2018年2月8日(木)現在、北陸地方では記録的な大雪が続いています。在来線が2日間にわたり軒並み運休するなど交通が乱れるなか、北陸新幹線は運行を続け、「最強説」もささやかれています。在来線と何がちがうのでしょうか。

金沢駅の在来線は軒並み運休 それでも北陸新幹線は動く

 2018年2月4日(日)ころから、北陸地方では雪が断続的に降り、福井市では8日(木)10時時点で積雪量が138cmと、平年のおよそ7倍に達する大雪となっています。

 JR西日本金沢支社によると、金沢駅に発着するJRの在来線は、2月6日(火)と7日(水)は終日運休。金沢以東の旧北陸本線を営業するIRいしかわ鉄道線、あいの風とやま鉄道線などでも、この2日間は午前中を中心に多くの区間で運休が発生しました。8日も、JR北陸本線の福井〜金沢間は終日運休が予定されているなど、交通の乱れが続いています。


雪のなかを走る北陸新幹線E7系電車のイメージ(画像:pixta)。

 このような状況のなか、北陸新幹線は6日午前に一部区間で徐行運転を行い、金沢〜富山間の「つるぎ」2本が運休となったものの、それ以降「大きな遅れは発生していない」(JR西日本金沢支社)とのこと。在来線が軒並み運休となるなかで高速運転を続けていることから、インターネット上では「北陸新幹線最強説」もささやかれています。なぜ、これほど雪に強いのでしょうか。

 まず、在来線とは線路の構造が比較にならないほどちがいます。北陸新幹線の長野〜金沢間は、全体の約44%をトンネルが占めるほか、トンネルとトンネルのあいだの短い地上区間は、スノーシェルターと呼ばれる屋根で覆われています。そもそも、線路に雪が積もる部分が少ないのです。

雪を捨てたり融かしたり

 トンネル以外の区間で多くを占める高架線ではどうでしょうか。豪雪地帯を走る上越新幹線や東北新幹線でも、高架橋内の線路脇に雪をよけて貯めておくスペースがありますが、北陸新幹線はこの基本構造に加え、一部区間では高架橋の側壁(防音壁)に斜めのひさしを設けたり、床面に開口部を設けたりして、雪を線路外へ「捨てる」ことが可能です。


高架区間の一部は、高架下へ投雪できる構造になっている(画像:JR西日本)。

 とはいえ、雪を捨てられるのはあくまで、線路の周辺にそのためのスペースが確保されている場所に限られます。このため、市街地や道路との交差区間では、線路の側方に幅1mほどの「融雪パネル」が設置されており、パネル内に加熱した不凍液を循環させることで雪を融かしています。

 このような雪を融かす方式としては、線路内にスプリンクラーで散水する設備があり、上越新幹線の上毛高原(群馬県みなかみ町)以北や、東北新幹線の八戸〜青森間では多く採用されています。北陸新幹線でも一部で採用されていますが、糸魚川以西では水を大量に調達できる川が少ないこともあり、「融雪」ではなく「除雪」を主体としています。

 ここで活躍するのが除雪車です。北陸新幹線で使われる除雪車は、車両の片方が排雪板で雪をかきわける「ラッセル式」、もう片方は、回転する刃でかきこんだ雪を線路外へ投げ飛ばす「ロータリー式」となっていることが特徴です。JR西日本金沢支社によると、この除雪車は「列車の走らない夜間、必要に応じて走らせている」とのこと。列車にも先頭車の下方にスカートのようなスノープラウ(雪かき)がついており、これで雪をかきわけながら高速で走ることが可能だそうです。

 なお、除雪車は北海道新幹線や、東海道新幹線でも導入されています。

【写真】ラッセルとロータリーの「合わせ技」


車両にラッセル装置とロータリー装置の双方を装備している(画像:JR西日本)。