「見世物」「さらし者」「愛情とは思えへん」…藤浪晋太郎が金本監督「161球事件」をYouTubeでぶっちゃけた 「あの試合のせいで一生投げられなくなったらどうしてたんやろ」
昨年のシーズン途中にDeNA入りして日本球界に復帰した藤浪晋太郎投手(31)。AIを駆使して制球力改善に取り組んだが、6試合の登板で1勝0敗、防御率4.09に終わり、CSではメンバーから漏れた。3000万円増の年俸8000万円で残留が決まり、今年は先発で活躍が期待される。その藤浪が元チームメートのYouTubeチャンネルで述べた内容が、球界関係者の間で話題となっている。
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気心の知れた存在
そのチャンネルとは、阪神時代のチームメートだった北條史也(三菱重工現West硬式野球部)のYouTube「JOH×ジョウチャンネル」。1月22日に配信された回に出演した藤浪は、阪神に在籍していた2016〜2018年当時の監督だった金本知憲氏の起用法に不快感を持っていたことを明かし、阪神関係者やOBから「ここまで話すとは」と驚きの声が上がっている。

大阪桐蔭のエースとして春夏連覇に大きく貢献した藤浪は、2012年のドラフト1位で4球団が競合した末に阪神に入団。光星学院出身の北條はドラフト2位で指名された。共に大阪府堺市出身で中学時代から顔を知る気心知れた存在だけに、YouTubeの対談では藤浪が本音を明かす濃密な内容になっている。
野球をなめている
藤浪は高卒1年目から3年連続2ケタ勝利をマークし、4年目は7勝11敗と負け越したが、169イニングを投げて防御率3.25と決して悪い投球内容ではなかった。歯車が狂い始めたのは翌年の2017年からだった。制球難に苦しむようになり、登板機会が減少。ファームで過ごす時間が長くなった。動画内で活躍できなかった理由を聞かれると、以下のように語っている。
「4年目に2ケタ勝てなかったことで、チーム内、チーム外からえらい言われようだったんで。『おまえは野球をなめているからだ』とか色々バーっと言われて。それを真に受けちゃったんですよね。色々大きく変えなきゃこの先、プロ野球界でやっていけないんだと思って、世間的に正しいとされているフォームを色々勉強とか研究して、それをやり出して、自分の中でフォームが分からなくなって。自分のフォーム、自分の体に合っていないけど『正しいとされている形』を追及しているので、下手になる練習を毎日一生懸命している感じですね」
当時は色々な野球評論家から「メンタルの弱さ」を指摘する声が上がったことに質問が及ぶと、「知識の浅い評論家の方たちがとりあえずメンタルって言っておこうと。藤浪のフォームが具体的に悪いとか言いきれんけど、メンタルって言っておけばええやろって。昔のオールドスタイルの解説者の方々は」と発言。北條は「言い方、キレイにしているだけやで」と苦笑いを浮かべていた。
愛情とは思えへん
そして話題は、金本監督と「161球事件」に及んだ。2016年7月8日の広島戦(甲子園)で先発登板し、3回までに四球や拙守が絡んで5点を失う。4回以降は無失点に抑えて131球で7回まで投げたが、当時の金本知憲監督は藤浪に代打を出さず、8回も続投でマウンドに上がって球場がざわついた。疲労を隠し切れない右腕は8回に3点を失った。161球を投げて8失点で降板した。
「大量失点で負けている中で代打を出されなかったので、『あっ、これは最後まで投げさせられるんやな』と。結局8回で変わったんですけど、9回のマウンドにも上がると。『200球でも300球でも投げたるわ!』と思っていましたね。ぶっちゃけると。雨降っている中で仮に当時(先発の)ローテーションで投げていたピッチャーに『ケガしていいと思ってんの?』と思っていた」と胸中を明かしている。
北條は複雑な表情を浮かべて「金本さんはまあ…。おれは良くしてくれたから、愛のある感じやからさ。(藤浪が8回まで投げたのは)愛と思ってやった。それはならへん?」と金本元監督をフォローしたが、「受け取る方は到底そう思えない。見世物、さらし者やん。野手がエラーした試合に出続けるのと話が違う。常識を超えて160球投げるわけだからさ。愛情とは思えへん、さすがに。翌日コーチに『金本さんの愛だから』と言われたけど、おれはそう思えへんなって。あの試合で肘飛んで、肩飛んで、一生投げられなかったらどうしてたんやろと思うし」と否定した。金本氏に対して現在はわだかまりがあるわけではない。「別に恨んでいるわけでじゃないですよ。その時は『よし、投げたるわ』って感じでした」と振り返っている。
賢い選手
その2016年を先に述べたように7勝11敗で終え、入団以来の連続2ケタ勝利が途絶えた藤浪は、その後の6年間で計15勝しか挙げられず。2023年シーズンにポスティングでMLBに移籍した。その年こそ7勝をマークしたものの、翌24年シーズンはほとんどをマイナーで過ごし、メジャー昇格のないまま25年7月にNPBへと復帰したわけである。
動画を見た阪神の元球団関係者は、
「ここまで話すとはとびっくりしましたが、うーん、難しいですよね。金本さんと藤浪のどちらにも信念がある。もちろん、藤浪の気持ちは理解できます。雨が降る肌寒い環境で球数がかさむほど故障のリスクが上がる。メジャーでは考えられない起用法です。ただ、当時は金本さんが藤浪の復活を誰よりも待ち望んでいたことは間違いない。8回まで投げさせたのは、何か変わるきっかけをつかんでほしいという荒療治だったんじゃないかと。時代遅れの考え方かもしれませんが…」
また、藤浪と当時チームメートだった阪神OBは「YouTube動画を見ました。面白かったですね」と笑って続けた。
「藤浪は賢い選手です。感情的になって金本さんへの思いを口にしたわけではないと思います。考え方が理路整然としていて、俯瞰して見られる。忖度しない発言で誤解されることがありますが、同調圧力に屈しない姿勢がアイツらしいなと」
メジャーに再挑戦したい
藤浪は昨年に実現しなかった古巣・阪神戦の登板について「甲子園で投げさせてもらえるなら、ブーイングされないように頑張りたいと思います」と語った。北條に「ブーイングはされへんやろ」と突っ込まれると、「(ブーイング)されへんと信じたい」と笑った。
DeNAでV奪回の期待がかかるが、動画内でメジャーに再挑戦したい思いも語っている。市場価値を高めるためにも、今年は野球人生のターニングポイントになりそうだ。
関連記事「『ドッヂボールじゃあるまいし、もはや野球じゃ…』 “藤浪先発起用”はDeNAの高等戦術だったのか」では、昨シーズンNPBに復帰した藤浪投手の投球内容について詳報している。剛速球がすっぽ抜ける藤浪に対し、中日・井上監督が取った“奇策”とは――。
デイリー新潮編集部
