新横浜ラーメン博物館(横浜市)は、30周年を迎える2024年へ向けた取り組みとして、過去に出店した約40店舗が2年間かけて3週間のリレー形式で出店するプロジェクト「あの銘店をもう一度」を2022年7月1日から始めています…

新横浜ラーメン博物館(横浜市)は、30周年を迎える2024年へ向けた取り組みとして、過去に出店した約40店舗が2年間かけて3週間のリレー形式で出店するプロジェクト「あの銘店をもう一度」を2022年7月1日から始めています。このプロジェクトにあわせ、店舗を紹介する記事の連載も同時に進行中。新横浜ラーメン博物館の協力を得て、「おとなの週末Web」でも掲載します。

トロントから初上陸した“カナダ流鶏白湯”

第28弾は逆輸入ラーメン第5弾として、カナダ・トロントから初上陸した「麺や颯 RYUS NOODLE BAR」さん。日本と北米の食文化が融合した“カナダ流鶏白湯”をお楽しみください。

【あの銘店をもう一度・第28弾・「麺や颯 RYUS NOODLE BAR」】
出店期間:2024年2月1日(木)〜2024年3月3日(日)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※第26弾「無垢ツヴァイテ」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる

・過去のラー博出店期間
2018年10月17日〜2021年6月20日

過去のラー博出店当時の様子

岩岡洋志・新横浜ラーメン博物館館長のコメント「日本の鶏白湯とは違う個性的な味わい、トッピングのメイプルバターがおすすめ」

私たちがカナダの調査に行ったのは2015年でした。バンクーバーとトロントの2都市を訪れましたが、想像以上にラーメン店の数も多く、人気もあり、定着していました。カナダでは“スパイシー味噌”が人気で、ある意味カナダのご当地ラーメンとでもいうくらい、どこのラーメン店でも提供されていました。

そんな中、私たちの目に留まったのが「RYUS NOODLE BAR」さんのラーメンでした。店主の高橋さんは流行りのスタイルに左右されることなく、自分が作りたい味を追求されていました。

ジャンルで言うと鶏白湯なのですが、日本の鶏白湯とは違い、クセがなく甘味が前面に出た個性的な味わいでした。高橋さん曰く、トロントは人種のるつぼで、宗教的に豚が食べられない方も多くいるようで、そういった背景があった中で、鶏を中心にラーメンを作っていたら今の味にたどり着いたようです。日本のオーセンティックなラーメンにカナダ人が好む味を複合させているため、日本人が食べても新しいと感じるのかもしれません。

今回は短い出店期間にもかかわらずトロントからお越しいただけますので、この機会にぜひカナディアン鶏白湯をお召し上がりいただければと思います。トッピングのメイプルバターがおすすめです。

海外店舗の第5弾として、カナダに着目

新横浜ラーメン博物館では世界21カ国38都市のラーメンを調査し、2013年より、日本にお店がなく、海外で独自に誕生し、地元で支持を得ているラーメン店を誘致・紹介する企画をスタートしました。

この企画の目的は、海外は日本とは違い、ラーメンを作る環境が整っていない中で、知恵と工夫で日本では生み出せないラーメンが誕生しており、その味や志を紹介するというものです。第5弾として着目したのはカナダ。カナダの中でもトロントの「RYUS NOODLE BAR」が2018年に出店しました。

カナダ初のラーメン店は1989年に進出した「えぞ菊」

カナダのラーメンの特徴は日本やアメリカからの進出が多く、バンクーバーやトロントで成功したお店が地方都市に進出する傾向があります。

また、ラーメン店のスタイルはNYや欧州のレストラン形式とは違い、日本に近いファストフード形式です。現在カナダには150軒前後のラーメン店があり、カナダで最初のラーメン店は1989年に日本からバンクーバーに進出した「えぞ菊」と言われています。

当時は日本のバブル絶頂期で日本人企業の駐在員や旅行者がターゲットでした。カナダのラーメン事情が大きく変わったのが2010年で、日本の「山頭火」がバンクーバーに進出した頃からです。

トロントの「山頭火」行列(2015年撮影)

この頃アメリカでは既にニューヨークやロサンゼルスを中心にラーメンブームが起こり始めていました。

トロントはカナダの経済の中心地、先住民の言葉で「出会いの場所」

カナダの国土はロシアに次いで2番目の大きさで、その面積は日本の26.4倍に相当します。その中でトロントはカナダ(約3699万人)で最も人口が多い都市(周辺を含めた大都市圏で約590万人)です。日本までは約1万km。直行便で約13時間かかります。

