障害者ビジネス 働く意欲と尊厳を踏みにじる
障害があっても、社会の一員として働きたい。
そうした意欲を持つ人たちの尊厳を踏みにじったと言わざるを得ない。
那覇市の業者「サンクスラボ」の仲介で企業に雇われた一部の障害者が、実質的な仕事を与えられず、不適切な環境に置かれていた。
サンクスラボは、障害者の就労を支援する「障害者雇用ビジネス」を展開し、企業への就職を仲介する事業を手がけている。
今回の問題で、複数の障害者は企業に就職しながら、出社せずに自宅でパソコン操作などの自己学習をするよう求められていた。中身のある仕事は与えられず、サンクスラボとチャットで短いやり取りをする程度だったという。
企業側は、障害者と連絡すら取らず、給与だけを支払っていた。就労管理をサンクスラボに丸投げし、企業としての責務を放棄していたと言うほかない。
身体障害のある女性は「社会に置き去りにされた」と感じたという。孤独感から体調を崩した男性もいた。障害者が能力を発揮できる環境整備を求めた障害者雇用促進法の理念を逸脱している疑いがあり、放置できない問題だ。
背景には法定雇用率があるとされる。法定雇用率は従業員に占める障害者の割合を増やす目的で、1976年に導入された。現在は2・5%で、達成しないと不足人数分に応じた納付金が課され、社名を公表されることもある。
企業側は、法定雇用率の達成を迫られる一方、障害者にどのような仕事を任せるか悩みを抱えて、サンクスラボのような仲介業者に頼る例が少なくないという。
だからといって、障害者を形だけ雇い、数値達成の手段のように扱うことは、許されない。障害者を一人の貴重な人材として尊重し、働く意欲を最大限生かすのが本来の姿ではないか。
雇用ビジネスは全国で46業者が手がけ、1800社以上が利用しているが、不適切な業者を直接規制する法令はないという。
民間企業で働く障害者は、業者が仲介したケースも含め、過去最多の70万人に上る。7月には法定雇用率が2・7%になる。国は、業者を指導監督する仕組みを整備すべきだ。企業の雇用体制づくりを支援することも欠かせない。
障害者の就労を巡っては、今回の問題とは別に、就労支援の加算金を業者などが不正に受給する事案も相次いで発覚している。障害者につけいるようなビジネスは、正さねばならない。
