「今回、結末がどうなるかはわからないですが、『彼女が悪い』となってしまうのは可哀想だと私は思います」

【画像】小泉進次郎氏と両手を絡め合うツーショット

 そう語るのは、“陸自の歌姫”こと、陸自中央音楽隊の鶫(つぐみ)真衣三等陸曹(38)が2018年に発売した初アルバム「いのちの音」の企画制作を支えた、サンミュージックの相澤正久会長だ。


石川県観光大使でもある ©︎時事通信社

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小泉進次郎防衛相がXの投稿を削除するも…

〈凛とした君が代が大会場に沁み渡りました〉

 発端は、小泉進次郎防衛相のXの投稿だった。

「4月12日の自民党大会で国歌を熱唱した鶫氏を労うもの。両手を握り合うツーショット写真も添付されていました」(政治部記者)

 だが、投稿を見て防衛省幹部は血相を変えたという。

「党大会は自民党の最高機関です。鶫氏は自衛隊の制服を着て登壇し、歌唱前には『陸上自衛隊が誇るソプラノ歌手』と紹介された。自衛官には政治的中立が求められており、特定政党の党大会への登壇はあり得ません。しかも、通常なら事前に情報共有すべき大臣官房などに報告が一切なかったのです」(防衛省関係者)

 すると、与野党から批判が相次いだ。

「小泉氏は慌てて投稿を削除し、『私人としての活動であり法的に問題ない』と釈明。自身も事前に知らなかったと述べた」(同前)

「別の判断もあり得た」と手のひら返し

 だが、中央大学法学部の橋本基弘教授はこう語る。

「制服を着用し、自衛官であると示された歌手が党大会に登壇することは、政治的活動と取られかねない行為です。自衛官の政治的中立を損なっており、自衛隊法違反となる可能性が高い」

 その後、木原稔官房長官が、誤解を招かぬよう「反省すべき」と述べると、小泉氏も「仮に情報が上がっていれば別の判断もあり得た」と発言を翻したのだ。

 防衛相の思いもよらぬ手のひら返しに遭った鶫氏は、陸上自衛隊で初めて声楽要員として入隊した逸材だ。地元・石川県の知人が語る。

うたのおねえさんに憧れた才女

「石川の高校を出て、国立音大、洗足学園音大大学院で声楽を学んだ。東日本大震災後に、自分の歌で誰かの助けになりたいと、自衛隊への入隊を決めた。聞いた時は『こんな可愛い子が自衛隊に!?』と驚きました」

 運動とは無縁の経歴だったため、自衛隊の厳しい訓練には苦労した。

「当初は腕立て伏せも満足にできず、朝6時の起床ラッパに心が折れそうになったこともあったそう。地道な努力を重ね、陸曹昇任時には手りゅう弾投げやほふく前進といった戦闘訓練もクリアしています」(同前)

 中部方面音楽隊から、22年には中央音楽隊に転属。同隊関係者が言う。

「各地で歌を披露する傍ら、中央音楽隊の広報担当として商品開発に携わったり、SNS担当として公式Xも運用。別の音楽隊の自衛官と結婚もしています」

 そんな鶫氏が歌の道に進んだのはなぜかというと、

「NHK Eテレの番組『おかあさんといっしょ』がきっかけです」

 と、明かすのは前出の知人だ。

「彼女は3歳からピアノを習っていましたが、ピアノの先生の提案でピアノと歌のレッスンを両方することに。その後、『うたのおねえさん』に憧れ、中学から本格的に声楽を学んだのです」

「自民党が謝れば済む話じゃないですか」

 うたのおねえさんにはなれなかったが、メジャー歌手としてCDも発売している鶫氏。冒頭の相澤氏は今回の騒動をこう語る。

「彼女は歌を通じて被災地で勇気を与えることもできるし、国民の自衛隊に対する理解も深められる大切な存在。自民党が『ちょっと配慮が足りなかった』と謝れば済む話じゃないですか」

 防衛省に今回の騒動への見解などを訊ねると、概ね次のように回答した。

「自衛隊法違反に当たらないと認識していますが、幹部への報告や関係部署の情報共有に反省点があったと考えています。今後は情報共有を徹底してまいります」

 高市早苗首相は20日の党役員会で「当該自衛官に全く責任がないことは強調しておきたい」と語ったというが、それは会見でハッキリと言うべきことだろう。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年4月30日号)