東京の鍋焼きうどん珠玉店5選 寒い日に食べたい冬のご馳走
思わず「寒っ!」と口からついて出る季節。北風ピープーな冬は、<鍋焼きうどん>に限ります。面白いのは、似ているようでみんな違う、いや全然違うそれぞれの種、ツユ、顔。今回は東京の珠玉店を楽しくご紹介します。
旬野菜の滋味も沁みる冬のご馳走!『敷島』@高円寺
ふたを開けるとふわあっと湯気が上がる。中はクツクツ。美しく鎮座した種に気分も上がる。鍋焼きはやっぱ冬のご馳走ですな。ひと際、そんな思いを強くするのがこちら『敷島』のそれだ。種、ツユ、うどん。その一つひとつが吟味され、味が深いので思わず箸が迷う。
敷島の鍋焼きおうどん2300円(ウェルカムティー、旬野菜テリーヌ、季節の葛とうふ、敷島の炊き込みご飯付)

『敷島』敷島の鍋焼きおうどん 2300円 ウェルカムティー、旬野菜テリーヌ、季節の葛とうふ、敷島の炊き込みご飯付 セットで炊き込みご飯や小鉢も付く。旬野菜に野菜やハーブを合わせたソースを添えた「旬野菜の和テリーヌ」や、吉野本葛と昆布水を合わせ、素材を生かした「季節の葛とうふ」がうれしい
立派な海老天も玉子焼きも気になるが、まずは彩りもよき旬野菜をひと口。うああ、紅芯大根が沁みる。れんこん、ホクホク。旬野菜は、店主山本さんが出会った大好きな作り手からのもので、いずれも滋味深い。
そして青森県産ネバリゴシを使うという、うどん。むにゅっとモチモチしながらツルリとしたのど越し。これが昆布の効いたおダシによく絡む。はふはふはふ。なんだか楽しい。
店は1年ほど前にリニューアル。野菜農家のみならず、使う素材の作り手のもとに少しずつ足を運ぶ。このおいしさ、さらに進化中なんだな。
【種自慢!】
・海老天
・いわいどり
・れんこん
・里芋
・かぶ葉
・紅芯大根
・ヨード卵光
・玉子焼

『敷島』種自慢!・海老天・いわいどり・れんこん・里芋・かぶ葉・紅芯大根・ヨード卵光・玉子焼

『敷島』モダンで落ち着いた空間。器やお盆のセレクトもいい感じ
[店名]『敷島』
[住所]東京都杉並区高円寺北3-23-6戸部ビル1階
[電話]03-3223-8212
[営業時間]11時〜15時半、17時〜20時、土・日・祝:11時〜15時
[休日]火・水※年末12/28まで、年始1/3より
[交通]JR中央線ほか高円寺駅北口から徒歩3分
讃岐のコシに巨大穴子天の醍醐味『うどん家族 小進庵』@清澄白河
もともとは老舗の蕎麦屋である。ご主人の大森さんは4代目。ところがご子息が蕎麦アレルギーとわかって、家族のために3年前にうどん屋に。店名にはそんな思いが込められている。
で、元来食べ歩きが好きというご主人が、今も半年に1回は行くという香川に通い詰め、生まれたのがこちらの鍋焼きだ。
讃岐風穴子天鍋焼きうどん1720円

『うどん家族 小進庵』讃岐風 穴子天鍋焼きうどん 1720円 うどんの小麦粉は香川産のものと、もちもち感が出る北海道産をブレンド。独自の食感を出している。白醤油を使った透明なツユも新鮮。大きな1枚ものの三元豚も入っていて、食べ応えも充分
関東風とはひと味違う、讃岐仕込みのコシともちもち感のあるうどんは、噛むと小麦の旨みが広がる。いりこをベースに昆布や宗田節、白醤油のカエシを使うおダシがまた相性良く、箸を加速させる。
そしてこのパンチのある構成に負けないご褒美が、巨大な穴子天と鯛のちくわ天。蕎麦屋時代からの腕前でカリッと揚がった穴子は肉厚でふわり、鯛ちくは贅沢な旨み。とどめは一緒に煮込まれた甘くとろける千住ねぎの旨さだ。讃岐仕立てのほかにはない味わい。こいつはいいぞ。
【種自慢!】
・穴子天
・鯛のちくわ天
・三元豚
・千住ねぎ
・わかめ
・水菜
・しめじ
・油揚げ
・玉子

