バリュエーションが上がっていくということは、たとえば、成長性が低いと思われている企業が、新規ビジネスか何かで非常に成長性の高いビジネスを始めて利益に貢献し始めた時には、利益成長率は高まり、バリュエーションも高まります。現在は、バリュー株と思われている銘柄であっても、将来、グロース株に化ける時が一番株価のリターンが大きくなるのです。もともと成長率が高いと思われている企業が高い成長率を実現しても株価のバリュエーションは高まりません。その点では企業の変化を捉えるという視線で企業を見ています。

 大きくリターンを出すには長く保有していないと変化が株価に反映されません。一般に2〜3割株価が上がると、利益確定の売却をしがちですが、その誘惑に耐えながらできるだけ早売りせずに、買った時の理由が崩れるまでは持ち続けるくらいの気持ちで、勇気をもって保有しています。買いのアイデアは、いろいろと情報を集めることは容易ですが、売るタイミングは自分で判断するしかないので、ここが運用成績の良し悪しが決まるポイントだと思っています。

 ――福田さんが担当する国内公募投信は、当ファンドも含めて「小型ブルーチップオープン」も5ツ★となり、3ファンド全てが5ツ★を獲得するという好成績です。当ファンドを担当して既に10年になりますが、運用のクオリティを保っていくための工夫はありますか?

 入社5年目になる若手がアシスタントとして、彼が入社した時から二人三脚で運用をしています。私自身の運用の仕方は、常に身近に見て理解をしてくれていると思います。ただ、私もまだ48歳ですので、会社が許してくれるのなら、後10年くらいは十分に現役でファンドマネージャーが務められると思います。

 当ファンドは信託期間が2024年2月までになっていて、表面的には残り期間が短いようにみられますが、実際には5年ごとに信託期間の延長を繰り返し、結果的に30年を超える運用期間になっています。パフォーマンスも良いファンドですし、賞もいただいているファンドなので、24年2月の期限は延長されるでしょうし、その後もさらに長寿ファンドとして歴史を積み重ねていける可能性は高いのではないかと考えています。

 投信業界ではIT関連のファンドは、スポット型投信や流行りのテーマを追求した流行りすたりのある新ファンドを立てる事例が多いのですが、そうではなくて、テクノロジーのファンドであれば、野村アセットの「情報エレクトロニクスファンド」があるよねと言っていただけるような「業界の定番商品」的なファンドに育てていきたいと思います。

 ――当面の運用見通しについて教えてください。当ファンドは引き続き相対的に高いトータルリターンを維持し続けることができるでしょうか?

 短期的には半導体の市況を端的に示すDRAMのスポット価格が上がってきています。DRAM以外でも自動車向けをはじめとして半導体が足りないといわれていますから、需給が引き締まっている業界が急に環境が変わって不景気になることは考えにくいので、ファンダメンタルズの良さにポジションを取っていれば、良いリターンが得られると思っています。

 中期的にはIoT社会に向けた変化で、5Gも含めて通信・電力関係のインフラが整備され、次の段階として端末が広く普及し、それをベースにコンテンツやサービスが勃興するという流れができてくると考えられます。今の段階は、インフラが整備されて端末が広まっている初期の段階です。製造業を含めエレクトロニクス業界の株式を持っていれば今後の成長を取り込むことができると考えています。徐々にコンテンツ、サービスへのウエイトが高まってくると思っていますが、未だ、そのタイミングではないと考えています。