Photo: ヤマダユウス型

ネットも、人間の想像力も、広大だわ──。

虎ノ門ヒルズ内のTOKYO NODEにて、攻殻機動隊のアニメ制作30年の歴史を振り返る大規模展覧会「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」が開催中です。

前提として、士郎正宗氏による漫画作品・攻殻機動隊シリーズは、多数のアニメ作品が展開されています。それぞれのタイトルにフォーカスしたイベントは珍しくありませんが、全作品を横断的に展示する試みは今回が初めてとのこと。

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展示のボリュームも超濃密。1,600点以上の原画や資料の展示、クリエイターらによるインスタレーション、ARによる電脳的鑑賞体験、そして攻殻イベント史上もっとも大規模となるグッズ展開!

もはや、攻殻イベントの集大成ともいえる全部盛りっぷりです。内覧会を体験してきましたので、内容をざっくりとご紹介。

ようこそ、ディープなる攻殻ワールドへ

Photo: ヤマダユウス型

会期中は、こちらのエントランスにて90名を超えるアーティストやクリエイターによるトークセッションが予定されています。日によってはDJイベントも行なうようで、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の劇伴を手掛けた川井憲次監督が出演する日も。これはアツい!

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こちらは攻殻シリーズ内のシーンを検索できる「巨大電脳ネットワークビジュアライザー“Nerve Net”」。見た目がもうサイバー。

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電脳をダイブするかのごとく、来場者は思い思いの「あの場面」を検索できます。こういった攻殻機動隊らしい仕掛けは会場の随所にありまして、展示への力の入れっぷりがわかるというもの。

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さぁ、目玉となる1,600点以上の原画を鑑賞できるエリアに来ました。コレしっかり見ようと思ったら丸一日かかるな…。

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複製原画ではなくオリジナル原画なので、制作時のアニメーターの情熱、いわばゴースト(霊魂)が、これでもかと感じられます。思いは線に宿る。

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素子が多脚戦車T08A2アラクニダのハッチをこじ開ける、屈指の名シーンのセル画! ちょっとこれは、すごすぎる。どのような発想とアイディアがこのシーンを生み出したのだろうか…。

ちなみにハッチを開けるこのシーンですが原作の漫画では1コマしか描かれておらず、映画ほどシリアスではなかったりします。押井監督はあえてこの部分に注目し、表現の深度・密度を強めることで、映像作品としてのサビにアレンジし仕上げたわけですね。これも押井監督のゴーストがささやいたがゆえか。閑話休題。

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続く2作目の映画『イノセンス』の原画も。『イノセンス』だけはほんっと作画というか映像美というか、ゴースト的な熱量がすさまじいですからね…。こちらのインタビューを読んでから見に行くのを、強くオススメします。絵に敬服したくなる。

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ほかにも、来場者が笑い男になれちゃうインスタレーションや…。

Photo: ヤマダユウス型

カメラに向かってシャツをかかげると光学迷彩のようにカメラに映らなくなるインスタレーションなど、攻殻エッセンスが詰まった体験も目白押しです。ちなみにこのシャツ、物販で買えます。

展示の最後には、アニメの制作現場で使われているカット袋をレコードの如くディグし、中に入っている原画(こちらは複製)を持って帰れる「Analog Dig」なる参加型エリアも。

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「自分で選びとる」という行為は、なかなかに尊いもの。こちらは入場後に別途チケットを購入すると参加できます。チケット価格は2,000円(なくなり次第終了)。

タチコマが電脳空間からナビゲート

ここまで紹介した原画展示ですが、ARグラスを活用した「拡張原画体験」という体験方法もあります。

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ということで、ARグラスといえばXREALさん。開発は空間レイヤープラットフォームです。

Photo: ヤマダユウス型

大量の「XREAL Air 2 Ultra」が用意されており、もはやこの見た目がサイバーパンクですらある。そもARという概念も攻殻機動隊などの古典サイバーパンクにイメージソースがあるでしょうし、先祖返り的な趣深さに胸がキュっとなるやねぇ。

Photo: ヤマダユウス型

「XREAL Beam Pro」と接続し、現実を透かしたARグラス越しに作品についての音声解説を聞くことができます。いわば、博物館の音声ガイドのような体験ですね。なお、音声はタチコマが担当。

AR技術の提供は空間レイヤープラットフォーム「STYLY」が担当している。Photo: ヤマダユウス型

ARから見える景色はこんな感じで、現実の世界越しにルート案内などのHUD的な表示が見えています。

Photo: ヤマダユウス型、映画冒頭で光学迷彩の素子が犯人を取り押さえるシーン!

