柏崎刈羽原発 電力安定供給への貢献大きい
東日本大震災以降、14年ぶりに首都圏に原子力発電所の電力が届いた。
イラン情勢の混乱が続く中、電力の安定供給に果たす役割は大きい。
東京電力は、新潟県の柏崎刈羽原発6号機の営業運転を4月16日から始めた。福島第一原発の事故後、東電が本格的に原発を稼働させるのは初めてとなる。
6号機は新潟県の同意を得て、1月に再稼働したが、機器の不具合などトラブルが相次いだ。このため2月26日に予定していた営業運転は約2か月遅れた。
震災に伴う原発事故がもたらした甚大な被害を踏まえ、安全確認を徹底したということだろう。東電は、地域住民の信頼を損なわぬよう、今後も安全性を最優先に取り組まねばならない。
原発の再稼働が進まない中、首都圏の電力需給は近年、綱渡りの状況が続いてきた。
特に2022年は厳しかった。ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー不足に加え、コロナ禍でテレワークなどが普及して家庭の電力需要が増えたからだ。
政府は当時、電力供給の余裕が乏しくなったことを受けて、大規模停電を未然に防ぐため、3月には初の電力需給逼迫(ひっぱく)警報の発令、夏にも7年ぶりの節電要請を行い、翌年も実施した。
今夏は柏崎刈羽原発の再稼働により、節電要請は見送られる見通しだ。出力が大きい原発が電力安定供給に果たす貢献度の高さを、改めて示したと言えよう。東電は運転を止めるトラブルを起こさぬよう、万全を期す必要がある。
イランが原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を事実上封鎖するなど、地政学的なリスクの高まりに直面している。エネルギー安全保障が一段と問われる中で、原発は脱炭素と両立できる「準国産エネルギー」として重要だ。
原子力の活用は、化石燃料の節約につながる利点も大きい。
日本の電源構成は、太陽光などの再生可能エネルギーが増えたものの約7割は液化天然ガス(LNG)などの火力発電が占める。柏崎刈羽原発の稼働により、ホルムズ海峡経由で輸入していたLNGの3割相当を減らせるという。
イラン情勢の先行きは不透明で、エネルギーの大半を輸入に頼る日本にとって厳しい状況は続くだろう。LNG価格の高騰で、今夏以降の電気料金の上昇は避けられない見通しとなっている。
不安定な中東情勢が続くリスクを見据えて、官民で節電の意識を高めていくことも大切だ。
