宮崎麗果の脱税騒動で注目 インフルエンサーは“いくらから捕まる”のか
元EXILEの黒木啓司の妻であり、美容系インフルエンサーとして知られる宮崎麗果の脱税騒動が注目を集めている。SNSの世界ではフォロワー数の増加とともに収入が急拡大するケースも多く、近年はインフルエンサーをめぐる税務トラブルも少なくない。
では、インフルエンサーの収入にはどのような税金がかかるのか。また、どの程度の脱税で刑事事件になる可能性があるのだろうか。税理士の立場から、SNS時代に増えている税務リスクと「経費の境界線」について整理してみたい。(税理士・亀田敬亨 内外タイムス)
インフルエンサーの収入にかかる税金
インフルエンサーの主な収入源は大きく三つに分けられる。
一つ目は企業からの広告・PR案件だ。SNS投稿や商品紹介の対価として企業から報酬を受け取るもので、フォロワー数が多いほど単価も上がる傾向がある。二つ目はアフィリエイト収入で、SNSやブログ経由で商品が売れると成果報酬が発生する仕組みである。三つ目は自社ブランドやオンラインショップなどの事業収入だ。
これらの所得は、個人で活動している場合には主に所得税の対象となる。継続的に事業として行っていれば「事業所得」、副業的な活動であれば「雑所得」として申告するケースが多い。
また、法人を設立している場合は法人税が課される。さらに売上規模によっては消費税の納税義務も生じるため、実態としては小規模な事業者と同様の税務管理が求められる。
脱税額だけでなく故意性、悪質性も判断基準
では、いくらくらいの脱税で「捕まる」のだろうか。実は金額だけで刑事事件になるかどうかが決まるわけではない。一般的には、①脱税額の大きさ、②故意性の有無、③手口の悪質性などが総合的に判断される。
実務的な感覚としては、数百万円程度の申告漏れで直ちに刑事告発されるケースは多くない。しかし、数千万円規模の所得隠しがあり、さらに架空経費や虚偽取引など意図的な隠ぺい工作が認められる場合、国税当局の査察対象となり刑事事件に発展する可能性が高くなる。特に脱税額が1億円を超えるようなケースでは、刑事事件として扱われる可能性が高いといえる。
税理士として実務の現場で感じるのは、SNSビジネスは収入の伸びが非常に速く、本人の税務管理が追いつかないまま所得規模だけが拡大してしまうケースが少なくないという点である。
高級バッグや高級車は経費になるのか
SNSの世界でよく話題になるのが「高級品は経費になるのか」という問題だ。インフルエンサーは仕事の一環として高級ブランド品や車などを紹介することも多く、私生活とビジネスの境界が曖昧になりがちである。
税務上、経費として認められるかどうかは「事業との関連性」が重要な判断基準となる。例えばファッション系インフルエンサーが商品レビューのために購入した衣服や小物であれば、撮影や投稿に使用する前提で一定程度は経費として認められる可能性がある。
しかし、明らかに私的利用が中心と考えられる高級バッグや高級車などを経費として計上することは、税務上認められないケースが多い。特に高額資産の場合、税務調査では私的利用との区分が厳しく確認される。
SNSでは華やかなライフスタイルそのものがビジネスの一部になる。しかし税務の世界では、「見せるための支出」と「個人的な消費」は明確に区別される。
インフルエンサーという新しい職業が広がる一方で、税務トラブルも増えている。SNSで収入が急増するインフルエンサーほど、税務管理は後回しにされがちだ。しかし収入の拡大とともに税務リスクも大きくなることを、今回の騒動は改めて示している。
