日本人の心の中には、何があるのか──「日本人」とは何者か?【別冊NHK100分de名著】

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名著からいま考える、「日本人」の本質

「日本人」は、どこから来て、どこへ向かおうとしているのか──。

『別冊NHK100分de名著 日本人とは何者か』では、松岡正剛さん、赤坂真理さん、斎藤環さん、中沢新一さんの4人の論客が、美意識・感受性・心理・宗教観の4つをキーワードに名著を読み解き、日本人の根源へと迫っていきます。

「100分de名著」のスペシャル版として2015年に刊行された本書は、日本人のアイデンティティが問われるいまこそ、私たちのあり方を考えるヒントになりそうです。今回は本書へのイントロダクションとして、番組プロデューサーによる「はじめに」を公開します。

これまでにない「日本人論」を!

「日本人ってそもそも何だろう?」

 本書のベースになった新春スペシャル番組「100分de日本人論」の企画を立ち上げる際、何度も自問自答した問いです。若い頃はほとんど問うことがなかったこの問いが、あらためて頭をもたげ始めた理由は、昨今の世界情勢、社会情勢とは決して無縁ではありません。

「世界を席巻しつつあるグローバル経済とどう向き合ったらいいのか?」「異文化や異なる価値観をもつ国々とどうつきあっていったらいいのか?」「甚大な被害をもたらした東日本大震災からどのように復興していけばよいのか?」など、今、私たちは、大きな問いをつきつけられています。「日本人とは何者か?」という問いは、一見これらの問いから遠いように見えますが、実は、全ての問いを考え抜くための大前提なのではないか、そんなことを企画を練りながら思い始めました。

 ところが、「日本人論」に関する資料を数多く読み進める中で、このテーマが「政治的」な文脈で語られることがとても多いことに気づきました。それはそれで意義のあることだと思うのですが、政治的なバイアスがかかると、どうしても見えにくくなる側面が多々あります。「名著を読み解くこと」を軸にした私たちの番組では、もっと別の手法があるのではないか。そこで、私たちは、あえて「哲学的」に、かつ「縦方向に奥深く」、日本人のアイデンティティや文化の基層に迫ってみる手法をとりました。

 指南役は、中沢新一さん、松岡正剛さん、斎藤環さん、赤坂真理さん。いずれも、私自身も深い影響を受けた、現代を代表する論客たち。常に新鮮な切り口や驚きの発見をもたらしてくれる皆さんとの番組打ち合わせは、極上の個人授業を受けているようなひとときでした。100分という限られた時間だけではお伝えできなかった、そんな論客たちの「名著の読み解き」を、新たにムック本として完成した本書で楽しんでいただけたら幸いです。

本書『別冊NHK100分de名著 「日本人」とは何者か?』では、

第1章 日本人の美意識 九鬼周造『「いき」の構造』(松岡正剛)
第2章 日本人の感受性 折口信夫『死者の書』(赤坂真理)
第3章 日本人の心理 河合隼雄『中空構造日本の深層』(斎藤 環)
第4章 日本人の宗教観 鈴木大拙『日本的霊性』(中沢新一)

という4つの章を通して名著を読み解き、日本人の基層・根源へと迫っていきます。

■『別冊NHK100分de名著 「日本人」とは何者か?』(松岡正剛/赤坂真理/斎藤環/中沢新一 著)より抜粋