関連画像

写真拡大

お酒を買える自動販売機を使ったことはあるだろうか。近くにコンビニなどがない場合、簡単に缶ビールや缶チューハイを手に入れられ、便利でありがたい。一方で、年齢確認機能がついていないと未成年者の飲酒を助長する危険性もはらんでいる。このほど、お酒を買える自販機がこの20年強で激減していることを示す気になるデータを、国税庁が発表した。

●「従来型」2753台、22年前の1.5%

国税庁が9月にまとめた酒類自販機の設置状況(2018年4月1日時点)によると、購入する人の年齢確認ができないタイプの自販機(従来型)は全国2753台で、業界が自主的な撤廃に動き出した1996年時点(18万5829台)のわずか1.5%にまで落ち込んだ。国税庁はこの数字を「残存率」と呼んで、従来型の撤廃を目指している。

酒類自販機は従来型のほか、改良型と呼ばれる年齢確認ができるタイプのものがある。改良型では免許証などの情報を読み込むことで、成人かどうか確認する。従来型から改良型に切り替えて自販機の設置を継続することも可能だが、業者が費用面の負担を嫌い、切り替えが円滑に進んでいない部分があるという。

●全ての撤廃に向け「検討」

もともとは未成年者の飲酒防止を図るため、全国小売酒販組合中央会が1995年に従来型の屋外設置の撤廃を決議したのがきっかけだ。そこに国税庁の「厳しい指導」も加わり着実に減ってきた。設置台数は、1996年=18万5829台▽2000年=12万4400台▽2005年=4万9100台▽2010年=2万9200台▽2015年=1万9500台▽2017年=1万6900台となっている。

直近の2018年4月1日時点では、1万5653台(従来型2753台、改良型1万2900台)。このままのペースで減っていけば、1万台を割り込むのも時間の問題だ。国税庁は「より長期的には、全ての酒類自動販売機の撤廃に向けた取組について検討を進めていく」としている。

大前提として未成年者の飲酒防止は大事なことだ。そして、あえて自販機に頼らずともコンビニやスーパーなどでお酒は手に入る。とはいえ、自販機を愛用してきた大人たちの中には、さみしい気持ちを抱く人もいるだろう。

(弁護士ドットコムニュース)