「コミュ障でバイトを4社クビ」も「それが赤木」M-1王者・たくろう 相方きむらが欠点さえも愛でる「意外な理由」
「満席状態になると、もう嫌になっちゃって」。『M-1グランプリ2025』で21代目王者に輝いたお笑いコンビ・たくろう。コミュ障な雰囲気がネタと相まった赤木さんは、その性格ゆえ、実際過去に何度もバイトをクビになったそうです。そんな赤木さんに惚れ込んだのが相方のきむらバンドさん。突然、姿を消すクセもあるという赤木さんを唯一無二のパートナーに選んだ理由とは?
【写真】M-1優勝後に投稿し30万以上の「いいね」がついた「かわいすぎる」たくろうのプリクラ ほか(13枚目/全13枚)
「赤木の芸人としての顔と雰囲気に惚れ込んで」
── きむらバンドさんはNSC大阪の36期生、赤木さんはNSC大阪の37期生だそうですね。卒業後に出会ったとき、きむらバンドさんが赤木さんに声をかけたとか?
きむらバンドさん:はい。僕が赤木にひと目ぼれでした。顔と雰囲気がおもしろすぎて。「芸人としてこんなにおもしろい奴おんのか」って。
赤木さん:そんな変な顔してんのかな?
きむらバンドさん:変な顔とかじゃないんねん。芸人の顔やで。しかも、出会った10年くらい前は、今より10kgくらい痩せてましたから。ガリガリで眉毛が太くて、見た目がヤバかったんですよ。いつも2リットルの水のペットボトルを抱きかかえてて。徳用のシリアルをパクパク食べながら水で流し込んでいました。とにかく、僕が今まで出会ったことのない人間やったんで、雰囲気に惚れ込んだんです。
赤木さん:やめて(笑)。
── 愛があふれてますね(笑)。私も赤木さんのお顔、なんていいお顔なんだろうと思っていました。ヘアスタイルと眉毛へのこだわりはいつごろから?
赤木さん:芸人になってからはずっとこの形です。眉毛は大学のときは剃ってたんですけど、その後はずっと触っていません。おもしろいって言われたので。ナチュラルなんですよ。…え、そんなコミカルですかね?僕。
赤木裕「ご飯ちゃんと食えてんの?と心配される」
── いえ、コミカルというより、すごく素敵だなと。
赤木さん:ありがとうございます(笑)。あと、まわりからは「目が合わへん」とか「何を考えているかわからん」とか、よく言われてきました。
「ご飯ちゃんと食えてんの?」とかも。先輩にご飯連れて行ってもらったときとか、僕はおいしく食べているつもりなんですけど、「嫌やったら残してええで」っていつも言われるんですよ。なんかおいしくなさそうに見えるみたいで。
きむらバンドさん:先輩とかに「何でも好きなものを頼んでもいいよ」と言われたときも、赤木は、みんなが好きそうな唐揚げとか頼まないんですよ。
赤木さん:そこは、冷ややっこです。居酒屋に行ったら冷ややっこだけは必ず頼みます。
バイトはことごとくクビも「コミュ障をお笑いに変換したいと」
── 赤木さんは人とのコミュニケーションが苦手なタイプだそうですが、今まで苦労を感じたことはないですか?
赤木さん:そうですね。コミュ障ですけど、自分的には何も困ったことはないです。そもそも、人とコミュニケーションを取りたいと思っていないんですよ。
でも、バイトでは意思疎通をとるのが下手やからか、いっぱいクビになってきました。全然仕事ができなくて。一般社会で生きていこうとしたら苦労するのかも。
居酒屋や焼き肉屋のホールで働いていたときは、満席状態とかになると、もう嫌になっちゃって、元気よく注文を聞くだけ聞いて、あとはまったく何もしないんです。途中で何の注文を受けているかもわからなくなって、注文を厨房に通さないから、流れが止まっちゃう。最低です(笑)。そんなのを繰り返してクビになってきました。引っ越し屋のバイトも大変でした。
── サービス業は円滑なコミュニケーションを求められると思うので…大変そうです。
赤木さん:唯一長く続いたのは釣り堀のバイトですね。釣竿をお客さんに渡すだけでしたから。でも、インバウンドで海外からのお客さんが増えたとき、英語とか中国語とかでたくさん話しかけられてワーってなって。店を飛び出して、道頓堀川を眺めていたこともありましたね。
きむらバンドさん:赤木は、突然、姿を消すクセがあるんですよ。でも、コミュ障というよりも、人の話をちゃんと聞けていないという感じかも。興味があんまりなかったときとか、ちゃんと話を聞かずに適当に返事しちゃったり。でも、それが赤木という人間なんですよ。だから、コミュ障とか何も思わないですよね。「赤木ってこういう人間やもんね」って思ってるし、まわりの芸人仲間もそうだと思います。
赤木さん:ありがたい。お笑いに出会えてよかったです(笑)。
── ネタ作りは赤木さんが先導されているそうですね。漫才のネタにコミュ障が活かされているようにも感じますが、意識はされていますか?
