し、組織力をあげることを得意とする。総務省からの依頼でもセミナーを開催し、参加者の満足度の高さから依頼のリピート率が100%になっている(2022年2月時点)。YouTubeチャンネル「謎解き統計学|サトマイ」を運営。チャンネル登録者数は約39.7万人(2024年9月時点)。統計学やマーケティングリサーチを元にした時事ネタの解説が人気を博している。2024年2月20日より桜花学園大学客員教授に就任。
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(デルタクリエイト代表・桜花学園大学客員教授 佐藤 舞)