MBS

写真拡大

「2年間の食料品消費税ゼロ」新たな動きが

 政府が物価高対策として検討している「2年間の食料品消費税ゼロ」。

【画像を見る】「食料品消費税」今後のスケジュールは?

 3日に政府が示したレジ改修に関する調査結果によると、0%に変更する場合「レジ改修に1年程度必要」で、1%への変更であれば「地方のスーパーなども含めて半年以内に対応可能」ということです。

 政府内では税率を1%に引き下げ、来年4月から実施するという案が有力になっていますが、改めて減税のメリット・デメリットは?2年後に税率を戻すことはできるのか?政治・経済の両面から考えます。

 ◎取材
 野村総合研究所 木内登英氏
 ジャーナリスト 武田一顕氏

「来年4月から」「税率1%」が有力

 自民党が大勝した2月の衆議院選挙で公約に掲げ、高市総理の“悲願”でもある「2年間の食料品消費税ゼロ」。

 実現に向けた課題を洗い出すため、これまで業界団体などへのヒアリングが実施されてきましたが、政府は3日に行われた国民会議の実務者会議でレジ改修に関する調査結果を示しました。

 <レジ改修に関する調査結果>
  ▼0%に変更⇒改修に1年
  ▼1%に変更⇒改修に半年

 「税率0%」はシステムが想定していない数字で、システムダウンの可能性や、「課税額ゼロ」と「非課税」の判別がつかないことが懸念されるため、改修に1年かかるということです。

 現在、「食料品の税率は1%」「来年4月から実施」という案が政府内で有力となっていて、今後会議で検討するとしています。

「4人家族で年約6万円」減税で負担減少? 一方で“便乗値上げ”の可能性も

 食料品消費税を8%から1%にする場合、どれほどの効果が見込まれるのか?

 野村総合研究所の木内登英氏は、家計の負担減少が「4人家族で年間6万2528円」、GDP押し上げ効果が「1年限定で0.19%程度」と見ています。

 また、木内氏は経済面の主なメリット・デメリットとして以下の点を挙げています。

 ▼経済面のメリット
  ・消費押し上げ
  ・景気浮揚効果
  ・低所得者支援
 ▼経済面のデメリット
  ・レジをめぐる混乱
  ・外食産業への打撃
  ・物価高騰局面では便乗値上げも

 減税はエンゲル係数が高い低所得者層への支援となる一方、レジ改修をめぐっては特に中小零細企業で混乱が大きくなるのではないかと木内氏は話しています。

与党にとって「来春の統一地方選」の武器に? 一方で“公約違反”と批判の懸念も

 さらに、ジャーナリスト・武田一顕氏は政治面でのメリット・デメリットとして次の点を挙げています。

 ▼政治面のメリット
  ⇒与党にとって来年春の統一地方選
 ▼政治面のデメリット
  ⇒与党にとって0%ではないこと

 減税の実績は選挙の武器となるため、来年4月までに実現したいという思惑があるようです。一方、2月の衆院選で自民党は「0%」を公約に掲げていたため、野党から“公約違反”と批判されかねないという懸念もあると言います。

 「0%」→「1%」に引き上げられた分を補助金などで還元することで「実質ゼロ」を目指していくのではないかと武田氏は見ています。

「来年4月~は遅くないか」「外食産業への救済は?」減税めぐり懸念点も

 木内氏と武田氏は、食料品消費税の減税をめぐる懸念点を挙げています。

 (野村総合研究所 木内登英氏)
  「高所得者優遇にも」
  「原油価格が上昇しているいま、来年4月~だとしても遅くないか」

 (ジャーナリスト 武田一顕氏)
  「マイナス面があまり議論されていない」
  「外食産業への救済は?」

 また、両氏ともに不安視しているのが、“財源”をめぐる議論があまり進んでいないのではないかということ。木内氏は「1%への減税には4.4兆円が必要だが『税収の上振れ分』は財源にならない」と指摘しています。

「給付付き税額控除」は給付に一本化へ

 また、国民会議において同時並行で議論されているのが「給付付き税額控除」。「税金が安くなる」と「現金がもらえる」が1セットになった新制度です。

 3日に開催された実務者会議の資料によると「給付に一本化して所得に連動したきめ細かな支援を実現」「減税と給付を組み合わせるなどの仕組みとはしない」としています。

今月下旬に総理が最終判断か…今後の流れは?

 武田氏によると、食料品消費税をめぐる今後の流れは次のとおり。

 <今後の流れ(武田氏による)>
  ▼6月下旬
   野党の反応を見ながら国民会議で「中間とりまとめ」
   ⇒高市総理が最終判断
  ▼秋(9月か10月?)
   臨時国会に消費税減税の法案提出
   「来年4月から食料品消費税1%」明記?
  ▼来年1月~
   通常国会で必要な予算を計上?
  ▼来年4月?
   新食料品消費税開始(2年間?)

 この間に、給付付き税額控除を引き続き設計していくのではないかということです。

2028年夏は参院選 2年後に税率戻せる?「“追い風”であれば…」

 食料品消費税減税が2年間限定である場合、来年4月実施するとして、2029年3月で1%⇒8%に戻ることになります。

 2028年7月には参院選が控えている中、税率を戻すことはできるのか?

 武田氏は「“追い風”であれば戻すことができる」、木内氏は「減税が2年以上続く場合、財政悪化が懸念されるため、戻さざるを得ない」と見ています。

 (2026年6月3日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『まえはるプレゼン』より)