日本人はもちろん、外国人観光客にも高い人気を誇る「驚安の殿堂 ドン・キホーテ」。2025年6月13日には東京・新宿に「ドン・キホーテ新宿東南口別館」、同月25日には沖縄・那覇に「ドン・キホーテ国際通りくもじ店」というインバウンド(訪日外国人客)に特化した店舗を立て続けにオープンした。オープンから1カ月以上が過ぎ、実際に何が売れているのか、既存の店舗とは何が異なるのか。

ドンキの「インバウンド特化型衛星店」

エリアや客層に合わせた店づくりを行っている「驚安の殿堂 ドン・キホーテ(以下、ドンキ)」。東京・新宿エリアには既に、地域密着型の新宿店、インバウンドなどからも高い支持を集める新宿歌舞伎町店、新宿東南口店という3店舗があるが、さらに「インバウンド特化型衛星店」という位置づけでオープンしたのが「新宿東南口別館」(新宿区新宿)だ。

新宿東南口別館と国際通りくもじ店は、両方とも海外からの観光客をより意識した店づくりとなっている。例えば、新宿東南口別館は日本のイメージを強く打ち出すため、日本の祭りを彷彿とさせる賑々しい内装だ。国際通りくもじ店は沖縄の名産品をモチーフとした装飾を施し、沖縄土産なども充実させている。

新宿東南口店別館4階の免税レジもこの通り、お祭り気分

インバウンド比率は約6割に

ドン・キホーテを運営するPPIH(パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス)広報室の小出まどかさんは次のように説明する。

「現在、両店舗ともにインバウンド比率はおよそ6割強となっており、多くの外国人観光客の方にご来店いただいています。言語については、英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語を中心に対応できる体制を整えています。インバウンドのお客様が多く訪れる特性上、化粧品やお菓子、医薬品などの定番商品に加えて、まとめ買いやギフト需要も強く感じています。開店から1ヶ月が経過し、お客様の動向や購買傾向が少しずつ見えてきたところで、店全体として“おもてなし”の意識が高まったといえるでしょうか。今後はそうした傾向をもとに、売場づくりや商品構成を柔軟に変化させ、より満足いただける店舗を目指していきます」

例えば、免税レジの目の前という“一等地”には、インバウンドに人気の「ロイヒつぼ膏」や「サロンパス」などは5個パックでも並んでおり、お土産やギフトとしても使えるように、まとめ買いが可能になっている。「インバウンド特化型店」ならではの陳列といえるだろう。

年間1700億円が目標

PPIHが5月に発表した2025年6月期第3四半期決算業績によると、第3 四半期の免税売上高は累計1244億円(前期比153.0%)で日販売上平均は過去最高、4 月も単月 168 億円と過去最高を達成。年間 1700 億円という目標に向けて順調なのだとか。

「インバウンド No.1 宣言」から1年を経て、「絶対王者を目指す!」と表明した最中の今回の出店。ドンキの並々ならぬ思いが感じられるだろう。

こうした数字は置いておいても、実際に新宿東南口店や渋谷本店、浅草店などへ足を運んでみると、ドンキが外国人観光客たちの間でいかに浸透しているのかがよくわかる。

サンリオをはじめとしたキャラクター商品も人気が高い

毎日17時からタイムセール

こうした店舗展開やお店の雰囲気づくりはもちろんだが、東南口別館を含むエリアの支社長である太田将之さんは「お買い物だけでなく、体験型のコト消費として思い出に残していただきたいのです」と教えてくれた。

そのため、お客さんが満足できるような見せ方や楽しみ方を模索しており、新宿東南口別館では、毎週末のように試飲や試食、実演販売などの商品を試せるイベントを実施。毎日17時からはタイムセールを開催している。

さらにドンキの強みは、周辺のドラッグストアや百貨店などが閉店したあと、深夜までお店が開いていること。
こうしたところも、外国人観光客たちから支持される大きな理由の一つだ。

新宿東南口別館の店頭にイベントのお知らせがあった

「海外のお客様 爆買い部門」トップ5

国内のドン・キホーテ店舗で販売された商品の中から、2024年1月から2025年1月まで販売点数や話題性などを部門ごとにランキング方式で発表した「ドンキヒット商品大賞2025」が2025年4月に発表された。その際、免税売り上げデータを元に紹介された「海外のお客様 爆買い部門」でランクインした商品は以下の通り。

1位:「ベイククリーミーチーズ」(10粒入・森永製菓)
2位:「ロイヒつぼ膏」(156枚・ニチバン)
3位:「毛穴撫子 お米のマスク」(10枚入・石澤研究所)
4位:「一蘭ラーメン 博多細麺ストレート」(5食入・株式会社一蘭)
5位:「太田胃酸〈分包〉」(48包入・太田胃酸)

「ベイククリーミーチーズ」

1位の「ベイククリーミーチーズ」はドンキと森永製菓がコラボで作った限定商品。ケースで買っていくお客も多いという。実際に購入して食べてみたが、表面のサクッと軽い食感と中のクリーミーさのバランスが絶妙で、口いっぱいに広がる芳醇なチーズの風味が魅力的。あっという間に1人で1箱完食してしまった。これは確かにケースでほしいと思う気持ちはわかる。

外国人観光客の多いエリアのドラッグストアで品薄になりがちな「ロイヒつぼ膏」。患部の血行をよくするという温感タイプの貼り薬で、ドンキでもこれ目的のお客さんがあまりにも多いそう。

「ベイククリーミーチーズ」や「ロイヒつぼ膏」は中国のSNSで「日本で買うべきお土産リスト」に頻繁に入っているのだそう。

「ロイヒつぼ膏」愛用者なので、ズラリと並ぶ様にワクワクした

ドンキ新宿東南口別館で一番の売れ筋商品は!?

