給付付き税額控除とは?仕組みと4つの課題をわかりやすく解説 高市政権が掲げる「社会保障の新たな柱」
OBSラジオ番組「加藤秀樹が語る、日本の未来構想」にて、構想日本の加藤秀樹代表が、このところ急速に注目を集めている「給付付き税額控除」について解説しました。高市政権が掲げる社会保障改革の目玉でありながら、その仕組みはほとんど知られていません。私たちの暮らしにどう関わるのか、その大枠と課題を整理します。
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「高市政権」の2本柱と給付付き税額控除
高市政権が総選挙以来掲げる経済・社会保障政策には、大きく2つの柱があり、政府・与野党による「社会保障国民会議」での議論も始まっています。
1.食料品の消費税を2年間ゼロにする
2.給付付き税額控除を導入する
選挙期間中は「消費税ゼロ」が注目されましたが、現在はもう一つの柱である「給付付き税額控除」の検討に重きが置かれている様子です。加藤氏は「日本の税制や社会保障の将来を左右する大きな柱になりうる仕組み」として、その重要性を強調します。
税金を引くだけでなく「お金が戻ってくる」
「給付付き税額控除」は、文字通り「給付(政府がお金を配る)」と「税額控除(税金をまける)」を組み合わせた仕組みです。現在の日本の税制にも、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、障害者控除など、多くの「控除」が存在します。しかし、これらには共通の弱点がありました。
•これまでの「控除」: 税金をたくさん払っている人には税額が減るというメリットがあるが、収入が低くもともと税金をあまり払っていない人には、いくら控除枠があっても十分な恩恵が及ばない。
•「給付付き」になると: 控除しきれなかった分を「現金」として国が給付します。
<例:給付付きで10万円の税額控除の場合>
•税金を100万円払っている人→税金が90万円に減る
•税金を15万円払っている人→税金が5万円に減る。
•税金を5万円払っている人→税金が0円になり、さらに残りの5万円が現金給付される。
•税金が0円の人:10万円が現金給付される。
この例で分かるように、所得が低い人がより手厚いサポートが受けられます。
海外では主流 日本での導入に向けた「4つの壁」
イギリス、フランス、アメリカ、カナダなどの欧米ではすでにいくつかの国で導入されていますが、低所得者の生活支援や子育て支援など、何を政策目標としてこの制度を運用するかは国によって違います。
イギリスは最も大掛かりにこの制度を導入しており、先に述べた様々な「控除」を一元的に行えるようにしています。一方、日本でこれを実現するには、いくつかの大きな課題をクリアしなければなりません。
1.所得の正確な把握: 自営業者など、現金のやり取りも多く正確な所得が把握できていない職種について国がどこまで正確に把握できるか。
2. 資産の扱い:「所得は低いが、莫大な不動産や金融資産を持っている資産家」をどう扱うか。資産も考慮に入れないと不公平が生じる。
3.財源の確保: 多額の借金を抱える日本で、かなりの額になりそうな給付のための財源をどう調達するか。
4.単位の問題: 対象を「個人」単位で計算するのか、それとも「世帯」単位で見るのか。「103万円の壁」の議論とも密接に関わりがある。
加藤氏は「国が何を支援したいのか、低所得者の生活なのか、子育てなのか、国の姿勢を映し出す鏡になる」と語ります。議論はまだ始まったばかりですが、私たちの将来の生活に直結する重要なテーマです。「難しい言葉だから」と敬遠せず、今後の議論の行方に注目していく必要があります。
