社員のモチベーションが低く、倒産寸前に追い込まれていたとある企業が、マネジメントを変えることで23年連続黒字、10年以上離職率ゼロに生まれ変わったという奇跡のような実話があります。無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者・土井英司さんが今回取り上げているのは、そんな会社の社長が著した一冊。書籍の内容を引きながら、その驚くべき手法を紹介しています。

『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』

近藤宣之・著 ダイヤモンド社

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、倒産寸前から年商4倍、23年連続黒字、10年以上離職率ほぼゼロの経営を実現した株式会社日本レーザー代表取締役社長、近藤宣之さんによるマネジメント論。

日本レーザーは、最先端の研究・産業用レーザーや光学機器などを輸入、販売するレーザー専門商社です。

一見、普通の会社のようですが、じつはMEBO(マネジメント・アンド・エンプロイー・バイアウト/経営陣と従業員が一体となって行うM&A)することにより、55人の社員全員が株主になっているという、非常に珍しい会社です。

元々は一部上場企業の子会社で、社員のモチベーションも低く、不正もまかり通っていた会社でしたが、そんな会社が、マネジメントを変えることにより、大きく生まれ変わりました。

本書では、著者が一体何をしたのか、どう考え、何を実行したら会社が生まれ変わったのか、その具体的な部分が書かれています。

多くの会社が24時間営業断念を余儀なくされる今、「時短」や「ダイバーシティ」は、マネジメントにおいて喫緊の課題となっています。

本書は、そんな時流に乗った、まさに今求められているマネジメントの考え方を説いた一冊。

さっそく、気になる部分をチェックしていきましょう。

再建がすめば、その実績を手土産にして親会社に戻るつもりでした。1年目に会社が黒字になっても社員の反発が続いたのは、そんな私の気持ちが透けて見えていたからでしょう。(中略)いざというときに戻る場所があっては、社員はついてきません(中略)私は、再建2年目に、3期6年務めた日本電子の取締役を退任することを決め、背水の陣を敷いて日本レーザーに専任することにしたのです

お金も、時間もかけず、社員のモチベーションを高める方法が「2つ」あります。それは、「社長の笑顔」と「社員の声がけ」です

よい報告は笑顔で聞く。トラブルなどの悪い報告は、もっと笑顔で聞く

「笑顔は、社長の仕事」であり、「笑顔は、社長の能力」

「今週の気づき」では、「どのようなトラブルがあったのか」「そのトラブルに対し、どう対処していくのか」を全社員が報告します

「今週の気づき」は、自分が経験したり、見聞きしたりした出来事に対して、評論的にコメントするのではなく、自分の「決意」を表明するものです。「そうしたいと思います」と感想を記したものについては、「したい」ではなく、「そうします」と書き改めるように指示します

私は、人生の喜びは「4つ」あると考えています。

ひとつ目は、「ほかの誰かに必要とされる」こと。

2つ目は、「ほかの誰かを助ける」こと。

3つ目は、「ほかの誰かに感謝される」こと。

4つ目は、「ほかの誰かから愛される」こと。

このうち、最初の3つは、働かないと得られない喜びです。

経営者は「働く喜び(人生の喜び)」を知る雇用者をひとりでも多く増やす責任がある

◆社員が絶対に辞めない「3つ」の条件

「言いたいことが何でも言える明るい風土がある」「社員が会社から大事にされていると実感している」「会社は自分のものだという当事者意識を持てる」
ダブルアサインメント/2人担当制。取引先1社に対して担当者を2人配置するマルチタスク/ひとりが複数業務や取引先を担当する

「ダブルアサインメント」と「ダブルタスク」の導入を始め、ワーキングマザー、高齢者活用のポイントがきちんと書かれています。終身雇用と時短のハイブリッド。これは、これからのマネジメントの基本になるかもしれませんね。

ぜひ、チェックしていただきたい一冊です。

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『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』

著者/土井英司(記事一覧/メルマガ)

著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。

出典元:まぐまぐニュース!