「会見前夜に練習したんです。統一地方選の応援に行ったあと、官邸に戻り、10分ほどね。演壇が斜めなので、手渡された額を置くとき、どうしても記者から見えてしまう。新元号が見えてしまわないように、何度も練習しました。もちろん、『令和』がまだ書かれていない額でですが(笑)」

 9月下旬、首相官邸の官房長官応接室で本誌の取材に応じた菅義偉官房長官(70)。官房長官の在職期間は、歴代最長を更新中だ。

 4月1日、菅氏は、手渡された「令和」の墨書を演壇に置き、一呼吸、置いた。そして、「新元号は令和であります」と発表すると、約1分30秒にわたって墨書を高々と掲げた。

 新時代を告げる歴史的瞬間に菅氏がつけていたのは、鮮やかなブルーのネクタイ。5歳年下の妻・真理子さんが選んだものだった。

「家内には、『好きなネクタイを選んでいいよ』と言ったんですよ。私が横浜市議に初当選したころから、ずっと苦労をかけてきましたから」

 会見前日には、意外な交友関係も明らかになっていた。

『前前前世』などのヒット曲で知られるロックバンド・RADWIMPSのボーカル・野田洋次郎が、《新元号の発表は菅官房長官なんだね。菅さんは俺の中学、高校時代の友達のお父さん》とツイート。

《菅の家に泊まりに行くとお父さんが帰ってきてあれこれ酔っぱらいながら話をしてくれた。少し目が怖いけど優しい人だった》と明かしたのだ。

 菅氏によれば、実際はちょっと違うらしい。

「じつは私、お酒をぜんぜん飲まない。彼は、うちの3番めの息子の同級生なんです。うちは、男の子3人で、みな運動部。いろんな友達がうちに遊びに来てくれてね。

 子供たちが来ると、『おい! 元気か』とか、『ちゃんと勉強してるか?』と絡むから、私が酔っ払っていると思ったんでしょう。

 あの子、今すごい人気なんでしょ? 彼も、『あのおじさんが有名になっちゃった』くらいに思ってるんでしょうけど(笑)」

 元号発表以降、「ニコニコ超会議」など、若者が集まるイベントにも顔を出し、「令和おじさん」の知名度はすっかり全国区に。女子高生からは、「あの七三分けの人、カワイイ!」という声まで出るようになった。

「なぜでしょうね(笑)。私が、パンケーキが好きだからかな? 地方に行くと、『令和の人だ!』とか、『令和だ!』とかよく言われるんです。初めは恥ずかしかったのですが、いまはだいぶ慣れました。

 一応、毎日2回、官房長官として、記者会見をやっているんですけど、それはあまり知られていない……(笑)。それだけ、『令和』の影響力が大きかったのだと思います」

 1989年に「平成」を掲げた小渕恵三官房長官は、9年後に首相に就任。「令和」を掲げた菅官房長官を、“ポスト安倍” の筆頭格に挙げる声もある。しかも、菅氏を慕う無派閥議員10数人が、「令和の会」というグループを立ち上げた。

「(首相は)まったく考えておりません。『令和の会』は、ただの懇親会。皆が、私を慕ってくれているかはわかりません(笑)。それよりも、令和という新時代を担う有望な政治家が、自民党には多数います。

 安倍(晋三)総理の会見にあったとおり、『見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる』。そういう時代にするため、環境を整えていくだけです」

 さて、「おじさん」の花は、いま何分咲きだろうか――。

(週刊FLASH 2019年10月22・29日号)