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世界最強の制動力を生み出すブレーキ

ピニンファリーナ・バッティスタの車重は、フェラーリ296 GTBより約500kg重い。同等以上のダッシュを披露するには、900ps前後の最高出力では足りない。

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2302kgでパワーウエイトレシオを並べるには、約1258psが必要になる。確かに驚異的に速かった。とはいえ、1500ps以上を実感させる勢いはなかったとも思う。


ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)

乗り心地は上質で、独特の高級感を伴う。サスペンションは、前後ともダブルウイッシュボーン式。レーシングカーのように、直接モノコックへ取り付けられているのも特徴だろう。

ただし、理想的なミドシップ・スポーツカーのように、アクセルペダルの加減でコーナリングラインを自在に調整できるバランスまでは備わらない。安全性と乗りやすさが優先されているようだ。

ステアリングはバイワイヤーで、レシオのクイックさやステアリングホイールの重み付けを調整できる。タイヤからのフィードバックは、殆ど伝わってこないけれど。

ブレーキは、ブレンボ社製で非常に有能。アウトモビリ・ピニンファリーナ社によれば、フロントに組まれる直径390mmのカーボンセラミック製ディスクは、世界最強の制動力を生み出すらしい。

バッティスタの軽くない車重を、完全に忘れさせることはない。それでも、ポルシェ911 ターボと競っても、劣らないパフォーマンスを発揮するように感じた。

カーボン製シャシーの製造はリマック社

インテリアは、トリノ生まれの量産車でありながら、プラスティック製部品が殆どない。トリノ・カンビアーノに設けられたアウトモビリ・ピニンファリーナ社の工場で、精巧に仕上げられている。

同社は、バッティスタをハイパーカーではなく、電動スーパーGTだと表現している。確かに動的特性はそれに準じている。だが、荷室は薄く狭い。オプションのラゲッジセットは、2万5000ユーロ(約363万円)するそうだ。


ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)

生産ペースは、今のところ2週間に1台だというが、毎週1台までペースアップさせる予定とのこと。ラインオフした車両は、殆どが北米市場へ輸出されている。

この工場での作業は、走行可能な状態のシャシーが届いてから始まる。クロアチア・ザグレブ郊外にあるリマック社の工場で、パワートレインが組み込まれたカーボン製シャシーが作られている。

基本的な技術は、リマック・ネヴェーラと同じ。しかし、アンチロールバーとバンプストップ、ダンパー、ルーフ、車内のインターフェイス、発生する熱の管理などは、バッティスタ独自のものだという。

カンビアーノの工場では、品質チェックと各部の再組み立てが行われ、その後にボディとインテリアが組み付けられる。ボディパネルの製造公差は6mm以下。スペーサーを介してシャシーとのフィッティングが確認されると、1度取り外して塗装に回される。

この丁寧な仕事をこなすのは、25年前後の経験を有する職人たち。バッティスタは、高品質な風格を漂わせる。

実力を世界に証明したバッティスタ

計画では150台のバッティスタが作られることになっているが、すべて売れるだろうか。欧州での価格は220万ユーロ(3億1900万円)で、超が付くほど裕福なコレクターに選ばれることになる。

アウトモビリ・ピニンファリーナ社は、インドのマヒンドラ社へ買収された後、2018年にカロッツェリアのピニンファリーナ社から独立した。ハードウエアは、クロアチアの新興企業が製造している。


ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)

少なくとも、コンクール・デレガンスへ参加するような人々の間では、「f」のロゴの認知度はかなり高い。カンビアーノの工場には、カロッツェリアで特注のフェラーリを手掛けたという職人もいるそうだ。

技術革新のスピードは想像以上に速く、バッティスタの新鮮味は短時間で薄れてしまうかもしれない。とはいえ、史上初の電動ハイパーカーとして、影響力は小さくないはず。新たな道を切り拓くモデルとして、役割は大きい。

現実的に、われわれと近い距離にあるクルマではない。多くのクルマ好きを刺激してくれるとも、いえないと思う。

それでも、完成度は明らかに高い。思い切り振り切った内容にある。アウトモビリ・ピニンファリーナ社の実力を、世界に証明する事はできたといえる。この次には、少し手頃なSUVが控えているらしい。

もっと身近な電動スポーツカーが、登場する可能性もある。その開発時には、最初から技術者のロリス・ビコッキ氏が招かれるかもしれない。

ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)のスペック

英国価格:220万ユーロ(3億1900万円)
全長:4912mm
全幅:1986mm
全高:1214mm
最高速度:357km/h
0-100km/h加速:1.9秒
航続距離:476km
電費:3.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2302kg
パワートレイン:クワッド永久磁石同期モーター
バッテリー:120kWhリチウムイオン
最高出力:1903ps(システム総合)
最大トルク:240.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:シングルスピード・リダクション(四輪駆動)