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ターボ技術による恩恵を享受した日本

自動車のターボ技術による恩恵を最も享受したのは、恐らく日本だろう。ガソリンが高く、排気量で釣り上がる税制のおかげで、2.0L以上のエンジンは庶民に縁遠いものだった。豊かなパフォーマンスは、富裕層の特権といえた。

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日本の自動車メーカーが、積極的にターボを採用したことは、自然な流れだといっていい。結果的に、20世紀における最高峰ユニットが数機生まれている。


スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

先行したのは、トヨタと日産、三菱。1970年代後半に開発が始まり、スポーツカーからサルーンまで、国内向けモデルの多くへターボエンジンが採用された。英国では、三菱ランサー・ターボが1981年に上陸。日産280ZX(フェアレディZ) ターボが続いた。

程なくして、ターボエンジンはコンパクトカーにも波及。1982年にはホンダ・シティ・ターボが登場し、ダイハツもシャレード・ターボを投入している。

インプレッサにも採用されたEJエンジン

スバルがターボエンジンを提供したのは、1982年末。当初は、ブラッドと呼ばれたピックアップトラックと、レオーネ・ワゴンに1.8L水平対向4気筒ユニットが載っている。

16バルブの「EJ」エンジン誕生は、1989年の初代レガシィで。2.0Lから220psを引き出し、優れた四輪駆動システムと相まって、0-100km/h加速7.0秒の俊足を誇った。


スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

1990年には、英国のプロドライブ社の協力を得ながら、スバルは世界ラリー選手権へ挑戦。レガシィのグループAマシンは、グラベル・ステージで確かな強さを発揮し、ドライバーのコリン・マクレー氏は1991年と1992年に英国ラリーで優勝している。

そしてEJエンジンは、1990年発売のインプレッサにも採用。ビスカスカップリング制御の四輪駆動システムも、構造的にはレガシィ譲りといえた。

ラリーでの活躍が導いた進化の快進撃

1992年末に、インプレッサ WRXが日本市場へ投入される。世界ラリー選手権のホモロゲーション取得へ向けて生まれた高性能版で、開発にはプロドライブ社も関与。英国では、1994年からインプレッサ・ターボ2000の名で売られている。

ここから、インプレッサの快進撃は続いた。1994年には、スバルのモータースポーツ部門の名を掲げた、STi仕様が登場。1995年から1997年にコンストラクターズ・タイトルを3連覇する傑作マシンの、市販版といえた。


スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

EJエンジンは、鍛造ピストンと、専用のターボやインタークーラーで強化。最高出力は、275psへ引き上げられた。標準で直径75mmあるテールパイプが後ろ姿を引き締め、サスペンションとトランスミッションも通常とは異なった。

日本仕様のレッドラインは、8250rpmと驚異的なもの。低域トルク重視の、英国仕様のターボ2000とは対照的だった。

四輪駆動で現実的に引き出しやすい275ps

今回のインプレッサは、1995年式のWRX STi 555エディション。ブルーのボディにゴールドのホイールが、ラリーマシンの姿と重なる。3500rpm以上でターボが効き始め、回転上昇とともにブーストが高まり、とめどない加速を生み出す。

フロントのグリップ力は頼もしいが、調子に乗るのは禁物。555エディションには、インタークーラーにウォータースプレーが備わり、効果的に吸気温度を下げてくれる。ルーフにはフラップがあり、ドライバーの頭も冷やしてくれる。


スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

鋭い速度上昇に加えて、能力の幅にも唸る。サーキットやラリーステージを超高速で巡れるだけでなく、実用性も犠牲になっていない。4ドアサルーンで車内と荷室は充分広く、乗り心地も良いのに、四輪駆動で275psを現実的に引き出しやすい。

ランエボが唯一の正当なライバル

唯一、正当なライバルになったのは三菱ランサー・エボリューションだったが、インプレッサの方が実環境で快適に乗れた。荒れたアスファルトを通過しても、粗野な揺れは殆どない。ドロドロと排気音は響くが、遮音性に優れ、車内の人間工学も優れている。

日々の通勤から欧州大陸を跨いだ旅行、モータースポーツ・イベントまで、シーンを問わず対応できる。この柔軟性と引き換えに、妥協はゼロではなく、際立つ性能を誇ったわけではないだろう。しかし、高水準な多能ぶりは類まれだといえる。


スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

その中心にあるのは、間違いなく水平対向4気筒ターボだ。四輪駆動システムとともに。

協力:フェアモント・スポーツ・アンド・クラシックス社

スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)のスペック

英国価格:−ポンド(新車時)/4万5000ポンド(約945万円)以下(現在)
生産数:2万8608台(WRX STi合計)
全長:4340mm
全幅:1690mm
全高:1405mm
最高速度:239km/h
0-97km/h加速:5.0秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1230kg
パワートレイン:水平対向4気筒1994cc ターボチャージャー DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:275ps/6500rpm
最大トルク:32.4kg-m/4000rpm
ギアボックス:5速マニュアル/四輪駆動

この続きは、3月1日公開予定のターボ! ブースト!(7)にて。


スバル・インプレッサ WRX STi (初代/1992〜2000年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)