菊池涼介(m-louis .®/wikimedia Commons)

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 日本を代表する“名二塁手”がメジャーリーグに挑戦する。

 広島は11月8日、菊池涼介が以前から希望していた、ポスティング制度を利用しためメジャー挑戦を容認することを明らかにした。菊池は昨シーズンのオフ、その意向を明らかにしていたが、それが実現する形になった。球団は、メジャーへの移籍が実現しなかった場合、残留を認める方針だという。

 菊池は、今やNPBを代表する人気球団となった広島の中心選手。中京学院大を経て、2011年のドラフト会議で2位指名を受けて広島に入団する。大学時代は遊撃手だったが、レギュラー選手の故障なども重なり二塁を任されるようになる。13年からは二塁手としてレギュラーに定着。14年には535個のシーズン捕殺日本記録を更新した。また、打撃でも16年にシーズン最多安打となる181安打を放ち、打率.315、13本塁打を記録するなど、攻守で“チームの顔”に成長した。

菊池涼介(m-louis .®/wikimedia Commons)

「菊池は、昨年12月の契約更改時の会見で『ポスティングの方をお願いしますと伝えました。野球をやっている以上、トップのレベルでやりたい』と球団に直訴していました。17年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で見せた驚異的な守備力は、MLBの公式サイトで紹介されるなど、高い評価を受けていました。日本球界より高いレベルで自らを試してみたい、そう思う気持ちがかなり高まっていたようです」(広島担当記者)

 では、実際にメジャーの関係者は菊池をどう評価しているのか。現役MLBのスカウトである、フィリーズの環太平洋担当部長・大慈彌功氏はこう話す。まずは評価が高い守備面から。

「とにかく、打球への反応が飛び抜けて速いですね。これは、生まれながらの感性、そして練習によって培った技術ですね。二塁の守備は“完成形”に近いと言えるのではないでしょうか。メジャーでは、中南米系選手の身体能力が飛び抜けています。柔らかさやしなやかさ、瞬発力……これは天性のものが大きく、日本人の選手では真似できない。それとは異なるものを日本人の内野手には求めています。菊池は打球への準備や読み、技術的なスキルが素晴らしく、大きなアドバンテージになるでしょう。菊池は最初の守備位置がかなり深い。打者のヒットゾーンを狭めることができるのでかなり有利になりますが、ちょっとでも遅れると内野安打になってしまう。ですが、菊池には、それをカバーする捕球の技術と、送球までの圧倒的な速さがある。これは大きな武器といえます」

打撃面には不安も…

 守備はメジャーリーガーに匹敵するとの評価だが、打撃面はどうなのだろうか。菊池は手元で微妙に動く、メジャー投手特有のボールには苦戦しそうだ。また、一度調子が崩れると修復するのに時間を要することがあり、それも気がかりである。前出の大慈彌功氏も厳しい見方を示す。

「打撃に大きな不安が残るのは間違いないでしょう。NPBでは結果が出ていますが、菊池はそもそも(投手に)崩されやすい打ち方をしています。小さい身体(身長171cm)をカバーするため、反動を使いながら自らの重心をぶつけることで、球を弾き返す。それがハマった時には長打が出るでしょうが、その確実性はあまり高くない。打撃ではかなり苦しみそうですね。打率.235〜250、5〜7本塁打、出塁率.295〜320で合格ラインですが、このレベルの成績を残せる選手はマイナーリーグの上位にはいますので、菊池は守備でかなりのインパクトを残さないといけないでしょうね」

 過去、松井稼頭央(元西武など)や西岡剛(元ロッテなど)をはじめ、複数の日本人内野手が海を渡って挑戦しているが、成功したといえるのは井口資仁(元ダイエー、現ロッテ監督)ぐらいで、ことごとくメジャーの“厚い壁”に阻まれている。

 菊池の挑戦は果たして……。 

週刊新潮WEB取材班

2019年11月5日 掲載