今夏のスマホ搭載の4K動画撮影って必要なのか?検証してわかった活用する裏技
2014年夏モデルスマートフォンは、CA(キャリアアグリゲーション)や音声定額を実現したVoLTEなどが新機能やサービスが話題だ。しかし、もう一つ、「4K動画撮影・再生」対応が拡充されているのをご存知だろうか。
・2014年夏モデル 4K動画撮影・再生対応機種
NTTドコモ … 3機種
KDDI … 4機種
ソフトバンクモバイル … 1機種
実に、8機種で「4K動画撮影・再生」に対応している。
ニュースなどでも盛んに飛び交っている「4K」とキーワード。聞いたことはあるけど、実はよくわかってないという人も多い。
4Kの「K」は、キロ=1000を指す。つまり、4Kは4000を指していて、横(長辺)方向に4000ピクセル前後の解像度があるという意味である。横に4000も画像を表示する点々が連なっているなんてなんかすごい気がするが、まったくもって数えたくもない。また横(長辺)方向に1920ピクセルのフルHDは2K、1080ピクセルのHDは1Kとなる。
ちまたでは、大画面テレビやモニタで、これでもかっていうくらい高画質をデモンストレーションされていることからも、「4K」はめちゃくちゃ高画質らしいということはわかってもらえたかと思う。
さて、このめちゃくちゃ高画質な「4K」だが、手のひらサイズのスマートフォンで意味あるのか?というのが素朴な疑問なわけだ。
ちなみに、iPhone(5/5c/5s)は長辺が1136ピクセルなので1Kとなる。だからといって「俺のiPhoneはディスプレイが1Kなんだよね〜」とドヤ顔で言っても、あきれられるだけなので注意しよう。
GALAXY S5の場合、UHDというサイズが4K撮影相当となる
●4K動画撮影に飛びつくべきでない3つの理由
今夏の最新モデルに多く搭載されている4K動画撮影だが、普段使いでは2K相当のフルHDで十分だろう。
理由は以下の3つだ。
その1 撮影した動画データがすさまじく大きい
仮に手元にあった4K動画撮影対応の「GALAXY S5 SC-04F」で、たった1分間の動画撮影を行って、フルHD(2K)と比較してみた。
結果は以下となった。実に3倍の容量だ。
・4K動画 1分間で336Mバイト
・フルHD動画 1分間で122Mバイト
1分1秒の動画で約353Mバイト使っていることから容量が非常に大きいのがわかる
仮に10分間分の動画を、4Kで撮影をした場合、なんと約3.4Gバイトの容量になる。現在の4K動画撮影対応スマートフォンの内蔵ストレージ容量は32Gバイトが多い。メモリーカードもSDHC64Gバイト対応だが、一般に利用されているのは価格が安い16Gバイトや32Gバイトだ。
したがって、旅先などでお気楽に4K動画撮影を行って、トータル100分間を超えたら「容量が足りません」となる計算だ。
その2 撮影した動画は、なにで再生すりゃいいの?
4K動画を撮影すると、再生も4Kで行い、極めてきめ細かい動画を楽しみたいというのが心情だろう。そもそもフルHD(2K)で再生するならフルHDで撮影するだろう。
現在、スマートフォンでは正式に4K対応したディスプレイは搭載されていない。ハイスペックモデルでも主流は2KクラスのフルHDである。
それでは液晶テレビに出力して見れば・・・どうだろうか。
4Kの解像度に対応した液晶テレビの価格は安いものでも20万円台半ば、平均では30万円前後が主流だ(2014年6月現在)。
現在主流の4万円台から6万円で購入できるHD対応液晶テレビくらいに価格が下がってこないと、おいそれとスマートフォンの4K動画のためにテレビを買い替えるのは普通の人にはハードルが高すぎる。
つまり、4K動画をそのまま再生できる環境を作るまでの投資が大きすぎるのである。
その3 特殊エフェクトが使えない
昨今のスマートフォンには、スポーツに便利なスローモーション撮影や、まるで別世界に居るような雰囲気にさせてくれるARエフェクト機能などさまざまな機能を兼ね備えている。
しかしながら、その解像度の大きさから処理に膨大な負荷がかかる4K動画撮影では、現在のスマートフォンのマシンパワーでは、フルHDでは使える特殊エフェクトが利用できない。
つまり、「ただ撮影する」だけしかできないのだ。
以上、3つの理由より、4K動画撮影は、動画好きや4K動画を利用できる環境が整っている人以外には、時期尚早という結論に達してしまうのだ。
●せっかく搭載している4K動画撮影 なんとか活かす方法はないの?
