米長期金利急騰で波乱の3月相場到来か? 外為オンライン佐藤正和氏
米民主党政権が打ち出している1.9兆ドル(約200兆円)の大型経済対策が米国議会下院を通過し実行に移される可能性が高まって来ました。さらに、この1.9兆円とは別に、バイデン政権は大掛かりなインフラ整備などの財政出動を準備しており、今後は米国国債が大量に発行されるのではないか、と言う懸念が出ています。
大型の経済政策はまだ上院が残っているものの、3月中旬には成立する見通しといわれていますが、今回の1.9兆ドルの経済対策は名目GDPの9%にも相当し、景気が過熱するのではないかというリスクが指摘されています。とりわけ、米国国債が大量に発行されれば、債券の金利は上昇傾向となり、ドルが買われて株価が大きく下がることになります。
もうひとつには、ワクチン接種が始まって「コロナ後」の世界が見えつつあることです。ワクチン接種が行き届けば、将来的に景気が一気に回復して「ゼロ金利政策」が解除され、現在の「カネ余り」現象が解消に向かうのではないか、という連想が働いてききます。
これらの要因が金融マーケット全体に働いて、米国の長期国債は一時期1.61%まで上昇し、ドル円相場も昨年9月以来の1ドル=106円69銭まで、ドルが買われました。さらに株価はこのところ急騰していたナスダック市場を中心に大きな下げを記録するなど、にわかに調整局面に突入することになりました。
――為替相場では久しぶりに大きな動きとなりましたが・・・?
今回の長期金利上昇時の為替市場で特徴的だったのは、通常は米国の金利が上がると金利差が拡大して「ドル高」となります。実際にドルは買われて「ドル高円安」となりました。ところが、今回は円に対してドルは高かったものの、それ以外の通貨ではドルは売られました。たとえば、ユーロドルは「ドル安ユーロ高」に振れ、豪ドル米ドルに対しても「米ドル安豪ドル高」となりました。やはり、米国債に対する将来的な見通しが懸念されているのかもしれません。
円がドルに対しても売られたことは意外でしたが、その結果米ドル以外の通貨に対しても円は売り込まれ、ユーロ円は2018年11月以来の「1ユーロ=130円」に迫る水準まで上昇し、豪ドル円も2018年11月以来の「1豪ドル=85円」に接近しました。いずれも2年以上前の水準であり「円全面安」の展開といっていいでしょう。
円が売られた背景には、やはり他の国に比べてコロナに対する対応が遅れていることが大きな原因と考えられます。他の先進国に比べてワクチン接種が遅れており、景気回復が遅れることが予想される現段階では、円は売られやすかったと考えられます。
――3月相場はどんな展開になるのでしょうか?
問題は、米国の長期金利がどこまで上昇するかだと思いますが、1.6%を超えたのは短期的には行き過ぎではないかと思います。今後、大量の米国債発行を計画している米国政府にとって、金利上昇は金利負担の増大に直結するため、仮に0.1%金利が上昇しただけで年間20億ドル(約2100億円)の金利負担増になります。
