神奈川県「消えかけ白線ゼロ」達成を宣言 AI活用でインフラ整備(画像はイメージ/PhotoAC)

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神奈川県「消えかけ白線ゼロ」達成を宣言 AI活用でインフラ整備

 神奈川県は2026年4月7日、県内の道路における横断歩道や区画線の補修完了に見通しが立ったとして、「消えかけ白線ゼロ」の達成を宣言しました。

 県と県警が連携し、AI技術を活用した点検を導入することで実現した本件は、運転支援システムの安定稼働にも寄与する道路インフラ整備として注目されます。

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 その背景と具体的な取り組み内容を解説します。

 車を運転する際、車線や停止線といった道路標示は安全確認の基本です。

 しかし、交通量の多い道路では経年劣化により白線が摩耗し、見えにくくなることがあります。

 神奈川県ではこの課題に対処するため、県と県警察が連携して白線の補修作業を進めてきました。

 そして2026年4月7日、黒岩知事の定例会見にて「消えかけ白線ゼロ」の達成宣言が行われました。

神奈川県内のライン(出典:県土整備局・県警察交通部 総務 局 デジタル戦略本部室)

 2026年4月7日、神奈川県の黒岩知事は定例会見にて「消えかけ白線ゼロ」の達成を宣言しました。

 これまでの経緯について、知事は「これまで、横断歩道やセンターラインなど道路の白線について、多くの県民の皆さんから、消えかけて見えにくいといった声をいただいておりました」と背景を説明し、「こうした声にこたえるため、県では県警察と協力し、消えかけ白線ゼロを目指す取り組みを推進してまいりました」と述べています。

 結果として、県警が管理する県内約7万2000箇所の横断歩道のうち、摩耗が進んでいたA・Bランクの約1万4000箇所に関する補修が2025年度末(令和7年度末)までに完了しました。

 さらに、県が管理する道路の区画線についても、2026年9月末までに補修が完了する予定であることから、今回の宣言に至っています。

 この取り組みを推し進めた要因の一つが、AI技術の導入です。

 道路のラインには、県警が設置する横断歩道や黄色の中央線といった交通規制を伴うものと、国や県、市町村などが設置する外側線や白色の中央線などがあります。

 神奈川県では2023年度(令和5年度)から、標識点検業者の車両にスマートフォンを搭載し、撮影した画像データをAIセンサーで解析する仕組みを採用しました。

 これにより、ラインの摩耗状況を効率的に判定できるようになり、県内全域を3年で一巡する点検サイクルが確立されています。

 得られた摩耗データは県が保有し、情報共有ツールを通じて市町村へも提供されることで、各自治体が優先度をつけて補修を行える体制が整えられました。

 消えかけた白線を補修することは、人間のドライバーに対する視認性向上にとどまらず、先進的な運転支援システムの機能維持にとっても重要です。

 近年の車両に広く搭載されているLKAS(車線維持支援システム)などは、車載カメラが道路の白線を認識して機能します。

 白線が摩耗して認識しづらい状況下では、これらのシステムが正常に作動しない可能性があります。

 外側線などの適切な維持管理は、自動運転技術の普及を見据えた走行環境を確保する上で欠かせません。

 神奈川県は、外側線などの補修を国の補助対象に加えるよう提案を行っており、デジタル技術と道路インフラの連携を視野に入れた動きを見せています。

※ ※ ※

 今回の宣言により一定の目標は達成されましたが、道路標示は車両が通行する限り日々摩耗していくものです。一度補修を終えれば完了というわけではありません。

 今後の展望について、黒岩知事は「道路の白線は日々摩耗していくものですので、今後も引き続き県と県警察はしっかりとスクラムを組んで、県民の皆様が安全安心に暮らすことができるよう、デジタル行政で優しい社会を実現してまいります」とコメントしています。

 AIを活用した3年サイクルの定期的な点検と補修を継続することで、安全な道路環境が維持されることが期待されます。