「それじゃあ、4K要らないじゃんか」となりそうなものだが、4K動画撮影には、スマートフォンの弱点を補う、強力なメリットがあるのだ。
それは、フルHDと比べて、拡大しても動画が粗くならないことだ。
4Kは、もともとスマートフォンのディスプレイよりも4倍もきめ細かい解像度で撮影している。撮影された動画をピンチアウトして拡大してみても、フルHD以上かフルHDなみに綺麗なままなのである。
この脅威の高解像度を活かせるのが、遠くのものを動画撮影する場合だ。
例えば、遊園地のパレードを撮影する際、通常であればキャラクターが豆粒のように小さくなってしまう。しかし、4K動画撮影であれば、あとで拡大してもキレイに見られるのだ。
フルHDで拡大した画像と4Kの画像を拡大したものでは、その差は歴然だ
フルHDで撮影した動画を最大まで拡大
4Kで撮影した動画を最大まで拡大
こうした効果は、家族を撮影する際も役立つ。子どもの撮影も、4Kであれば拡大しても肌のすみずみまで綺麗に表示されることだろう。そして、今後4K対応ディスプレイを導入した際にのちには、その綺麗さに感動するはずである。
つまり、現時点で4K動画の撮影や再生は時期尚早であるという感じは否めない。
しかし、普段使いはフルHD撮影し、「イザ!」という時に4K動画で撮影と、使い分ければ、十分に4K動画撮影は役立つ裏技として使えるがミソである。
なお、対応機種を持っている人は一回動画撮影をしたのちに拡大表示を、是非試して欲しい。
きっとクセになり、近所の川に居る遠くの亀などを、ついつい撮影したくなるハズである。ちなみに、それをしすぎてスマートフォンのストレージ容量が足りなくなったのが筆者である。
布施 繁樹
・2014年夏モデル 4K動画撮影・再生対応機種
NTTドコモ … 3機種
KDDI … 4機種
ソフトバンクモバイル … 1機種
実に、8機種で「4K動画撮影・再生」に対応している。
ニュースなどでも盛んに飛び交っている「4K」とキーワード。聞いたことはあるけど、実はよくわかってないという人も多い。
4Kの「K」は、キロ=1000を指す。つまり、4Kは4000を指していて、横(長辺)方向に4000ピクセル前後の解像度があるという意味である。横に4000も画像を表示する点々が連なっているなんてなんかすごい気がするが、まったくもって数えたくもない。また横(長辺)方向に1920ピクセルのフルHDは2K、1080ピクセルのHDは1Kとなる。
ちまたでは、大画面テレビやモニタで、これでもかっていうくらい高画質をデモンストレーションされていることからも、「4K」はめちゃくちゃ高画質らしいということはわかってもらえたかと思う。
さて、このめちゃくちゃ高画質な「4K」だが、手のひらサイズのスマートフォンで意味あるのか?というのが素朴な疑問なわけだ。
ちなみに、iPhone(5/5c/5s)は長辺が1136ピクセルなので1Kとなる。だからといって「俺のiPhoneはディスプレイが1Kなんだよね〜」とドヤ顔で言っても、あきれられるだけなので注意しよう。
GALAXY S5の場合、UHDというサイズが4K撮影相当となる
●4K動画撮影に飛びつくべきでない3つの理由
今夏の最新モデルに多く搭載されている4K動画撮影だが、普段使いでは2K相当のフルHDで十分だろう。
理由は以下の3つだ。
その1 撮影した動画データがすさまじく大きい
仮に手元にあった4K動画撮影対応の「GALAXY S5 SC-04F」で、たった1分間の動画撮影を行って、フルHD(2K)と比較してみた。
結果は以下となった。実に3倍の容量だ。
・4K動画 1分間で336Mバイト
・フルHD動画 1分間で122Mバイト
1分1秒の動画で約353Mバイト使っていることから容量が非常に大きいのがわかる
仮に10分間分の動画を、4Kで撮影をした場合、なんと約3.4Gバイトの容量になる。現在の4K動画撮影対応スマートフォンの内蔵ストレージ容量は32Gバイトが多い。メモリーカードもSDHC64Gバイト対応だが、一般に利用されているのは価格が安い16Gバイトや32Gバイトだ。
したがって、旅先などでお気楽に4K動画撮影を行って、トータル100分間を超えたら「容量が足りません」となる計算だ。
その2 撮影した動画は、なにで再生すりゃいいの?