赤木さん:漫才では、僕は普通にしゃべってるだけではあるんですけど。でも普段から、自分がコミュニケーションが苦手っていうところをお笑いに変換できたらいいなと思っていました。何か聞かれたときに自分が困ってひと言返したときに「ウケそうやな」という手ごたえはあったから、実際にお笑いでウケてよかったです。
ファンの方からは、「私も話すことが苦手だから励みになります」って言われたこともあります。自分の経験から、コミュ障の人は、身近にやさしい人がいてくれることが大事だと思います(笑)。
コンビ結成2年後の『M-1』準決勝進出からが苦しくて
── 2016年に「たくろう」を結成されて、2018年に『M-1グランプリ』の準決勝に進出されています。
きむらバンドさん:はい。『M-1グランプリ』の準決勝に進出できてから生活が安定して、ふたりともこのタイミングでバイトを辞めることができました。ただ、デビューからそこまでの2年間が順調で、それ以降はずっと下降線をたどったんです。5年以上、給料だけでギリギリの生活でした。
赤木さん:でも、もともと僕の性格がのんびりしているので、あんまり焦らなかったです。もっと焦っていたらもっと早くなんとかなっていたかもしれないですけど(笑)。ネタの方向性も髪型も衣装も何もかも、この10年間、あんまり変わっていないです。芸人のなかで、いちばん変わっていないコンビだと思います。
年に1回くらいは、ツッコミとボケの担当とか「何か変えようか」という話し合いをふたりでするんですけど、結局どっちも腰が重くて何もしなかったという。「まあ、いいか」って。
「おもしろくない」と言っていた姪っ子が手のひら返し
── この10年間、『M-1グランプリ』に挑戦し続けたおふたりですが、2025年12月には念願の優勝を勝ち取りました。その後、生活が一変したと感じることはありますか?
きむらバンドさん:断然、仕事が増えましたね。それに、僕が生まれ育った愛媛県にふたりで凱旋させてもらって、すごく盛り上がったのもうれしかった。愛媛県庁でも職員さんがみなさん出迎えてくださって、中村知事にもご挨拶ができて。愛媛を盛り上げることができてよかったです。
── 私も愛媛出身なので、うれしく誇らしい気持ちです。まわりの方の反応はいかがですか?
きむらバンドさん:家族はみんな喜んでくれてますね。あと、僕は姪っ子に夢中なんですけど(笑)、ずっと僕らのネタを「おもしろくない」って言ってたのに、優勝後は手のひらを返したように「おもしろい」って言ってくれるようになりました。最近は、スマホに自分が欲しいものの画像をどんどん送ってきます(笑)。全部買ってあげようと思います!
── いいですね!ぜひ買ってあげてください(笑)。
赤木さん:この前、番組の企画で、ふたりで撮ったプリクラをアップしたんですけど、30万以上「いいね」がついたんですよ。おじさん2人ですよ。しかも、おもしろいと思って撮っただけだったのに、「かわいい」とかコメントもらっちゃって、どうふるまえばいいのか…。
── もはやアイドル並みの扱いですね(笑)。そんな愛されキャラのおふたりの、今後の夢ってなんでしょう。
きむらバンドさん:今までは『M-1グランプリ』の優勝を目指してやってきたので、今後、また違うステージの悩みとかが出てきたりするかもしれないんですけど、ふたりで仲よく元気に楽しくやりたいですね。今は人生でいちばん働かないといけないときだと思うので、お笑いを頑張って、僕はいつか木村拓哉さんに会いたいです。
赤木さん:しばらくは一生懸命働いて、早めにゆっくり休めるようになれたらいいなと。漫才はしっかり続けたいですけど、そのうちとんでもない額のお金が入ったら、無理せず自分のペースで働けるようになりたいですね。今のところ40歳でリタイアが目標です。
きむらバンドさん:早っ!40歳でリタイアって、あと6年くらいしかあらへんけど(笑)。
取材・文:高梨真紀 写真:たくろう(きむらバンド・赤木裕)

