英語のリスニング力を上げるにはどうすればいいか。英語コーチのmochanさんは「ニュース動画で英語に触れるのは手軽で効果的だ。なかでもおすすめしたいのはトランプ大統領のスピーチ動画。シンプルで聞き取りやすい、最高の教材といっていい」という――。

※本稿は、mochan『英語力を伸ばす1%の習慣 好きなことを毎日少しやるだけ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/Mihajlo Maricic
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Mihajlo Maricic

■日本のニュース動画を英語で観て学ぶ

英語のニュースに触れるなら、「ニュースを読む」「ニュースを見る」という2つの選択肢があります。私は普段から「ニュースを読む」よりも「ニュースを見る」のをお勧めしています。動画ニュースだと、より多くの視覚情報が与えられ、理解する手助けになるからです。

とはいっても、学習を始めたばかりの人が、BBC NewsやCNNを視聴するのは無理があります。代わりにお勧めしたいのが「日本のニュースを英語で見る」方法です。

日本のニュースなら、ネット記事を読んだり、テレビを見たりして、普段から接しているので、英語版になっても「あぁ、あの話か」と理解しやすいですよね。地名政治家や著名人の名前に馴染みがあることも理解の助けになります。

私も昔、英語で日本のニュースを見ていたことがあり、特に初級者の方にお勧めしたいです。

イチオシはNHK WORLD-JAPANです。NHK WORLD-JAPANでは、NHKのアナウンサーが話す日本語を英語に吹き替えたニュース映像が無料で視聴できます。映像で流れる英文は、1文が比較的短く、文法もシンプルです。さらに、映像内の英語をまとめた記事も読めるので、リーディングの練習もできます。動画は1、2分と短く、日課に組み入れやすいので、私がお勧めする「入口に立つ」アプローチとも相性がいいです。

通勤電車に乗ったら見る、歯磨きをしながら見るなど、ルーティンと組み合わせて1本ニュースを見るだけでも、よい習慣が作れます。

■トランプ大統領の英語は最高の教材

私のYouTubeチャンネル「mochantv 英会話」では、ホワイトハウスの公式チャンネルに日英字幕をつけた動画を配信しています。

75%にスピードを落としたものを収録するなど、初心者でも学びやすい作りにしているので、NHK WORLD-JAPANに慣れてきたら、次のステップとして試してみてください。

チャンネルでは、トランプ大統領の会見やスピーチを多く配信しています。彼の英語はシンプルで聞き取りやすく、リスニング教材として適しています。

トランプ大統領の言葉がなぜ聞き取りやすいのかというと、まず語彙が基本的で、great(素晴らしい)、bad(悪い)、win(〜に勝利する)などが繰り返し使われているから。また、“Make America Great Again”(アメリカを再び偉大に)のような、短い文を多用し、同じフレーズを決め台詞のように何度も言うので、初心者でも理解しやすいのです。

写真=iStock.com/danielfela
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/danielfela

さらに話すスピードは、特にスピーチや記者会見だとゆっくりで、抑揚がはっきりしています。

ちなみに彼はニューヨーク出身ですが、ニューヨーク訛りは少なめです。

興味のある海外ニュースを視聴したい方は、YouTubeでBBC NewsやCNNの公式チャンネルを検索すれば、動画が豊富に揃っています。

ただし先にお伝えした通り、レベルは高めです。最初のうちは、日本語ニュースで見たことのある話題や、尺が短めのものを選ぶといいでしょう。

また、自分のレベルに合わせて次のように調整すると、より理解しやすいです。

●英語の速度を落とす
●英語字幕を出す
●日英同時字幕を出す

まとめると、「日本ニュースの英語版」→「mochantv 英会話ニュース動画」→「CNNやBBC Newsなど、外国の放送局の公式YouTubeチャンネル」の順で難易度が上がっているので、ご自分のレベルに合わせて視聴して、徐々にステップアップしていきましょう。

■初心者は映画よりドラマのほうが学びやすい

近年、Netflixなどの動画配信サービスのおかげで、海外ドラマや洋画がぐっと身近な存在になりました。

私は、初心者の方には「まずは映画より海外ドラマ」と伝えています。アメリカやイギリスのドラマは1話30分ほどの短いものが多いのが特徴で、英語学習者にとって集中力を維持できる長さです。映画も学習には役立つものの、どうしても長いので、最初はドラマのほうがいいと思います。

