ゴールドシップ まるで怪獣!? 出遅れ、爆走、ロングスパート... 破天荒な走りが心を掴む【思い出に残る有馬記念】

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第57回有馬記念 レース前の馬場入りで立ち上がるゴールドシップ(c)SANKEI

今年で70回目を迎える有馬記念が12月28日(日)に開催。それに先駆けてYoutubeチャンネル「テレビ東京競馬チャンネル」では総勢20名のホースマンに「思い出の有馬記念」について深堀り!

その中でも注目すべき名レースをピックアップ。日本競馬稀代の暴れ馬が見せた大爆走が印象深い2012年の有馬記念。

まるで怪獣!?な稀代のスターホース

2012年は日本の競馬界にとって「近代競馬150周年」という記念すべきメモリアルイヤー。そんな年を締めくくる有馬記念で1番人気に支持されたのがゴールドシップ。

この馬とタッグを組んでこの年にGⅠを2勝した鞍上の内田博幸はゴールドシップのことを「怪獣」「人間味のある馬」と称した。

デビューを間近に控えた函館滞在時には他の馬を蹴りに行き、3歳緒戦の共同通信杯前の最終追い切り時には調教助手を振り落とし、気に入らないことがあれば立ち上がって暴れる。

その振る舞いはまさに怪獣そのもの。荒々しい気性で出遅れることもしばしばだった。

しかし、そのポテンシャルは稀代のもの。共同通信杯を制してから向かった皐月賞は3コーナーまでほぼ最後方を追走して、4コーナーでは他の馬が避けていた馬場が荒れていたインコースを敢えて選択。

3コーナーでは18頭中17番手にいた馬が4コーナーを回るとまるでワープしたかのように6番手まで押し上げ、直線でもそのまま突き抜け勝利した。

秋の菊花賞でも道中は後方2番手を追走しておきながら、2周目の3コーナーから一気に仕掛けて、4角では先頭に立つという大マクリを見せて完勝。破天荒すぎる走りでこの年の二冠を制した。

怪獣のように暴れる一方、レースでは歴代のどんな名馬にもできないような圧倒的な走りを見せる――

それがゴールドシップの個性だったが、内田博幸に「よくあんなレースができた」と言わしめたのがこの年の暮れに行われた有馬記念である。


第57回有馬記念 1着ゴールドシップ(c)SANKEI


出遅れ、爆走、ロングスパート......破天荒な走りが心を掴む

この年の有馬記念は1つ上の三冠馬オルフェーヴル、同い年の三冠牝馬ジェンティルドンナが回避したものの出走16頭中、GⅠ馬が7頭エントリーするという豪華なメンバーに。

ファン投票で6位に入ったゴールドシップはクラシック二冠の走りが評価されて単勝2.7倍の1番人気に支持された。

ゲートが開いた瞬間、2番人気のルーラーシップが立ち上がってしまい、致命的な出遅れを犯したが、ゴールドシップもゲートで大きく立ち遅れ、上位人気2頭が出遅れるという波乱のスタートに。

そこからも出脚が付かなかったゴールドシップはスタンド前を通過し終えて、第1コーナーを回るころにはルーラーシップにも交わされて最後方からのレースとなっていた。

前半の1000mを過ぎても、レースの半分を過ぎても、シンガリから一向に動こうとしないゴールドシップにやきもきしたファンも多かっただろうが......

3コーナーを過ぎる当たりでようやく内田博幸の手が激しく動き出すと、1頭、また1頭と交わしていく。

この時点でゴールまで残り700mほど。出遅れたからとはいえ、いくらなんでも仕掛けが早過ぎると思われたが......最後の直線を向くと、大外に持ち出していたゴールドシップはすでにエンジン全開。

インコースを突いて先に抜け出したエイシンフラッシュを目標にするように伸びてきた伏兵オーシャンブルーのさらに外を突いていったゴールドシップが残り100mの地点ですべてを交わして先頭に。

まさに追えば追うほど伸びると言わんばかりのロングスパートで後続を離したゴールドシップはそのまま2着のオーシャンブルーに1馬身半の差を付けてゴール。最後は内田博幸が大きなガッツポーズを見せるほどの楽勝となった。

出遅れからのシンガリ追走、そして3コーナー過ぎからの強烈なロングスパート......「まるで神様に描かれたのではないかと思うくらいのシナリオ」と、内田博幸自ら振り返るほど破天荒なレースを見せて勝利したゴールドシップ。

唯一無二でインパクト抜群の走りは引退から10年がたつ今もなおファンの心をガッチリと掴み、記憶に残り続けている。


■文/福嶌 弘

■第70回有馬記念(GI)枠順
2025年12月28日(日)5回中山8日 発走時刻:15時40分

枠順 馬名(性齢 騎手)
1-1 エキサイトバイオ(牡3 荻野極)
1-2 シンエンペラー(牡4 坂井瑠星)
2-3 ジャスティンパレス(牡6 団野大成)
2-4 ミュージアムマイル(牡3 C.デムーロ)
3-5 レガレイラ(牝4 C.ルメール)
3-6 メイショウタバル(牡4 武豊)
4-7 サンライズジパング(牡4 鮫島克駿)
4-8 シュヴァリエローズ(牡7 北村友一)
5-9 ダノンデサイル(牡4 戸崎圭太)
5-10 コスモキュランダ(牡4 横山武史)
6-11 ミステリーウェイ(セ7 松本大輝)
6-12 マイネルエンペラー(牡5 丹内祐次)
7-13 アドマイヤテラ(牡4 川田将雅)
7-14 アラタ(牡8 大野拓弥)
8-15 エルトンバローズ(牡5 西村淳也)
8-16 タスティエーラ(牡5 松山弘平)
※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。

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