大企業と中小企業のパートナーシップの実践である。


デフレ払拭へ
「勇気を持って」
〝失われた30年〟でデフレマインドが定着。経営資源が投資へ向かわず、内部留保は高まる一方なのに賃金は上がらないというので、全般的に士気が振るわない。

「ええ、日本企業はデフレマインド、あるいはコロナマインドによって、殻の中に閉じこもってジッと耐えることが性になってしまった部分があると思います。ですから、このマインドを勇気をもって払拭していこうということです」

 段取りをどう進めるか?

「やはり、大企業も中小企業もそうですが、値上げをする勇気を持とうということです。大企業としても、孫請け、下請けがいなくなってしまったら成り立たない。これは別に我が儘を言っているのではありません。そうしないと、中小企業は倒産してしまうのです」

 サプライチェーン内での交渉で解決策を見出す企業もあれば、良質の品やサービスを届けることで消費者に直接、新価格体系を訴えられる中小企業もいる。

 こうやって、原材料のコストアップ分を製品価格に反映させ、そして社員の賃金アップにつないでいく。そうやって、経済全体が適正に循環していく仕組みをつくろうということである。

 もっとも、日本は同じ業種に多くの企業が参入し、過当競争といわれるぐらいにシノギを削ってきた。

 だから、コスト圧迫を受けて、製品価格引き上げという段になっても、「自分だけが値上げをすると、マーケットを失うのではないか……」と不安を抱く。これがデフレマインドにもつながり、結果的に経済の縮小均衡を招くという現実。

「適正利潤を生めない事業は長続きしない」という小林氏の指摘はまさにその通りで、デフレマインドをどう払拭するかという課題。

 現状はどうなっているのか?


〝金利が付く時代〟への転換
「わたしどもの調査によれば、1年前と比較してコスト負担が増加している企業のうち、発注側企業との価格交渉の協議については、7割の企業が話し合いに応じてもらえていると回答しています。しかし、中小企業は千差万別で、苦しい所もあれば、大活躍している所もあります。企業によって自ら変革を行ってきた所と、何も手を打ってこなかった所の差が出てきているのは確かです」と小林氏。

 経済原則からいえば、淘汰される所も出てくるが、コロナ禍の間は政府の経営支援の補助金が出たりして、息をつぐことができた所もある。ウィズコロナ政策になった今、ある程度の淘汰は避けられないという現状。

 特に、日本銀行が昨年12月20日〝金融の異次元緩和策〟を転換させたこと。長期金利の変動許容幅を0・25%程度から0・5%程度に広げたが、これを市場では、〝金利が付く時代〟への転換と見ている。

 徐々に、今の緩和状態が転換され、金利引き上げの動きが強まった場合、一定の企業選別が出てくる可能性はある。

「コロナ禍では、政府の支援策を活用して何とか倒産を免れた企業も多いと思います。ただし、今後返済が始まり、中には借り換えの必要に迫られる企業も出てきています。しかし、政府は未来永劫、支援し続けてくれるわけではありません。これからはウィズコロナで経済社会を回していく段階になり、中小企業も生き残りをかけた大変な時期になります」と小林氏。

 現状は少しずつ動いている。


賃上げができる所と
できない所との差
 先述の賃上げ問題に関しても、流れが変わり始めている。

 賃上げに関しては、有力企業の間で実行する所が出始めた。