デリバリーラーメン「RAMEN EX」は日清食品の技術が詰まった一杯:担当者インタビュー
日清食品は5月11日、デリバリーサービス「RAMEN EX」を開始しました。有名ラーメン店の味を自宅で楽しむことができるサービスで、Uber Eatsや出前館から注文することで「RAMEN EX」の店舗からラーメンが配達されます。受け取ったラーメンは、ご家庭の電子レンジで加熱調理することで完成します。
メニューは「一風堂」「すみれ」「ますたに」「無鉄砲」といった有名店のラーメンに加えて、日清食品オリジナルの「豚天国」も用意されています。
いちラーメン好きとしては、「チキンラーメン」「カップヌードル」などでお馴染みの日清食品が、ラーメンのデリバリーをはじめた理由とその味が非常に気になります。
本記事では実際に商品を試食した上で、日清食品の担当者のかたにお話を伺ってみました。
ワンランク上の出前ラーメン
今回の試食では無鉄砲の「とんこつラーメン」と日清食品オリジナルの「豚天国ラーメン」をいただくことに。
▲こんな感じで梱包されて届きます。
▲袋の中身。スープは冷蔵で、麺は冷凍といった感じです。豚天国は専用のヤサイも付いてきます。同封された調理ガイドに沿ってレンジで調理します。まずは無鉄砲の「とんこつラーメン」から。
▲無鉄砲の「とんこつラーメン」。
▲無鉄砲の「とんこつラーメン」麺。大量の豚骨を骨の髄が溶けるまで煮込んだ濃厚なとんこつスープの風味と甘みが十分にあります。背脂、スープ、麺を一緒にすすったときの多幸感は抜群です。秒で麺が無くなってしまいました。替え玉が欲しいです。
続いて日清食品オリジナルの「豚天国ラーメン」。
▲日清食品オリジナルの「豚天国ラーメン」。
▲日清食品オリジナルの「豚天国ラーメン」麺。ニンニクと大量のヤサイ、インパクトのある太麺からなるいわゆるガッツリ系のラーメンです。トッピングのニンニク以外に、スープにもニンニクが入っておりアクセントが付いています。麺はレンジ調理にも関わらず、モゾモゾ感、コシ、風味が十分。
特筆すべきは豚でした。ガッツリ系でよくあるブロック肉ではなく、ホテルのローストビーフのような豚です。絶妙なバランスで脂がしっとりとついており、口に含むと肉がホロホロと崩れます。強めの味付けなので、麺やヤサイとの相性も抜群。完成度が図抜けているので、これを固まりで買ってお酒のあてにしたいぐらいでした。
コレ系の店舗はクセが強いラーメンが多いので、それらと比べると上品にまとめてきたなという印象です。ただし、この胃袋を圧迫する体験などは、間違いなく一定水準のガッツリ系ラーメン。これを自宅で味わえるのは稀有な商品だと思います。後半は溶いた生卵に麺をつけるすき焼きスタイルで楽しみました。
日清食品の新しいラーメン店

2品とも「お店の味を自宅で!」というコンセプト通りの体験でした。それでは、このデリバリーサービス「RAMEN EX」をスタートした経緯について、担当者である日清食品ホールディングス新規事業推進室室長の吉田洋一氏にお話を伺いました。
――デリバリー業界にラーメンで参入する構想は、元々あったのでしょうか?
吉田洋一氏(以降、吉田):日清食品の社長である安藤徳隆は、昨年9月のインタビュー記事で「我々にしかできないラーメン店を作り上げていく」と発言していましたが、それがこの「RAMEN EX」です。
安藤や私が海外出張に行った際、Uber Eatsをはじめとしたデリバリービジネスの隆盛を目の当たりにしたことがきっかけとなり、約1年前からプロジェクトがスタートしました。
――日清食品においてデリバリービジネスの位置づけはどういったものでしょうか?
吉田:当社のメインビジネスは、ご存知の通りインスタントラーメンです。インスタントラーメンの世界総需要は1000億食を超えていて、普及していない国はほとんどないと言えます。世界的に見ると、現在はまだ袋麺が大きな市場シェアを占めていますが、これから拡大していくカップ麺市場が当社にとってのビジネスチャンスだと捉えています。
しかし、将来的にはインスタントラーメン事業だけでなく、「即席」を超えた食品を提供する企業を目指そうということで、日清食品では「Beyond Instant Foods」というスローガンを掲げています。この流れを受けて2019年3月に新規事業推進室が発足し、第一弾として取り組んだのが「RAMEN EX」です。
我々の部署の直属の上司は社長の安藤ですから、意思決定のプロセスが非常にシンプルで、やるべきことをすぐに事業化していくスピード感があります。さらに、食に関わることなら何をやってもいいとも言われています。
――ラーメンデリバリーのどこに可能性を見出したのでしょうか?
