NTTの株価はなぜ「いまだに」上がらないのか?株式分割で個人株主「激増」のウラで起きていた「異変」の正体
なかなかボックス圏を抜けられないNTT株
NTT株がぱっとしない。常に頭を押さえられた相場が長く続いている。図1は、筆者がその一番の原因と考える2023年7月に行われた1対25の株式分割以降の日経平均とNTT、競合するKDDI、ソフトバンクの株価の動きを、2023年7月を1として各月の終値の変動率を結んだチャートになるが、このチャートが示すように2026年2月まで、NTT株は見事なまでに或る一定の範囲での横這いを続けている。
こうした比較においては、どの時点から比較するのか、で見え方は大きく変わるので注意が必要だが、繰り返しになって恐縮だが、筆者が確認したいのは1対25という株式分割が何をもたらしたのか、もたらしているのか、の確認になる。
このチャートは2026年2月までを切り取っているため、残念ながらイスラエルと米国のイラン攻撃を端緒とした混迷2026年3月の株価急落は反映していないが、比較対象とした日経平均は、2025年10月の高市総裁誕生からは見事なまでに上伸しているの(高市トレード)が見て取れる。また、足元についてはこちらもぱっとはしていないが、KDDIとソフトバンクについても2023年7月の終値を1と置けば、株価はそれなりに上伸しているのが分かる。横這いとなりボックス圏に入っているのはNTTだけだ。
膨大な個人株主の誕生はどう影響したのか
ではなぜこうした現象が起きるのか、についてだが、図2に示したNTTの株主構造の変化がその要因を物語っている。
このグラフが雄弁に物語っているように、2023年7月の株式分割を受けてNTTの個人株主は激増している。そして、その一方では2023年3月時点では20%を超えていた外国人持株比率が(遡って2018年3月には27.29%だったそれが)、2025年3月には13.84%にまで激減している。詳細は2025年9月19日の記事〈株価低迷続くNTT、転換点はあの「株式分割」だった…個人株主の増加も経営陣の「深謀」か?〉に多少シニカルな視点で書いているが、2024年1月にスタートした新NISAを念頭に、あらゆる年代にグーグルやアップルではない投資対象を提供するため、という目的ももってこの分割は行われている。この思い切った分割によって2万円以下で単位株が買える状態が生まれ、思惑の通り個人株主は激増した。
しかし、その記事にも触れたが膨大な個人株主の誕生が生むのは潜在的な売り圧力(僅かの鞘でも実現益を確保しようとする株主の増加)でもある。外国人投資家とは例外的な個人を除いてそのまま機関投資家を意味するので、個人投資家が激増する一方、急激に外国人投資家の比率が落ちたのは、こうした個人株主の増加が適正な株価形成を歪める可能性を嫌った彼らが(正確にはアクティブ投資家が)NTTのポジションを落としたからではないか、というのが筆者の推測になる。
残念ながら自らが情報を収集し、分析し、その企業の将来生み出すであろう価値を計算してここまでは買えるという価格を弾き出し、果敢に上値を追う投資主体とは、機械的にTOPIXなどの株価指標を再現するようにポートフォリオを組んで運用するパッシブ投資家ではなく、こうした作業を行うアクティブ投資家であり、そうした投資家の参加が限られれば、その企業の株価が上値を追いボックスを上離れるのは難しくなる。なぜなら基本的に個人とは下値を買い、上値で売る「逆張り」の主体だからだ。
ご覧のようにNTT株が低迷する「構造的な原因」は株主構造にあった。一方で、NTTには決定的な技術IOWNがある。ならばなぜ株価は動かないのか。後編記事〈決定的技術「IOWN」を持つNTT、なぜ株価は上がらないのか?経営陣がいまだ語れない投資家が求める「たったひとつのこと」〉で詳述する。
【つづきを読む】決定的技術「IOWN」を持つNTT、なぜ株価は上がらないのか?経営陣がいまだ語れない投資家が求める「たったひとつのこと」