ということで、オープンから1ヵ月が過ぎた新宿東南口別館で売れているのは以下の商品だ。

新宿東南口別館・食品部門の売上BEST3

1位:「一蘭ラーメン 博多細麺ストレート」(5食入・2300円)
2位:「ベイククリーミーチーズ」(10粒入・367円)
3位:「キットカット 濃い抹茶」(10枚・268円)

一蘭の人気の高さはさすがといえる。新宿東南口別館の店頭には、細麺だけでなく、ちぢれ麺やカップ麺、さらに「一蘭特製 赤い秘伝の粉」(860円)などがドーンと並んでいて目移り必至だ。店長の藤内良太さんによると、新宿東南口店では、10%程度は非免税でも売れるのだとか。

「一蘭ラーメン」関連の品揃えの良さにびっくり

3位の「キットカット」について、太田さんが興味深いエピソードを教えてくれた。製造元のネスレのスイス本社の方々が日本出張の際にドンキで日本限定のキットカットを爆買いしていたのだそう。つまり、日本オリジナルのラインナップが、海外よりも相当豊富というのが理由だ。

「渋谷本店などの壁一面の売場を見ると、日本人であってもWow!となります」とは、ネスレ日本の広報担当者のコメント。本当に日本のキットカットのラインナップの豊富さはテンションが上がるよね、わかる。ドンキとネスレ日本の共同商品「キットカット 桃」(10枚・539円)も当然ながら、ドン・キホーテでしか入手することができない。

キットカットは店内のあちこち点在している

幅広いラインナップを揃えるドンキのPB商品「情熱価格」も、ここでしか買えないと人気だ。中でもさつまいもの「紅はるか」を使った「情熱価格 焼き芋」は不動の人気商品で、この時期は、冷やし焼き芋も展開。1日100本の売り上げを目指している。東南口の店舗では年間を通して1日30〜50本程度売れるんだそう。今の時期は冷やし焼き芋としても展開している。

小出さんに、ドンキオリジナル商品に絞って、新宿東南口別館の売り上げランキングを聞いた。

1位:「ベイククリーミーチーズ」
2位:「京都茶の蔵 宇治抹茶」(150g・2150円)
3位:「情熱価格たまごかけ風ごはんのたれ」(18gx8個パック・647円)

「京都茶の蔵 宇治抹茶」は、金色のパッケージが目をひくパウダー状になっている抹茶。藤内さんが「外国人観光客のたいていの方が買っていきます」と言う「たまごかけ風ごはんのたれ」は、手軽にどこでもTKG(たまごかけごはん)が楽しめるという商品だ。

抹茶商品はやはりインバウンドに高い人気だ

太田さんによると、ピスタチオ関連商品やミックスナッツ、ワサビ類などもお土産需要として人気が高いという。ドンキが手がけた韓国海苔を、韓国の方が買っていくという話が興味深かった。品質と価格の手ごろさで、お土産にちょうどいいらしい。ドンキが価格だけでなく、品質にこだわっていること、みんなよく知っているのだなぁ。

売れ筋の定番商品たち

ブルーノ・マーズが1年前からCMに登場

米シンガー・ソングライターのブルーノ・マーズをCMに起用し、世間の話題をさらったドン・キホーテ。こんな大物が出演してくれることも、ドンキが海外の客に浸透している証左なのだろうか。

今回のインバウンド特化型店舗について小出さんは、「新宿東南口別館は、訪日客が主要大都市圏に一極集中することから大都市圏にある既存店の近隣でも坪数狭小で訪日客ターゲットの店舗モデル出店が成立するかのチャレンジをしています。また、国際通りくもじ店は、主要大都市だけではない地方観光地に滞在する訪日客をターゲットとした店舗モデル出店が成立するのかの挑戦です」と話す。

新宿東南口別館(8時〜26時)は1〜4階の構成で、売場面積は647.6平方メートル。新宿歌舞伎町店(24時間営業)が、地下1階から地上4階のフロア構成で、売場面積は1053.54平方メートル(2025年6月末現在)なので、確かに決して広くはない。

さまざまな形態の店舗を次々とオープンさせていくドン・キホーテ。ドンキのチャレンジをこれからも一消費者として楽しみたい。

■ドン・キホーテ新宿東南口別館
[住所]東京都新宿区新宿3-35-16
[営業時間] 8時〜26時
[交通]JR新宿駅東南口から徒歩約2分

■ドン・キホーテ国際通りくもじ店
[住所]沖縄県那覇市久茂地3-29-66
[営業時間]8時〜25時
[交通]ゆいレール県庁前駅から徒歩7分

文・写真/市村幸妙
いちむら・ゆきえ。フリーランスのライター・編集者。地元・東京の農家さんとコミュニケーションを取ったり、手前味噌作りを友人たちと毎年共に行ったり、野菜類と発酵食品をこよなく愛する。中学受験業界にも強い雑食系。バンドの推し活も熱心にしている。落語家の夫と二人暮らし。