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生魚を好む日本人にとって、切っても切り離せないリスクである「アニサキス食中毒」。さらば青春の光の森田哲矢さんも、かつて内視鏡で3匹を摘出した壮絶な経験を持つ一人です。食中毒を防ぐための最新知識をまとめました。

【写真を見る】「胃に3匹うにょうにょ…病院の最高記録」さらば森田さんも悶絶、アニサキス食中毒に注意 関サバは安全?激しい腹痛の意外なメカニズム

(2025年にOBSニュースで最も読まれた記事を再掲載しています)

「死ぬと思いましたもん」

2025年9月28日、大分市でのイベントに出演したお笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢さん。過去にアニサキスによる食中毒を経験していて、その壮絶な体験を語ってくれました。

森田さん:
「めっちゃくちゃ痛いですよ。死ぬと思いましたもん。感じたことない痛みやったんで」

胃に3匹…うにょうにょ

森田さんは数年前、飲食店でサバを食べたあと、激しい腹痛に見舞われ、病院でアニサキスによる食中毒と判明しました。

森田さん:
「胃に3匹いたんですよ。その病院の最高記録やったらしいです。内視鏡で吸うんです。すぐビーカーにアニサキスが出てきて、うにょうにょ動いているんですよ」

200種類以上の魚に寄生

アニサキスは寄生虫の一種で、体長は2~3センチほど。サバやアジ、サンマなどの魚介類に寄生しています。体内に入ると胃や腸の壁に刺さり、激しい痛みや嘔吐などの症状が出ます。

免疫学が専門で、寄生虫に詳しい大分大学医学部の小林隆志教授は、生魚を食べる際は種類を問わず常にリスクが存在すると指摘します。

小林教授:
「教科書的には200種類以上の魚に寄生しています。アニサキスは3種類あり、このうち太平洋側はシンプレックス、日本海側はペグレフィという型が存在しています。患者から取れるアニサキスは、太平洋側の方が多いことがわかっています」

「どの魚なら安全とは言えない。ただ食物連鎖があるので、大型の魚ほど数が多い傾向があります」

クジラなどの体内で卵を産むアニサキスは、その卵が海に出てプランクトンのオキアミから魚へと食べられます。この食物連鎖の中で人の体内に入り、食中毒を引き起こすのです。

激しい痛みの意外な原因

その激しい痛みの原因は、意外にも「アレルギー」にありました。

小林教授:
「突き刺さることだけで、物理的な痛みは実はそんなにないはずです。気がつかないうちに繰り返し刺され、激しい反応を起こすようになるんです」

「お腹が痛くてアニサキスが見つかった人を調べると、ある程度の確率で過去にも生魚を食べたあと、腹痛を経験していました。免疫反応が起きたことを裏付ける間接的な証拠といえます」

アニサキスによる食中毒は、ここ10年増加傾向にあり、全国では去年330件が報告されています。原因別ではノロウイルスなどを上回り最多となっています。

小林教授:
「一番の要因は、流通技術の進歩です。昔は魚を運ぶときにガチガチに凍らせていましたが、近年は低温冷凍で流通できる技術が発達し、アニサキスが死なずに口に届くケースが増えています。また、食品衛生法で医療機関から保健所への届け出が必要になったのが2013年。報告件数が増加しているのは、医療従事者の意識が高まったためとみています」

「さらにインバウンドの増加に伴い、魚を生で食べる需要も増えています。世界で報告されるアニサキス食中毒のうち、日本がほとんどを占めていますが、有名な回転寿司チェーンは流通技術の発達により、東南アジアや欧米にも進出しています。需要が高まるほど、国内外のアニサキス食中毒の報告が増える可能性もあります」

一方、大分県内ではこの2年間報告されていません。一体なぜなのか?

寄生率が極端に低い「関サバ」

小林教授は2014年から2年間かけて、大分市佐賀関と大分県南部、九州西部の3つの海域でサバへの寄生率を調査。その結果、九州西部が75%、県南部が38%だったのに対し、佐賀関でとれた関サバは6.8%と極端に低いことがわかりました。

小林教授:
「水産関係者の間では、関サバは瀬戸内海を回遊して豊後水道に下りてくると言われています。ほかの海域の群れと交わらず、感染したオキアミを捕食しない『系群』をつくっていると考えられます」

対策は「加熱」「冷凍」

寄生率が低いとされる関サバを提供する大分市の飲食店「こつこつ庵」では、対策を徹底。アニサキスは寄生している魚が死ぬと内臓から身の部分に移動するため、この店では市場から届いたらすぐに内臓を処理しています。また、アニサキスを簡単に見つけることができる特殊なライトも活用しています。

こつこつ庵・松浦力料理長:
「万が一お客さんにアニサキスが出て苦しむことが絶対ないようにしています。関アジ・関サバは大分のブランド魚なので、安心して食べてもらいたいと思います」

アニサキスを確実に予防する方法は、70度以上で加熱するほか、マイナス20度以下で24時間以上冷凍することです。そして、生魚を楽しむためにはアニサキスが潜んでいる可能性を理解した上で、目視で確認したり、新鮮な魚を選んだりと正しい知識が必要です。