《ビーチ沿いに小柄で若い女性の遺体が複数…》「NY女性8人連続殺害」の判決迫る…13年越しに犯人逮捕 「家族思いの父親」の裏の顔は“凶悪犯罪マニア”だった
2010年、行方不明の女性を捜索していた警察がニューヨーク州ロングアイランドのギルゴビーチ沿いで複数の若い女性の遺体を発見し、全米を震撼させた「ギルゴビーチ連続殺人事件」。
【写真を見る】骨と頭蓋骨が見つかったギルゴビーチ事件の現場、被告の自宅や被告の自撮り写真
DNA鑑定などの証拠をもとに2023年に逮捕されたレックス・ホイアーマン被告(62)は、当初は無罪を主張していたが、4月8日、1993年から2010年にかけての7件の殺人と、別のもう1件の殺害についても罪を認める有罪答弁を行った。
冷酷な連続殺人犯として起訴されたレックスの"素顔"は、マンハッタンで建築設計事務所を経営するエリート建築家。ロングアイランドのマサピークパークで妻と2人の子どもと暮らし、近所では「静かで礼儀正しい家族思いの父親」として知られていた。
レックスが容疑者として浮上したのは、「ギルゴビーチ連続殺人事件」発覚から12年が経った2022年。 FBIとの連携を強化し再検証を進める中、被害者の一人の同居人が2010年に目撃していた「濃い緑色のシボレー・アバランチ」の車両登録情報からレックスの存在が浮かび上がったのだ。
警察は極秘裏にレックスの行動を追跡。そして2023年、尾行中に回収したピザの箱から食べ残しに付着していたDNAと、被害者の一人の遺体運搬に使われた麻袋から採取した毛髪のDNAが一致した。13年にわたる未解決事件の犯人がついに逮捕となったのだ。
「4月に行われた有罪答弁において、レックスは女性8人を標的にし、多くを絞殺、遺体をギルゴビーチ周辺や内陸の森林地帯に遺棄し続けたことを認めました。被害者の中でも、最初に発見された4人はいずれも小柄で、抵抗されにくい相手を狙っていた可能性も報じられています。
なお、被害者の多くが性風俗従事者だったことから、米メディアは"社会的に軽視されやすい存在が見過ごされてきたのではないか"と繰り返し指摘。その構造が、結果的に標的とされやすかった可能性もあるとみられます」(海外ジャーナリスト)
FBI捜査官の著作『マインドハンター』で学習
レックスの自宅からは、犯行の手順を記した計画文書が見つかっている。標的の選び方から犯行時の行動、証拠を残さないための注意点に至るまで、極めて具体的な記載があったとされ、捜査当局は犯行がきわめて計画的に行われていた可能性が高いとみている。
その計画書に記されていたのが、元FBI捜査官ジョン・ダグラスのノンフィクション『マインドハンター──FBI連続殺人プロファイリング班』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)だ。 Netflixオリジナル・ドラマシリーズ『マインドハンター』の原作としても知られ、連続殺人犯の心理と捜査手法を克明に描いた同作を、レックスは「犯行の精度を上げ、逮捕を逃れるための教科書」のように扱っていたとされる。ページ番号に言及した記録も残されていたとされるほど、読み込んでいたのだ。
「レックスが被害者遺族に執拗な嫌がらせ行為を行っていたことも明らかになりました。プリペイド式の使い捨て携帯を使い、遺族に無言電話や嘲弄の言葉を送り続けるという、"殺した後も終わらない加害"という異様さが明らかになっています。
さらには、収監後も犯罪への異常な関心を持ち続けているとのこと。地元保安官は、レックスが刑務所内で、ほかの著名な連続殺人犯たちと文通していると明かし、まるで犯罪を学習し、研究対象のように扱っていると現地メディアは報じています」(同前)
波紋呼ぶ司法取引の内容
レックスは今回、司法取引に応じる方向で合意した。司法取引では有罪を前提に"どこまで刑を軽くできるか"が焦点となる。
「通常の裁判では、証拠や証言が次々と提示され、事件の全容が法廷で浮かび上がる。しかし司法取引では有罪を認めることで、そのプロセス自体が省略されるため、犯行の詳細が判明しない可能性が懸念されています。
また、この司法取引には『FBIの行動分析部門(BAU)による面接への協力』も含まれています。かつてFBIの捜査手法を"逮捕逃れの教科書"として使っていた男が、今度は自らその"教材"になるという点も、不気味な構図だと受け止められています」(同前)
この事件には、解明されていない部分も残されている。確認されている犯行は1993年から2010年までにとどまるが、それ以降については明らかになっていない。捜査当局はほかの未解決事件との関連や余罪の可能性についても調べを続けているとみられるが、司法取引によってこうした未解明の部分が法廷で十分に検証されないまま終わる可能性もある。
判決は6月17日に言い渡される予定で、検察によれば、仮釈放なしの終身刑3回に加え100年という重い刑が見込まれている。今後、量刑判断の過程で被告本人が発言する可能性もあり、被害者遺族に向けた謝罪や説明がなされるのか、それとも何も語らないのか、大きな関心が集まっている。
