「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「包む」、「包容力」「包装紙」の「包」。母親がふくらんだお腹に手を添えて、胎内に宿った我が子を守っている姿を描いた象形文字です。



「包」という字は、まず「つつみがまえ」と呼ばれる部首(勹)を書きます。

これは、横から見た人の形を描いたもの。

その中に「己(おのれ)」という字を書きますが、もとは左横の部分がつながった巳年の「巳(み)」と書いていました。

「巳」という字は胎児の形を表しているといいます。

つまり「包」という字が象っているのは、胎内に我が子を宿した妊婦の姿。

そこから「つつむ・いれる」という意味をもつ漢字が生まれたのです。

温かな羊水と、無事の出産を願う想いに包まれて育つ、小さな命。

日に日にお腹は大きくせり出して重くなり、母となる人はお腹をかばうように身体をまるめ、横を向いて眠ります。

その平和な風景を、いにしえの人は「包」という漢字にして残したのです。

産まれてくるときは何ももたず、ただ泣くばかりだった赤子。

あたたかな布や祝福の声に包まれて安心すると、再び眠り始めます。

朝のやわらかな光、甘いお乳の香り、やさしい音色の子守歌……。

新生児の五感は、大人より研ぎ澄まされているといいます。

愛され、望まれ、大切に育まれてきた、遠い日の幸福な記憶。

「包」という文字をなぞりながら、しばし感じてみてください。

ではここで、もう一度「包」という字を感じてみてください。

日本には「包む」文化が根付いています。

たとえば、布で身体を包み込み、紐や帯で結ぶ和服。

「包」という漢字は「くるむ」と読む場合もありますが、これが「ころも」の語源である、という説もあるようです。

また、ものをやり取りする時はむき出しでなく、布や紙で丁寧に包みます。

袱紗、風呂敷、熨斗袋。

お祝いの心や悲しみに寄り添う心を示す水引の形。

穢れた手で直接渡すのではなく、清らかなものとして包んでさしあげる。

そこには、相手への敬いや思いやりも共に包まれています。

それは、大げさでなく、さりげない心遣い。

それもそのはず。

「包む」という言葉は「つつましい」が語源だったのです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『ちょっと包んだほうが人間関係はうまくいく 相手のこころを包み込む「魔法の風呂敷」』(石山勝規/著 合同フォレスト)

2月24日(土)の放送では「真」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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聴取期限 2018年2月25日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/