『うどん家族 小進庵』種自慢!・穴子天・鯛のちくわ天・三元豚・千住ねぎ・わかめ・水菜・しめじ・油揚げ・玉子
店主:大森貴行さん「讃岐の白ダシが自慢です。海老天入りもあります」

『うどん家族 小進庵』店内はアットホームな佇まい。家族連れのお客さんも多い
[店名]『うどん家族 小進庵』
[住所]東京都江東区三好4-8-3
[電話]03-3641-4723
[営業時間]11時〜14時半、17時〜21時
[休日]木(水は昼のみ)※年末は12/31、11時〜14時半までの営業、年始は1/6〜、通常通り
[交通]地下鉄半蔵門線清澄白河駅B2出口から徒歩7分
鍋焼きDNAに響く旨さしみじみ『三国一 西口店』@新宿
ザ・鍋焼きうどんだなと思った。ふたを開けた瞬間、どこか懐かしい。昭和29年創業で西口店も早40〜50年。初代からの味を守っている。
熱々のまま目の前で湯気が上がる鍋の中には、海老天、玉子、春菊、椎茸……と、これぞのラインナップ。椎茸は干し椎茸を使うことでツユに戻し汁の旨みが入り、かまぼこ、昆布かま、ちくわと練り物も3種。鶏肉からもダシが出てとなりゃ、ツユがたまらんわけだ。
鍋焼きうどん1740円

『三国一 西口店』鍋焼きうどん 1740円 初代が四国まで通い詰めて開発したという手打ちの麺は食感も独特。ほどよいコシと小麦の旨み、それを熟練の釜番が茹で上げる。具材も麺もボリュームたっぷり
そして1日2回、北新宿の自社製麺所から届く自家製手打ち麺。国産小麦を使ったこのうどんがのど越しよく、コシがあって、火が入ってもへたることがない。噛み込むほどに旨いから最後まで楽しい。
「うどんは生き物なので毎日違う。その日の様子を見て茹で加減を見極めています」とは、この道42年の店長・星俊三さんだ。
さて、どのタイミングで玉子を割るか、鍋焼きってやはり楽しい。
【種自慢!】
・海老天
・干し椎茸
・たけのこ
・ちくわ
・かまぼこ
・昆布かま
・春菊
・玉子
・ねぎ
・鶏肉

『三国一 西口店』種自慢!・海老天・干し椎茸・たけのこ・ちくわ・かまぼこ・昆布かま・春菊・玉子・ねぎ・鶏肉

『三国一 西口店』店長 星俊三さん
店長:星俊三さん「火から上がった瞬間をお持ちします。熱々をぜひ」

『三国一 西口店』基本は通し営業でいつ行っても楽しめるのがうれしい
[店名]『三国一 西口店』
[住所]東京都新宿区西新宿1-13-10京王プラザホテル前
[電話]03-3344-3591
[営業時間]11時〜22時、土:11時〜15時、17時〜21時、日:11時〜15時(夜営業なし※12月は土曜と同じく夜営業あり)
[休日]無休※年始元日、1月2日休み
[交通]JR山手線ほか新宿駅西口8番出口から徒歩2分
立ち上る湯気に香るダシもごちそう『手打ちそば処 蔦や』@大塚
店主の鈴木文雄さんは、上野の『蓮玉庵(れんぎょくあん)』で腕を磨き、蕎麦とうどんの手打ちを学ぶため、老舗の『神田まつや』でも修業を重ねた。そんな縁から、「なべ焼きうどん」もかの老舗仕込み。
なべ焼きうどん1450円+餅100円