4K動画を撮影すると、再生も4Kで行い、極めてきめ細かい動画を楽しみたいというのが心情だろう。そもそもフルHD(2K)で再生するならフルHDで撮影するだろう。
現在、スマートフォンでは正式に4K対応したディスプレイは搭載されていない。ハイスペックモデルでも主流は2KクラスのフルHDである。
それでは液晶テレビに出力して見れば・・・どうだろうか。
4Kの解像度に対応した液晶テレビの価格は安いものでも20万円台半ば、平均では30万円前後が主流だ(2014年6月現在)。
現在主流の4万円台から6万円で購入できるHD対応液晶テレビくらいに価格が下がってこないと、おいそれとスマートフォンの4K動画のためにテレビを買い替えるのは普通の人にはハードルが高すぎる。
つまり、4K動画をそのまま再生できる環境を作るまでの投資が大きすぎるのである。
その3 特殊エフェクトが使えない
昨今のスマートフォンには、スポーツに便利なスローモーション撮影や、まるで別世界に居るような雰囲気にさせてくれるARエフェクト機能などさまざまな機能を兼ね備えている。
しかしながら、その解像度の大きさから処理に膨大な負荷がかかる4K動画撮影では、現在のスマートフォンのマシンパワーでは、フルHDでは使える特殊エフェクトが利用できない。
つまり、「ただ撮影する」だけしかできないのだ。
以上、3つの理由より、4K動画撮影は、動画好きや4K動画を利用できる環境が整っている人以外には、時期尚早という結論に達してしまうのだ。
●せっかく搭載している4K動画撮影 なんとか活かす方法はないの?
「それじゃあ、4K要らないじゃんか」となりそうなものだが、4K動画撮影には、スマートフォンの弱点を補う、強力なメリットがあるのだ。
それは、フルHDと比べて、拡大しても動画が粗くならないことだ。
4Kは、もともとスマートフォンのディスプレイよりも4倍もきめ細かい解像度で撮影している。撮影された動画をピンチアウトして拡大してみても、フルHD以上かフルHDなみに綺麗なままなのである。
この脅威の高解像度を活かせるのが、遠くのものを動画撮影する場合だ。
例えば、遊園地のパレードを撮影する際、通常であればキャラクターが豆粒のように小さくなってしまう。しかし、4K動画撮影であれば、あとで拡大してもキレイに見られるのだ。
フルHDで拡大した画像と4Kの画像を拡大したものでは、その差は歴然だ
フルHDで撮影した動画を最大まで拡大
4Kで撮影した動画を最大まで拡大
こうした効果は、家族を撮影する際も役立つ。子どもの撮影も、4Kであれば拡大しても肌のすみずみまで綺麗に表示されることだろう。そして、今後4K対応ディスプレイを導入した際にのちには、その綺麗さに感動するはずである。
つまり、現時点で4K動画の撮影や再生は時期尚早であるという感じは否めない。
しかし、普段使いはフルHD撮影し、「イザ!」という時に4K動画で撮影と、使い分ければ、十分に4K動画撮影は役立つ裏技として使えるがミソである。
なお、対応機種を持っている人は一回動画撮影をしたのちに拡大表示を、是非試して欲しい。
きっとクセになり、近所の川に居る遠くの亀などを、ついつい撮影したくなるハズである。ちなみに、それをしすぎてスマートフォンのストレージ容量が足りなくなったのが筆者である。
布施 繁樹