直行便で約13時間

カナダ経済の中心であるトロントは、ほかにもメディア、芸術、映画、観光、スポーツなどの産業基盤が発達しています。

観光では「ナイアガラの滝」が世界的に有名な観光地と知られています。

ナイアガラの滝

トロントとは先住民のヒューロン族の言葉で「出会いの場所」という意味があり、その名のとおり様々な土地からの移住者によって構成されています。その割合はマイアミに次いで世界第2位となっていて、人種のモザイク(cultural mosaic)とも言われています。しかし犯罪率は低く、英国のエコノミスト誌が発表している「世界で最も住みやすい都市ランキング」では常に上位にランクインしています。

カナダ人に愛されている味覚「甘味」を生かす

「RYUS NOODLE BAR」の店主、高(※高は本来はハシゴ高)橋隆一郎さんは、日本の飲食店で6年間働いた後、2009年にカナダ・バンクーバーへ留学。その後、バンクーバーの飲食店で働き、永住権を獲得しました。2013年に独立したのを機にトロントへ移住し、「RYUS NOODLE BAR」を開業しました。

創業者の高橋隆一郎さん

高橋さんが目指すラーメンは、「本格的な日本のラーメン」と「カナダ人が好む味覚」の融合。人種のモザイクであるトロントでは、様々な食文化が存在し、味の嗜好性は北米特有の「バーベキューソース」などに代表される甘味や辛味などの味覚がはっきりしたものが好まれます。

RYUS NOODLE BAR創業店外観(現在は移転)

高橋さん曰く「甘味は特にカナダ人に愛されている味覚です。しかし単純に砂糖などで甘さを出すのではなく、野菜を中心とした食材が持つ甘味を最大限に生かし、カナダ人の味覚に馴染むように研究を重ね、なおかつ日本人が食べても美味しいと思える味わいを目指しました」とのこと。

ラーメンを作る高橋さん

実際、カナダの料理は比較的甘い味付けが多いのが特徴です。カナダの国旗にも描かれているメイプルは、先住民たちがメイプルの樹液を石のように固いメイプルシュガーと呼ばれる砂糖の塊にして保存し、過酷な冬を生き抜くための貴重なエネルギー源としていました。

また、トロントは様々な宗教や思想を持った人々が住んでいるため、ベジタブルラーメンは必須になります。そのため、スープに使う動物系素材には豚を使わず、鶏メインで作っています。

カナディアンのハートをつかんだ鶏白湯

下記動画は、2018年ラー博に出店当時の紹介動画です。

鶏の旨味、野菜ポタージュの甘味、魚介ダシのコク「カナディアン鶏白湯」

「RYUS NOODLE BAR」のシグニチャーメニューである「RYUS鶏白湯ラーメン」は、良質な鶏と野菜を長時間弱火で煮込み、一晩熟成。翌日、一気に強火で炊き上げ白湯に仕上げます。

RYUS鶏白湯ラーメン(2018年撮影)

長時間かけて抽出した鶏の旨味と野菜ポタージュの甘味、そして凝縮した魚介ダシのコクが調和した鶏白湯は、日本では味わえない独自性に富んだ、まさに”カナディアン鶏白湯”です。

鶏白湯スープ

麺はスープとのバランスを考え自然な旨味、甘味を出すようミネラル豊富な全粒粉を使用した中細のストレート。

中細のストレート麺

チャーシューは豚バラ、低温調理した鶏の二種類を使用。他には、水菜、メンマ、白きくらげ、ゴマ、レモンゼストという構成です。

32日間の出店「西京味噌薫る鶏白湯味噌ラーメン」なども提供予定

今回期間中、シグニチャーメニューである「RYUS鶏白湯ラーメン」を中心に前回出店した時に提供した「西京味噌薫る鶏白湯味噌ラーメン」なども提供予定です。

西京味噌薫る鶏白湯味噌ラーメン

「RYUS NOODLE BAR」はコロナ禍の中、一時休業もありながら、2021年の6月にラー博を卒業しました。最後の1年ちょっとは限られた人しか味わえませんでしたので、この機会にぜひお召し上がりいただきたいです。

「RYUS NOODLE BAR」の味が味わえるのは2024年2月1日(木)〜3月3日(日)の32日間です。皆様のお越しをお待ち申し上げております。

【「RYUS NOODLE BAR」本店】
BROADVIEW AV.
786 Broadview Avenue, Toronto ON M4K 2P7
https://ryusnoodlebar.com/

『新横浜ラーメン博物館』の情報

住所:横浜市港北区新横浜2-14-21
交通:JR東海道新幹線・JR横浜線の新横浜駅から徒歩5分、横浜市営地下鉄の新横浜駅8番出口から徒歩1分
営業時間:平日11時〜21時、土日祝10時半〜21時
休館日:年末年始(12月31日、1月1日)
入場料:当日入場券大人450円、小・中・高校生・シニア(65歳以上)100円、小学生未満は無料
※障害者手帳をお持ちの方と、同数の付き添いの方は無料
入場フリーパス「6ヶ月パス」500円、「年間パス」800円

※協力:新横浜ラーメン博物館
https://www.raumen.co.jp/