海外ドラマで学ぶメリットは「よりリアルに」学べる点です。映像とストーリーが情報として与えられるので、リアル度が全然違うわけです。

■ついつい観てしまう好きなジャンルでいい

例えば主人公が、道端で口論をしている友人たちに向かって、“What?s going on?(”何が起こっているの?)と大声で聞いているとします。そのときの驚き、困惑、苛立ちなどが、表情やジェスチャーからも読み取れるので、「このフレーズは、こういうときに使うんだ」と肌で感じられます。

mochan『英語力を伸ばす1%の習慣 好きなことを毎日少しやるだけ』(KADOKAWA

同じ作品を何度も見れば見るほど理解が深まり、リスニング力と語彙力が上がってきます。さらに、自分が英語を話していて同じような状況に出くわしたときに、フレーズを再現しやすくなります。

映画といえば、私も、過去に『Back to the Future』を何度も見て表現を学びました。主人公マーティに扮するマイケル・J・フォックスの英語は癖が少なく、聞きやすいです。

海外ドラマで何を見るか、作品を選ぶときは、ビジネス、恋愛、医療、コメディ、何でも好きなものでOKです。寝なきゃいけないのに、次のエピソードをついつい見てしまう! それくらい夢中になれるものがあればベストです。

「自分のレベルに合わせて子ども向けアニメを見たほうがいいですか」と聞かれることがあります。個人的には語彙が多少難しくても、興味に合う、好きな作品を見るのがいいと考えています。そのほうが習慣として続きやすいのではないでしょうか。

■ドラマを観る習慣がない人も試してみる価値あり

「そもそも日本語のドラマや映画もあまり見ない」「海外ドラマにそこまで興味がない」という方に、海外ドラマでの学習を無理に勧めたりはしません。好きなこと、楽に続けられることを選択するのが一番だからです。

ただ、日本語のドラマや映画を見ない人でも、海外ドラマを見てどう感じるか、試してみる価値はあります。

以前、生徒さんにこんな方がいました。日本語でもドラマや映画を見ない。あまり興味がないとのこと。しかし、私が「1回くらい試してみたら?」と軽く勧めたところ、Amazon制作のドラマ『Harlem』を見始めたそうです。これは、黒人が多く住むニューヨークのハーレムを舞台に、女性たちがキャリア、恋愛、夢を追いながら成長していく作品です。

■「こんな生活をしてみたい!」がかきたてられる

彼女はこれを見たところ、「登場人物たちみたいに英語を話してみたいし、こんな生活もしてみたい。もしかしたら、私はこういう生き方をするために英語を勉強しているのかも?」とすっかりハマっていきました。それ以降、仕事や育児の合間を縫って、少しずつ見続けているそうです。

こういうふうに、日本のドラマに無縁な人でも海外ドラマの世界にハマる例はあります。英語を勉強する方の多くは、異文化での暮らしに興味を持っています。海外のドラマや映画は、舞台となっている都市の世界観が生き生きと伝わってくるので、楽しく学習できる可能性が高いです。

■まずは日本語字幕付きから始める

実際に海外ドラマで英語を学ぶときは、「日本語字幕付き」→「英語字幕付き」→「字幕なしで英語音声のみ」と、難易度を少しずつ上げてください。

なかには、1フレーズ聞き取れなかったら巻き戻して、もう一度聞き取れるか試して……と、熱心に学習する方もいます。このやり方で続ければ力がつくのは間違いありません。

ですが、これを全員が続けられるかというと難しいはず。続けることが大事なので、巻き戻しをするのが面倒な人は、一気に見て問題ありません。

『英語力を伸ばす1%の習慣 好きなことを毎日少しやるだけ』(KADOKAWA)より

初学者の方には、日本の映像作品に、英語の吹き替え音声と、日英同時字幕を付けるのもお勧めです。

NetflixやAmazon Prime Videoなどで全世界配信されている作品には、英語吹き替えに対応しているものが結構あるようです。

また、なじみの日本作品の海外版も、学習に取り組みやすいでしょう。Netflixは『ONE PIECE』『DEATH NOTE』など、日本アニメの海外版の配信が充実しています。

海外ドラマを見ながら、知らない表現、言ってみたいセリフがあれば、ノートに書いていきましょう。余裕が出てきたら、声に出してセリフの口調を真似するのもいいです。「心得ておきたい基本の考え」で強調したように、手や口も使って学んでいくと、フレーズを自分のものにしやすくなります。

『英語力を伸ばす1%の習慣 好きなことを毎日少しやるだけ』(KADOKAWA)より

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mochan(もーちゃん)
英語コーチ
幼少期、親の都合で海外生活の機会を得るも8年間も英語が話せず、不便で退屈な毎日を送った。海外生活9年目、あることをきっかけに英語をマスターし、最終的にアメリカの大学を卒業。その後、日本に帰国し不動産業や営業コンサルタントなどの職を経て起業。英会話スクール、プライベート英語レッスン、試験対策クラスなどでの講師を歴任し、現在は英語コーチングに力を注ぐ。通訳、翻訳英語学習動画制作などにも携わっている。
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(英語コーチ mochan)