吉田:昔から「出前ラーメン」はありましたが、「スープが冷める」「麺が伸びる」という美味しさに関わる大きな課題がありました。当社には、60年以上にわたってインスタントラーメンの開発で培ってきた製麺技術とスープ再現技術があります。これらを使えば、デリバリーでもおいしいラーメンをお届けできるだろうという自信がありました。
メニュー開発を進める中で、店主様からは「ラーメン店にはエンターテイメントの側面もある」というお話をうかがいました。お店の雰囲気や漂ってくる匂いなどを含めて「ラーメン」であり、家で食べるものとは根本的に違うものだ、と。
しかし一方で、九州の方が札幌の「すみれ」に行くのは、なかなか難しいことです。また、有名店のラーメンを食べたいけれども「並ぶ時間がない」「子供連れだとはばかられる」といったお客様の声もよく耳にしていました。
そこで、電子レンジで調理するだけの手軽さで、お店で食べるようなクオリティのラーメンが食べられるサービスが提供できれば、ラーメン文化自体を広げることに繋がるのではないかと考えたんです。
日清食品の技術が一杯に集結
――「RAMEN EX」を立ち上げるにあたって苦労したポイントを教えてください。
吉田:まるでお店でラーメンを食べているかのような、できたての美味しさをレンジ調理で再現することにこだわりました。麺、スープ、具材はすべて「RAMEN EX」専用に開発したものです。また、ボリュームについても、それぞれのお店で出されているラーメンとほぼ同じで、十分な食べごたえを感じてもらえる設計にしています。
開発で苦労したのは、やはり麺です。「一風堂」さんのように細い麺もあれば、当社オリジナルの「豚天国」のような厚くて食べごたえのあるものまで様々な種類があるからです。企業秘密のため詳しくはお話できないのですが、麺が伸びず、茹でたての食感を維持する技術も採用しています。
――麺に次いで重要となるスープはいかがでしょうか?
吉田:特にこだわったのは、スープの香りだちです。インスタントラーメンとは違い、お店で食べるときの雰囲気も再現しなければならないので、その加工技術にはとても力を入れています。
また、デリバリー商品ですので、スープをできるだけ液状化しない状態でお届けするような工夫も施しています。これにより運搬時にスープがこぼれたり、溢れたりするリスクを回避しています。開発時にはデリバリーサービスの会社様にもご協力いただきながら、実際に運搬テストを実施しました。
――有名店の味の再現についても詳しくお話をお聞かせください。
吉田:「RAMEN EX」は「お店で食べるラーメンの美味しさ」を謳う以上、求められる再現レベルも非常に高いものでした。店主様にご納得いただける商品に仕上げるためには、インスタントラーメンのコラボ商品を開発するときよりも数段高いハードルを越えなければなりませんでした。
初期段階の試作品について、我々としてはそれなりの自信をもっていたものの、店主様からは「店の味とはまだまだ距離がある」と厳しいご指摘をいただきました。スープひとつとっても、お店で何時間も炊かれているレベルの味を再現するには、単純に素材を組み合わせるだけではうまくいきません。
約200回もの試作を繰り返して完成した商品を「すみれ」の店主である村中さんが試食された際、「すごいものを作ったね」とお褒めの言葉をいただけたことは非常にうれしかったです。
――フィードバックを受けて商品をブラッシュアップできるというのが、やはり日清食品さんの強みでしょうか。
吉田:そうですね。長年、多くの有名ラーメン店様のインスタントラーメンを作ってきましたので、味の再現に関するノウハウは蓄積されています。加えて、冷凍食品やチルド食品で培ってきた「レンジ調理でおいしいラーメンを作る」という技術も組み合わせています。「RAMEN EX」の一杯には、日清食品グループが培ってきた様々な技術を結集しているのです。

――有名店コラボに加えて日清食品オリジナルとして展開する「豚天国ラーメン」についてもお話を伺えればと思います。こういったガッツリ系のジャンルを展開することになった経緯を教えてください。
吉田:ガッツリ系のラーメンは、醤油やとんこつなどと同じく、今やひとつのジャンルを形成するほどの人気で、特に若者からのウケがいいということもあり、ラインアップに加えました。
開発段階では、日清食品のマーケティング部の若手や、日頃からガッツリ系のラーメンをよく食べている社員の意見を参考にしました。ボリューム感を出そうとするとコストはアップするのですが、彼らが食べておいしいと感じ、満足のいくレベルに近づけるために、コストは度外視して改良を重ねていきました。
――「豚天国」というインパクトのあるネーミングには意味はあるのでしょうか?
吉田:このジャンルの愛好家が、「ガッツリ系のラーメンを食べているときが至福のときだ」と話していたのを聞いて、「天国」という単語をチョイスしました。他にもいくつか案はあったのですが、「豚天国」が一番しっくりときました。
――「豚天国」のチャーシューが上品かつ非常に食べごたえがあったのが印象に残ったのですが、こちらについてのこだわりも教えてください。
吉田:一番重要だったのは、「ガッツリ食べて満足のいく食感とインパクト」でした。お店ではブロック肉を使うことが多いのですが、「豚天国」に関しては、食べたときの満足感が高いチャーシューを目指して、大判であること、歯触りの良さ、ジューシー感にこだわりました。麺やもやしと合わせて食べることで、至福のひとときを味わっていただけると思います。
――「RAMEN EX」の今後の展開についても教えてください。
吉田:5月11日のサービス開始以来、SNSを中心に多くの反響をいただいています。現在のところ、まだまだ配達エリアが限られていますが、今年度中に10店舗程度の出店をめざし、配達エリアを拡大していきたいです。
――この度はご協力いただきありがとうございました。
このように「RAMEN EX」はノウハウと技術を持つ日清食品だからこそ展開できるサービスである、と実感できたインタビューでした。
RAMEN EX情報
■メニュー
一風堂監修 博多とんこつラーメン(一風堂)・・・1080円(税込み、以下同)
札幌濃厚味噌ラーメン(すみれ)・・・1080円
背脂鶏ガラ醤油ラーメン(ますたに)・・・1080円
とんこつラーメン(無鉄砲)・・・1080円
豚天国ラーメン(日清食品オリジナル)・・・1380円
※別途「Uber Eats」「出前館」が定める配送手数料がかかります
■配達エリア
東京
西麻布店(渋谷区、港区、千代田区、新宿区の一部)
新宿店(新宿区、渋谷区、中野区、豊島区、文京区、千代田区の一部)
大阪
梅田店(北区、淀川区、都島区、中央区、西区、福島区の一部)
各店舗半径約3.5km以内のエリアに配達可能。6月には福岡市内で展開予定。
■関連リンク
RAMEN EX公式サイト