ルートに従って原画を見てみると、原画に関する映像と共に解説音声が流れる、という仕組み。この体験は未来的でありつつも実践的で、展覧会などにも応用できそうですね。あとタチコマがまぁまぁメタっぽいトークするのも味わい深い。

圧ッッ倒的なグッズの量

Photo: ヤマダユウス型

過去最大規模を謳うだけあって、グッズの量もすごかったです。色々な作家とのコラボグッズもあるのですが、それぞれの攻殻要素の切り取り方が異なるので、全然飽きない!

Photo: ヤマダユウス型

Tシャツもあれば、atmosとコラボしたスニーカーもある。かと思えばG-SHOKとのコラボや、これまでは版権の関係で難しかったプレステ版攻殻をベースとしたグッズも。とにかく数が膨大なので、事前チェックをオススメします。

Photo: ヤマダユウス型

例えばこちらは、職人によって作られた「テクノ屏風」。制作のU/M/A/Aは過去にもYMOのジャケットを屏風にしていましたね。こちらお値段110万円。

Photo: ヤマダユウス型

QRコードからwebアプリを立ち上げて屏風にかざすと、AR的にグラフィックと音声が流れるサイバーなギミックも。

Photo: ヤマダユウス型

伝統の“箔”、電脳をhack。上手いこと言ってますけども!(でもこういうダジャレ的なノリ、原作の漫画っぽい軽妙さがあって好き)。

サイバーの中心地、東京で攻殻機動隊を味わう

今回の「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」、見る密度も買える密度も圧倒的でした。全作品横断と言いつつもシリーズ全履修の必要はありませんので、攻殻ないしシロマサないし押井監督ないし神山監督…いやフック多いな! とにかく、少しでも興味があれば楽しめるでしょう。

Photo: ヤマダユウス型
写真左から日本放送 吉田尚記アナウンサー、「攻殻機動隊展」制作幹事 笹大地、展覧会総括ディレクター 桑名功、「攻殻機動隊展」グローバル・ライセンス・プロデューサー 三浦伊知郎、「電脳VISION」総括プロデューサー 砂原哲

展示の試みも意欲的ですよね。原画やカット袋といったアナログな手触り体験を大事にしつつも、攻殻の醍醐味ともいえる電脳の成分をARとして取り入れている。

そもそもイベントタイトルである「Ghost and the Shell」(「in」でなく「and」)にも意味がありまして。

Photo: ヤマダユウス型

すなわち、ゴースト(霊魂)とシェル(肉体)を対峙させること。義体である素子は自身の自我の不確かさを問うていましたが、果たしてSNSや情報の海にさらされている現代人のゴーストの確かさはどうなのか…などと考えたり。

攻殻機動隊は、日本屈指のIPでもあります。実際、内覧会の時点でも海外の参加者も多く、海外からの注目度も高そうでした。今回の展示は海外での巡回も予定しているそうですが、その出発が日本の東京というのも意義深いものがありますね。

そしてそして、サイエンスSARUが手掛ける新作TVアニメーションとしての『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』も、鋭意制作中です。こちらは2026年放送の予定ですが、展示会にていくつか原画展示があります。制作中のアニメの原画を見られるのは、なんとも貴重!

「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」は、2026年1月30日(金)〜4月5日(日)まで開催中。場所はTOKYO NODE GALLERY。チケットの販売情報などは公式サイトをご確認ください。

Source: 【公式】攻殻機動隊展・全アニメシリーズ横断