小林 健 日本商工会議所会頭

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「今が日本再生にかける最後のチャンス」─。日本商工会議所会頭に就任した小林健氏(三菱商事相談役)はこう現状認識を示しながら、”失われた30年”と言われるほどの停滞をなぜ、日本は招いたのかを謙虚に振り返りつつも、「わたしは、まだ日本に余力が残っていると思います」と強調。「やはり、経済を成長させ、国力をつけ、そして次の世代に引き継ぐという使命がわれわれにはある」と日本再生を図る決意。折しも、『新しい資本主義』がいわれ、成長と分配の循環を適正にどう進めていくかという課題がある。コロナ禍とウクライナ危機の中で、原材料・エネルギーコストが高騰し、その分を自らの製品価格に転嫁できないという中小企業の苦しみ。商工会議所は、特に大企業と中小企業の”取引適正化”に努力してきたが、その成果はまだまだというところ。日本の生産性アップのカギを握るのは中小企業。全企業の99%強を占める中小企業の生産性をどう引き上げていくか。日本銀行の金融緩和策終了で”金利引き上げ”の局面を迎え、緊張感も漂う。
本誌主幹 村田博文

日本が停滞したことの
責任は経済人にも……
「〝失われた30年〟と言われる停滞からどう抜け出すか。結果的に成長できなかったというのは、わたしも含めた産業界にも責任があると思いますし、政治にも責任があると思います」

 日本再生をどう図っていくかという課題を前に、日本商工会議所会頭の小林健氏はこの〝失われた30年〟を招いたことについてこう触れる。

「バブル崩壊後の30年、長く日本は停滞してきました。世界全体を見ても、欧米、中国、あるいは東南アジアを見渡しても、日本は成長の速度が最も遅かったわけです。この間、日本の物価、賃金、生産性は停滞し、デフレマインドが染みついてしまいました。更に新型コロナウイルス感染症によって停滞期間が長引いたわけです」

 1990年代初め、バブルがはじけて不良債権が顕在化、金融危機が起こり、アジア通貨危機、そしてリーマン・ショック、さらには東日本大震災と危機が続いた。この間、政治も不安定になり、1年ごとに首相が変わるという混乱も生じた。そうした中で、個々には一生懸命にやってきたのだが、結果的に経済の停滞を招いてしまった。

 ここは「謙虚に振り返って、どこに原因があったのかを突き詰める必要がある」と小林氏はしながらも、「日本にまだ余力は残っている」という認識を示す(後のインタビュー欄を参照)。

 そして、今が日本の再生にとって、「最後のチャンス」として、「日本再生の最後のチャンスだと思います。経済を成長させ、国力をつけ、もう一度豊かな国にしていく。そして、次の世代に引き継ぐという使命が我々にはある」と小林氏は訴える。

 小林氏は2022年11月、第22代の東京商工会議所会頭に就任。3期9年、東商会頭を務めた三村明夫氏(日本製鉄名誉会長)の後を受けての会頭就任。東商会頭は歴代、日本商工会議所会頭を兼任する習わし。

 その日本商工会議所は傘下に全国515商工会議所を抱え、会員数は123万社を数える。

 中小企業の振興、育成を図るのが商工会議所の役割。日本の企業総数は約360万社。このうちの99%強の約359万社が中小企業という構成である。労働力人口(全体で約6860万人)で言えば、その7割を中小企業で働く人たちが占める。

 つまり、日本の生産性を上げられるかどうかは、中小企業の生産性の引き上げ如何にかかっているということ。

 小林氏もそうした現状を大前提に、「家族を含めれば、日本の人口の半数以上は中小企業を頼りにして生活している」として、次のように語る。