『手打ちそば処 蔦や』なべ焼きうどん 1450円+餅 100円 熱々をハフハフ言って食べるのがうれしい。手打ちの中太うどんは、ふんわり、もっちりした食感。最後にはツユがいい具合に浸みて、また違うおいしさが味わえる
厚切りのかまぼこは飾り切りが美しく、ちょこんとのせたなるとの風情もいい。
「鍋焼きは、何よりツユの味わいが大切でしょう」と鈴木さんはいう。土鍋のふたを開ければ、湯気と共にダシの香りが鼻先をくすぐり、食欲をかきたてるのだ。
鍋焼きをはじめとする種もののダシには本ガツオ、サバ節、宗田ガツオを合わせ、香り高く味に深みを出している。そのダシを使ったツユの色はやや濃いが、見た目を裏切るやさしい味わい。ほんのりとした甘みがほっと心を解きほぐす。
一番人気は餅のトッピング。とろける餅が熱々のツユに絡むと、寒い日のご馳走感を一層引き立ててくれる。
【種自慢!】
・海老天
・生玉子
・かまぼこ
・なると
・お麩
・煮竹の子
・煮椎茸
・ほうれん草
・長ねぎ

『手打ちそば処 蔦や』種自慢!・海老天・生玉子・かまぼこ・なると・お麩・煮竹の子・煮椎茸・ほうれん草・長ねぎ

『手打ちそば処 蔦や』店主 鈴木文雄さん、美佐子さん
店主:鈴木文雄さん、美佐子さん「季節の料理や蕎麦も色々とご用意がありますよ」

『手打ちそば処 蔦や』創業約50年、小岩で開業し、大塚へ移転して14年。民家を改装した隠れ家のような店舗は、静かで落ち着ける雰囲気だ
[店名]『手打ちそば処 蔦や』
[住所]東京都豊島区南大塚3-51-6
[電話]03-5391-5880
[営業時間]11時〜14時LO、17時半〜20時LO、木:11時〜14時LO
[休日]日・祝、木の夜※12月31日は要予約で営業、1/1〜1/5:休
[交通]JR山手線ほか大塚駅から徒歩約2分
凛とした姿に、老舗の美学を味わう『本むら庵 荻窪本店』@荻窪
百年続く、石臼挽き・自家製粉の蕎麦の名店。ここでは「鍋焼きうどん」までもが凛とした美しい風情を見せてくれる。ふたを開ければ、湯気の向こうに大きな海老天がどんと鎮座し、澄んだツユには凛々しい結び三つ葉が浮かんでいた。
鍋焼きうどん2600円

『本むら庵 荻窪本店』鍋焼きうどん 2600円 彩りも美しく具材が並ぶ。きりっとしたツユはすっきりとして食べやすい
鍋焼きうどんはどこも似ているようでいて、その細部に店の流儀が宿る。角型の焼きかまぼこを大きな三角形に切るのは、ここならでは。玉子は生ではなくあえての茹で玉子。「ツユが濁らないように」と聞けば、なるほどと思う。
「煮詰まることを考え、少し薄めに仕上げます」とは4代目の小張勝彦さん。
中太の手打ちうどんが、そのツユによく馴染む。途中、薬味の大根おろしを加えると、味わいに清々しさがスッと広がる。
変わらないおいしさにはちゃんとワケがある。最後のひと口まで楽しませてくれるのは、やはり老舗の底力だ。
【種自慢!】
・海老天
・茹で玉子
・かまぼこ
・湯葉
・お麩
・煮人参
・煮竹の子
・煮椎茸
・長ねぎ
・三つ葉

『本むら庵 荻窪本店』種自慢!・海老天・茹で玉子・かまぼこ・湯葉・お麩・煮人参・煮竹の子・煮椎茸・長ねぎ・三つ葉

『本むら庵 荻窪本店』店主 小張勝彦さん
店主:小張勝彦さん「旬のお料理やお酒と一緒に楽しむのもまた格別ですよ」

『本むら庵 荻窪本店』店内の窓からは、著名な盆栽師が手がけたという盆栽庭園が眺められる
[店名]『本むら庵 荻窪本店』
[住所]東京都杉並区上荻2-7-11
[電話]03-3390-0325
[営業時間]11時〜21時半(21時LO)
[休日]火、第1・3水(祝の場合は営業、翌日休)※12月31日は営業、年始休業あり
[交通]JR中央線ほか荻窪駅西口から徒歩8分
撮影/貝塚隆(敷島、小進庵、三国一)、西崎進也(蔦や、本むら庵)、取材/池田一郎(敷島、小進庵、三国一)、岡本ジュン(蔦や、本むら庵)
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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2026年1月号
