緊張すると指先が紫色に変わる『膠原病』はご存知ですか?6つの症状を医師が解説!

膠原病はひとつの病名ではなく、免疫の異常によって関節や皮膚、筋肉、血管、内臓など全身に症状があらわれる病気の総称です。
本記事では、膠原病の発症のメカニズム、代表的な症状、種類、検査や診断の流れを解説します。

監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)

2011年佐賀大学医学部医学科卒業。2021年横浜市立大学大学院医学研究科修了。リウマチ・膠原病および感染症の診療・研究に従事している。

【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)

診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科

膠原病の基礎知識

膠原病は正式な病気の名前ですか?

膠原病は、特定のひとつの病名ではありません。関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、全身性強皮症、血管炎など、自己免疫疾患をまとめて指す名称です。

膠原病の患者数を教えてください

膠原病は複数の病気をまとめた呼び名であるため、「膠原病全体で何人」かは不明です。ただし、代表的な病気ごとにおおよその患者数が報告されています。全身性エリテマトーデス(SLE)は日本で6万~10万人ほど、シェーグレン症候群は10万~30万人ほど、全身性強皮症は2万人以上とされています。含まれる病気によって患者数や発症しやすい年代、男女差が異なります。

膠原病の特徴を教えてください

膠原病の特徴は、症状が全身に及ぶ可能性があることです。関節の痛みやこわばり、筋肉痛、発熱、強いだるさ、皮膚の赤みなどの症状がみられるほか、病気によっては肺や腎臓、神経、血管などに障害が起こることもあります。
また、症状の現れ方が人によって異なります。初期は風邪や疲労のように見えるケースも少なくありません。寒さや緊張で指先の色が白や紫に変わるレイノー症状、目や口の乾燥、長引く微熱などがあります。

膠原病にはどのような病気が含まれていますか?

膠原病に含まれる代表的な病気には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、全身性強皮症、血管炎などがあります。
関節リウマチは、主に手足の関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、朝のこわばりが続く病気です。全身性エリテマトーデスは、皮膚や関節だけでなく、腎臓や肺、中枢神経など全身の臓器に影響を及ぼすことがあります。シェーグレン症候群では、涙や唾液が減ることで目や口の乾燥が目立ちます。全身性強皮症は、手指の腫れや皮膚の硬化、レイノー症状が特徴で、進行すると肺や消化管などの内臓に症状が出ることもあります。
血管炎は血管に炎症が起こる病気の総称で、障害される血管の大きさや部位によって症状が異なります。
参照:
『膠原病全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、全身性強皮症』(ヘルスケアラボ)
『膠原病とは』(国立病院機構 東名古病院)

膠原病の原因、発症のメカニズム

膠原病には原因がありますか?

膠原病は、ひとつの明確な原因で起こる病気ではなく、いくつかの要因が重なって発症すると考えられています。主な要素には、遺伝的な体質、環境因子、感染症などが挙げられます。
もともと免疫が過剰に反応しやすい体質を持っている人に、ウイルス感染や強いストレス、紫外線などの外的要因が加わることで、免疫のバランスが崩れ、発症のきっかけになると考えられています。
ただし、同じ条件でも発症する人としない人がいるため、単一の原因だけでは説明できないのが特徴です。

膠原病を発症するメカニズムを教えてください

膠原病の発症には、自己免疫が関わっています。本来、免疫は細菌やウイルスなどの異物から身体を守る働きを持っていますが、膠原病ではこの免疫が誤って自分自身の組織を攻撃してしまいます。
このとき体内で作られるのが自己抗体と呼ばれるものです。自己抗体が関節、筋肉、皮膚、血管、内臓などに反応することで、炎症や組織の障害が引き起こされます。これが、膠原病でさまざまな症状が全身に現れる理由です。
ただし、自己抗体が作られる理由や特定の臓器に症状が現れる理由は解明されていません。そのため現在の治療は、免疫の過剰な働きを抑えることが中心です。ステロイドや免疫抑制薬、生物学的製剤などを用いて炎症をコントロールし、症状の悪化を防ぎます。
参照:『膠原病って何?』(岐阜大学大学院医学研究科)

膠原病の検査と診断

どういった症状があらわれると膠原病が疑われますか?

膠原病が疑われるきっかけとなる症状はひとつではありません。代表的なのは、長引く発熱、強いだるさ、関節痛、朝のこわばり、筋肉痛、皮膚の赤みや発疹などです。寒いときに手足の指先が白や紫に変わるレイノー現象、目や口の乾燥、口内炎、脱毛、息切れ、咳、むくみなどがみられることもあります。
膠原病の特徴は、症状が関節や皮膚だけでなく、肺、腎臓、血管、筋肉、神経など全身のさまざまな部位に及ぶ可能性があることです。そのため、原因不明の不調が続く、複数の症状が同時にみられるといった場合には、膠原病が疑われることがあります。

膠原病が疑われるときに行われる検査の内容を教えてください

膠原病が疑われるときは、まず問診と診察で症状の出方や部位、経過を確認します。そのうえで、血液検査、尿検査、画像検査を中心に必要な検査を進めます。
例えば血液検査では、炎症の強さをみるCRPや赤沈に加えて、抗核抗体、リウマトイド因子、抗CCP抗体、抗ds-DNA抗体、抗Sm抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体、抗U1-RNP抗体、抗Scl-70抗体、ANCAなど、病気ごとに特徴的な自己抗体を調べます。どの抗体を調べるかは、疑われる病気によって異なります。関節リウマチではリウマトイド因子や抗CCP抗体、SLEでは抗核抗体や抗ds-DNA抗体、シェーグレン症候群では抗SS-A抗体や抗SS-B抗体が関わります。
尿検査は、腎臓への影響を確認するために行われます。たんぱく尿や血尿がないかを調べることで、SLEや血管炎などで腎障害が起きていないかを確認します。

膠原病の診断基準を教えてください

膠原病全体に共通するひとつの診断基準があるわけではありません。含まれる病気ごとに、それぞれ分類基準や診断基準が定められています。例えば、関節リウマチでは関節の腫れや痛みの部位、血液検査の結果、症状の持続期間などを点数化して評価します。全身性エリテマトーデス(SLE)では、皮膚症状、関節炎、腎障害、血液異常、自己抗体など複数の項目を組み合わせて判断します。
また、シェーグレン症候群では、目や口の乾燥症状に加えて、涙や唾液の分泌低下、抗SS-A抗体・抗SS-B抗体、唾液腺の組織所見などをもとに診断します。全身性強皮症では、皮膚硬化の範囲、レイノー現象、肺病変、自己抗体などが診断の手がかりになります。血管炎では、発熱、体重減少、神経症状、腎障害、肺病変、ANCAの有無、組織検査の結果などを総合して判断します。
参照:『診断基準』(大阪医科薬科大学病院)

編集部まとめ

膠原病は、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性強皮症、血管炎などを含む自己免疫疾患の総称です。ひとつの病名ではなく、免疫が自分自身の組織を攻撃してしまうことで、関節、皮膚、筋肉、血管、内臓など全身に幅広い症状が起こりえる点が特徴です。

膠原病は原因がひとつに特定できないことも多い一方で、現在は免疫の異常を抑える治療法が進歩しており、早期発見と適切な治療によって症状をコントロールしながら生活していくことが可能です。

気になる不調が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。

参考文献

『膠原病全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、全身性強皮症』(ヘルスケアラボ)

『膠原病とは』(国立病院機構 東名古病院)

『膠原病って何?』(岐阜大学大学院医学研究科)

『診断基準』(大阪医科薬科大学病院)